ベトナム料理は、やさしい味付けで、野菜をたくさん使ったヘルシーな料理として日本でも人気があります。
ベトナムは中国王朝の支配を長く受け、フランスの植民地となっていたこともあるため、ベトナム料理は中国料理とフランス料理のえいきょうを強く受けています。
米やめん、もちを食べたり、おはしや茶わんを使い、お茶を飲んだりする文化は、中国のえいきょうを受けたものです。また、フランスのえいきょうでベトナムのどの地域に行ってもフランスパンを食べ、コーヒーを飲む習慣があります。
ベトナム料理のおいしさの秘密は「五味・五彩・二香」にあるといわれています。
「五味」は、塩気、酸味、から味、あま味、コク。「五彩」は、黒、赤、青(緑)、白、黄。「二香」は、よい香り、香ばしさ。
これらをひと皿の中にできるだけ多く入れることがベトナム料理にとって見た目も美しく、おいしい料理を作る秘けつだといわれています。
地域によって異なる食文化
ベトナムは南北に長く、地方によって気候が大きくちがうので、北部、中部、南部それぞれの食文化があります。
ベトナムの国民食といえば、「フォー」ですが、フォーは首都ハノイがある北部生まれです。北部は中国にりん接しているため、中国料理のえいきょうを強く受けています。塩やしょう油がベースの味付けでさっぱりしています。お米で作っためんととりガラスープの「フォー」は日本でもよく食べられています。また、ウコンで味付けした川魚をあげ焼きにした「チャーカー」も有名で、ブンというお米で作った丸い細めんにのせて、ハーブやヌクマム(魚しょう)をかけて食べます。
また、フエなどの世界遺産が集まる中部は、とうがらしなどのスパイスを使ったからい料理が多くあります。酸っぱくてピリッとからい牛肉めん「ブン ボー フエ」はフエの伝統料理です。
ホーチミンがある南部は、一年中暖かくココナッツミルクを使ったあまめの味つけが特ちょうで、ベトナム風生春巻き「ゴイ・クオン」やベトナム風お好み焼き「バインセオ」が有名です。
ベトナムの春巻きといえば、生春巻きをイメージする人が多いですが、あげ春巻きも有名です。南部の暑いホーチミンでは生春巻き「ゴイ・クオン」がどこのお店にも置いてありますが、比かく的寒い北部ではあげた春巻き「ネム」が主流です。
ベトナム料理にかかせない調味料
「ヌクマム」
ヌクマムは、いため物やにこみ料理に使ったり、つけダレとして使ったり、ベトナム料理にはかかせない調味料です。
小魚を塩漬けにして発酵させたもので、日本では「魚しょう」、タイでは「ナンプラー」と呼ばれています。
「ヌクチャム」はヌクマムで作った万能つけダレで、生春巻き「ゴイ・クオン」、ベトナム風お好み焼き「バインセオ」につけたり、フォーにそえられたりします。
ヌクマムはにおいが強いため飛行機への持ちこみが禁止されているので、お土産に持って帰ることはできません。
ベトナムはカシューナッツ大国
ベトナムは、カシューナッツの産地です。やわらかくてあま味のあるカシューナッツは、栄養価も高くおやつやおつまみとしてそのまま食べたり、料理でも使われる人気のナッツです。
みんながよく知っている「カシューナッツ」は、種子の中にある「仁」という部分のことをいい、生だと毒があるため熱を加えて加工されています。
果肉の部分は「カシューアップル」といい、ジュースにして飲むとおいしいのですが、いたみやすいので産地でしか食べられていない貴重なものです。
ベトナム南東部が産地として有名で、たくさんのカシューの木を見ることができます。またいろいろな国に輸出もしています。
お土産としても人気で、ベトナムの市場ではたくさんのナッツが大きなふくろに入って並んでいて、量り売りをしています。