中高生

ダイエットなどで栄養バランスが偏ってませんか?! 本当に必要な摂取カロリーは?

モデル体型への憧れなどから、適正体重であるにもかかわらず無理なダイエットに走ってはいませんか? 極端な食事制限で健康を壊すようなダイエットはもう卒業。成長期である皆さんは「必要な栄養をしっかり摂る+運動」で、適度に筋肉のついた健康的なスタイル美人を目指しましょう。1日どのくらい食べる必要があるのか、どんな栄養素を摂るべきかなど、ダイエットに必要な情報をご紹介します。

成長期のダイエットは食事制限NG! バランスのよい食事を

ダイエットの原則は、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにすること。ただし、カロリーを抑えることに重きを置いてしまうと、極端に炭水化物を減らしたり、厳しい食事制限をしたりするダイエットに走ってしまいがちです。

食事制限だけで急激に体重を落とした場合、脂肪よりも筋肉のほうが簡単に落ちてしまうため、筋肉や水分ばかりが落ちている可能性があります。筋肉が落ちると基礎代謝量が減り、さらにやせにくい体になってしまいます。

こうしたことからも、摂取カロリーを抑えることを目的とした食事制限だけのダイエットはNG。特に成長期は、体づくりのための大事な時期。バランスのよい食事で、様々な栄養を摂ることも重要です。ご飯を主食に、肉や魚の主菜、野菜を使った副菜などを取り合わせた、日本の典型的な食事が栄養バランスとしても優れています。このバランスを大切にしながら、ご飯の量を少し減らすなど、カロリーを抑えていくのがよいでしょう。

ちなみに、ヘルシーなイメージがある、コンパクトで栄養が摂れる食品やお菓子を食事代わりに食べる人がいますが、こうした食品の中には脂質や糖質が多いハイカロリーな物も。カロリーを抑えるための選択が、かえって逆効果になることもありますので、栄養表示をチェックしてから購入するようにしてください。

ダイエット、その前に!

まず考えたいのが、自分に本当にダイエットが必要かどうかです。体重やBMI(肥満度を表す体格指数)、腹囲、筋肉量や脂肪量を測り、自分の体をチェックしてみてください。BMIは18.5〜25未満が標準にあたりますが、全ての年代において最も健康でいられるのは、BMI 21〜24の範囲であることが数々のデータから分かっています。この範囲にいる人はダイエットする必要はありません。BMI 25以上の場合は肥満に当たるので、標準体重を目標にダイエットに取り組むことがすすめられます。

<BMIの計算法>

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI

例:体重55kg、身長158cmの人の場合
55÷1.58÷1.58=22

近年では、若い女性にBMI 18.5未満のやせの人が増えています。モデル体型を目指して、体重が少ないほどよいと思っている人も少なくありませんが、本当にそうでしょうか? 例えば、やせの状態で妊娠すると、低出生体重児を出産するリスクが高まるとされています。低出生体重児は将来、肥満や糖尿病などを発症する可能性が高くなることが指摘されていて、自身が産んだ子どもの健康に影響を与えてしまう場合があるのです。また、やせの人は筋肉量が少なく、骨がもろい傾向に。今は若さでカバーできているとしても、将来は寝たきりや要介護になるリスクが高まってしまいます。無理なダイエットはかえって健康を損ねてしまいますし、必要以上にやせると将来の健康にも影響することを知っておきましょう。

基礎代謝量とは? 中高生はどのくらい?

基礎代謝量とは、心拍や呼吸、体温の維持といった、生命活動を維持するために消費される最低限必要なエネルギー量のことです。中高生は、成長に必要なエネルギー分も含まれます。基礎代謝量は女性よりも男性のほうが高く、10代をピークに加齢と共に低下していきます。年齢別の基礎代謝量は次の通りです。

<中高生の基礎代謝量>
12〜14歳女性1,410kcal/日(体重47.5kg)
男性1,520kcal/日(体重49.0kg)
15〜17歳女性1,310kcal/日(体重51.9kg)
男性1,610kcal/日(体重59.7kg)
18〜29歳女性1,110kcal/日(体重50.3kg)
男性1,530kcal/日(体重64.5kg)
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

基礎代謝の中で、最も多くエネルギーを必要としているのが筋肉です。健康的なスタイル美人になるには、筋トレなど筋肉量を増やす運動を行い、エネルギー消費量を増やしていくことが大切になります。

1日の摂取カロリー、中高生はどのくらい摂ればいいの?

では、1日に必要なカロリーはどのくらいなのでしょう? 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で提示されている、健康の維持・増進のために必要なエネルギー量を見てみましょう(下記参照)。中高生はおおむね1日2,000kcal以上必要であることが分かります。

<中高生の推定エネルギー必要量>
12〜14歳女性2,400kcal/日
男性2,600kcal/日
15〜17歳女性2,300kcal/日
男性2,800kcal/日
18〜29歳女性2,000kcal/日
男性2,650kcal/日
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※身体活動レベルⅡ(自立している者)の値

タンパク質は10代には1日にどのくらい必要? 栄養バランスをチェックしよう!

極端な食事制限によるダイエットで筋肉を落とし、リバウンドで増えるのは脂肪……。こうしてダイエットとリバウンドを繰り返していると、外見は太っていなくても、内臓脂肪たっぷりの「かくれ肥満」になってしまう可能性があります。ただ体重を減らせばよいという考え方を改め、運動で適度に筋肉をつけ、スタイル美人を目指しましょう。

スタイル美人にとって最も重要といえる栄養素が、筋肉の材料となる「タンパク質」です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日に必要なタンパク質の目標量は、次のように示されています。

<タンパク質の食事摂取基準・目標量>
10〜20代の女性13〜20(%)(※1)
10〜20代の男性13〜20(%)
※1:1日の摂取エネルギー量に占める割合
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

タンパク質の消化・吸収は一度に吸収できる量が限られるため、一度に大量に摂るのではなく、1日3回の食事で分けて摂ることが大切です。また、摂るタイミングもポイント。運動した後にタンパク質を摂ると、効率よく体に吸収できます。肉や魚、豆類などのタンパク質が豊富な食品を毎食取り入れながら、様々な栄養素と組み合わせて食べましょう。

小腹が空いた時やおやつにも、タンパク質を意識して食品を選んでみてください。コンビニエンスストアなどで手軽に買える、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、ゆで卵やサラダチキン、枝豆などはタンパク質が摂取できるのでおすすめです。最近では、タンパク質を強化した乳飲料やヨーグルトなどもあるので活用するのもよいでしょう。

自分の食事の栄養バランスがよいかどうか分からない人、自分にとっての食事の適量が分からないという人は、「食の栄養バランスチェック」で確認することができます。自分に足りない栄養素、摂り過ぎている栄養素がひと目で分かるので、ぜひ試してみてください。

監修 舘野真知子先生 たての・まちこ 料理研究家・管理栄養士

舘野真知子先生 近影

栃木で8代続く専業農家に生まれる。
管理栄養士として病院に勤務後、2001年アイルランドの料理学校「Ballymaloe Cookery School」に留学し料理を学ぶ。校長ダリーナ・アレンに影響を受け、生産者を尊重すること、素材を生かす料理をすることをモットーにしている。
帰国後はフードコーディネーターとしてメディアなどで活動した後、レストラン「六本木農園」の初代シェフを務め、現在はフリーランスの料理家として発酵料理をキーワードに、料理の楽しさや食べることの大切さを栄養・料理・文化を通して伝える活動をしている。
また国際交流にも積極的に参加し外国人向け料理教室Kitchen Nipponにて講師を務める。2015年にはイタリア・ミラノで開催されたPeace Kitchenが実施した和食をつたえる料理教室のカリキュラム作成、講師を担当。
『からだに効く! おいしく食べる あま酒レシピ』(東邦出版)等、著書多数。

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