比べてみよう!世界の食と文化

シンガポール共和国のあいさつ

英語(公用語は英語、中国語、マレー語、タミール語です。国語はマレー語ですが、学校や仕事では主に英語を使います。) みんな英語と民族母語の2つ以上の言語を話すよ。

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シンガポール共和国の食文化・食のあれこれ

多民族ならではの食文化

多民族がらすシンガポールでは、中国料理・インド料理・マレー料理の本格ほんかく的な味を楽しめますが、マレー料理と中国料理がゆうごうした「プラナカン料理(ニョニャ料理)」が伝統でんとう的な料理として有名です。
「プラナカン」は15世紀後半にマレー諸島しょとうの中国けい移民いみん男性だんせいが地元の女性じょせい結婚けっこんしたことで誕生たんじょうし、その料理を「プラナカン料理」とびます。いまやシンガポールの国民食ともいわれる「ラクサ」もプラナカン料理のひとつです。かれらの子孫はババ(男性だんせい)またはニョニャ(女性じょせい)といい、料理をするのがほとんど女性じょせいということもあり、プラナカン料理は「ニョニャ料理」ともいいます。
見た目は中国料理のようなものが多いですが、食べるとスパイスやココナッツミルクがいたエスニックな味わいです。チキンをにこんだ「アヤムブアクルア」のように手がこんだ料理が多いのが特ちょうです。

ラクサ

シンガポールでは外食が多い

シンガポールでは共働きの家庭も多く、朝昼ばんの3食とも外で食事をしたり、買ったものを家で食べたりするのがいっぱん的です。「ホーカーセンター」とばれる屋台村が街中にあり、屋台にはめん、ご飯、海せん、肉料理などすべてがそろっています。宗教しゅうきょう上食べられない食材があってもホーカーセンターならなんでもあるので多民族国家のシンガポール人にとってはかかせないものです。評判ひょうばんの屋台はいつも大行列ができています。

ホーカーセンター

ホーカーセンターでは、日本でも有名な「シンガポール・チキンライス(海南鶏飯(ハイナンジーファン))」やココナッツカレー味の「ラクサ」が人気です。シンガポール・チキンライスは、シンガポールの国民食で、みんな自分のお気に入りの行きつけの店や屋台があるほどです。

シンガポール・チキンライス(海南鶏飯)

主食

シンガポールの主食はお米とめんです

お米は、細長いインディカ米が主流です。ジャスミン米や、バスマティ米のようなかおりの強いお米もあり、パラっとしているので、チャーハンのようにいためたり、インドのビリヤニ(たきこみご飯)のようにたいて食べるとおいしいです。
日本のように、白米をおかずといっしょに食べることも多いですが、「シンガポール・チキンライス」のようにお米をとりのスープでたき上げたり、マレー料理の「ナシレマ」のようにお米をココナッツミルクとパンダンリーフでたくのもシンガポールではいっぱん的な食べ方です。

ナシレマ/パンダンリーフ

めんの種類がいっぱい

シンガポール人にとってめん料理もかかせません。注文する時は、まずめんを選び、スープあり、スープなしやトッピングを選びます。スープなしのめんの場合でもスープは必ずつきます。
めんの種類は、黄色くて丸い「ミー」とはば広い「ミーポック」、白くてはば広い「バンミエン」、はば広の米めん「クイティヤオ」、細い米めん「ビーフン」などたくさんあります。シンガポールの国民食ともいえるめん料理は「ワンタンミー」です。ワンタンミーは、スープありとスープなしがありますが、シンガポールではスープなしのめんにワンタンスープが別で出てくる食べ方が多いです。エビののうこうスープの「プラウンミー」や、細めんと太めん2種類を海せんでいためた「ホッケンミー」、牛肉といためた「ビーフクイティヤオ」なども有名です。

「ミーは中国語でめんという意味なんだよ。」
ワンタンミー

インドけいの主食はお米とパン

インドけいの家庭では、お米も食べますが、「ロティ」というインドのパンも主食として食べられています。ホーカーセンターでは、チキンカレーにつけて食べる「ロティ・プラタ」とよばれるふわふわのパンが人気です。カレーにつけて食べるのが伝統でんとう的ですが、最近ではクレープのようにバナナやチョコレートをはさんだものもあります。

ロティ・プラタ

家庭料理

朝ごはんは屋台やカフェで

シンガポールでは、ホーカーセンターやカフェで朝食を食べたり、買ってきたものを家で食べることもよくあります。朝早くにお店が開き、通勤つうきん・通学前に朝食を食べる人たちでみ合います。シンガポールの朝食といえば「カヤトースト」の朝食セットです。ココナッツミルクとたまご砂糖さとうとパンダンリーフをにつめたあまいカヤジャムをバタートーストにはさんだもので、半熟卵はんじゅくたまご温泉卵おんせんたまご、コーヒーや紅茶こうちゃといっしょに食べます。
また、おかゆやビーフン、ナシレマ、バクテーなどもよく食べられます。「バクテー」はいろいろな漢方食材とスペアリブをにこんだ、栄養満点のスープです。

カヤトーストの朝食セット

家庭料理も多民族国家ならでは

シンガポールは多民族国家なこともあり、自分の祖先そせん中華系ちゅうかけい、マレーけい、インドけいのどれかによって家庭料理が大きくちがいます。また、家庭料理の多くはホーカーセンターでも食べることができます。
マレー語で「いろいろなものをぜる」という意味の「ロジャ」は家庭でよく食べられる料理です。名前のとおり野菜、魚かい類、あげパン、果物くだものなどをいろいろぜ合わせ、黒くてあまいソースをからめます。シンガポールではサラダのような感覚で食べられています。
また、「ポピア」というシンガポール風生春巻はるまきもよく食べます。
カブ、にんじん、もやし、エビなどシャキシャキした野菜をふんわりした皮でいたもので、ホーカーセンターでもよく見かけます。あっさりしているのでおやつがわりにもよく食べられています。

ロジャ

カニや魚の頭をまるごと使った料理

屋台で生まれたシンガポール人の大好物「チリ・クラブ」は、カニをからごとぶつ切りにし、あまからくてスパイシーなチリソースとたまごでいためたものです。肉まんの皮のような饅頭(マントウ)にカニのうまみがたっぷりのチリソースをつけて食べます。
また、ごうかいに魚の頭がまるごと入った「フィッシュヘッド・カレー」も有名です。さらっとしたカレーと、魚の頭を組み合わせたまさに多民族国家のシンガポールをしょうちょうするような料理です。

チリ・クラブ/フィッシュヘッド・カレ

行事食

お正月にはえんのいい「魚生(ユーシェン)」

シンガポールのお正月はきゅう正月(チャイニーズ・ニューイヤー)といい、きゅうれきのお正月(1月下じゅん~2月中じゅんごろ)で毎年日にちが変わります。きゅう正月には、中華系ちゅうかけいの人たちは「魚生(ユーシェン)」というおさし身のサラダを食べる習慣しゅうかんがあります。魚生はシンガポールで生まれた料理で、元々はサラダとして食べられていましたが、えんのいい料理とされ、じょじょにきゅう正月に食べる料理となりました。
食べる時はみんなで立ち上がり、「ローヘイ、ローヘイ」とかけ声をし、願いごとをいいながらはしで具材をかきぜ高く持ち上げて落とします。「ローヘイ」には、金運や運気を上げるという意味があります。

魚生(ユーシェン)

また、「魚(ユー)」は中国語でゆたかになることを意味する「余(ユー)」、「生(シェン)」は上しょうを意味する「 升(シェン)」と同じ発音でえんのいい料理とされています。
食材にも意味があり、色とりどりの野菜は「家族の調和」を、さし身は「とみ」を、ワンタンの皮は「金運」を、ピーナッツやゴマは「長寿ちょうじゅ・健康」を願って使われています。新年に幸せを願って料理にいろいろな意味をこめるのは日本のおせちとよくていますね。

ラマダン明けを祝ううたげ「ハリ・ラヤ・プアサ」

イスラム教徒の神聖しんせいなラマダンは、夜明けから夕方までの断食だんじきを約30日間続けます。その断食だんじき明けを祝う「ハリ・ラヤ・プアサ(ハリ・ラヤ・アイディルフィトリ)」では、モスク(イスラム教の礼拝れいはい堂)を訪問ほうもんし、いのりをささげたあと、ごちそうを食べます。
スパイシーなビーフシチュー「レンダン」、ココナッツミルクで野菜をにこんだ「サヨロデ」やチリペーストの「サンバル」などごちそうがならびます。また、とろっとしたヤシとうを包んだ丸もち「オンデオンデ」、あまいココナッツフレークを使用した米粉のしケーキ「プトゥ・ピリン」などのおいしいデザートもあります。

オンデオンデ

シンガポール共和国の学校生活

1月から始まる2学期せい

シンガポールの義務ぎむ教育は、7さいから12さいまでの小学校6年間です。
また、日本とはちがい1月から始まる2学期せいで、期のと中(3月と9月)に1週間ずつの短期きゅうかと、期末の6月に4週間の夏休み、11月下じゅん~年明けに6週間の冬休みが長期きゅうかとしてあります。
ほとんどの学校には制服せいふくがあり、学校によってデザインはいろいろです。校則こうそくきびしく、かみがたきびしく決められています。
また、シンガポールでは学生は部活動に入らなければなりません。サッカーやバスケットボール以外にも、ボーイスカウト、ガールスカウト、ブラスバンド、ディベート(議論ぎろん)などいろいろな部活動があります。

授業じゅぎょうは英語で行われる

すべての生徒は英語と民族母語(中国語、マレー語、タミル語)が必修ひっしゅうで、4年生までは授業じゅぎょうの8わりが英語、民族母語、数学に当てられます。民族母語以外の授業じゅぎょうはすべて英語で行われています。

制服姿
「部活動は土曜日や放課後にあるよ。」

実力があればチャンスがある国

シンガポールでは、実力があれば人種や民族、文化、経済けいざい宗教しゅうきょうなどにかかわらず、公平にチャンスがあたえられます。ゆうしゅうな成績せいせきの生徒は授業じゅぎょう料がめん除されたり、しょう学金がもらえます。小学校卒業時にはPSLE(初等学校卒業試験)というテストがあり、その成績せいせきによって進学先が分かれます。小学校卒業時に進学先や就職しゅうしょく先など、将来しょうらいの進路がある程度ていど決まってしまうので、シンガポールの子どもたちはみんなおさないころからもう勉強をしています。
また、人種や民族が対立したり分しないよう、ひとつの地域ちいきや学校に特定の人種が集中しないように調整しているのも多民族国家ならではです。
シンガポールには「ナショナル・サービス」とよばれる兵役義務ぎむがあり、18さいになると男性だんせいは2年間兵役に行きます。高校を卒業してすぐに兵役に行くため男子学生は女子学生より2年おそく大学に進学するのも特ちょうのひとつです。

ランチはお弁当べんとう

シンガポールの小学校や中学校では、通常つうじょう給食がないので、お弁当べんとうを持ってきたり、食堂で買ったりします。学校の食堂では、めん、ご飯、インド料理、マレー料理、中国料理といったブースがあり、子どもたちは好きな料理を選んで食べることができます。

シンガポール共和国のスポーツ

シンガポールで、子どもから大人おとなまで人気があるのが「バドミントン」です。
公共集合住宅じゅうたくに必ずあるコートや近くのスポーツセンターで、放課後の子どもたちや仕事終わりの大人おとなたちが、日常にちじょう的にバドミントンを楽しんでいます。
また、「サッカー」も人気があります。「Sリーグ」というプロサッカーリーグもあり、日本のJリーグをモデルに1996年に発足しました。

シンガポール共和国の歴史

1400年ごろ現在げんざいのシンガポールりょう域にマラッカ王国が建国されます。
1511年、マラッカ王国がポルトガルにせんりょうされめつぼう
マラッカの王はマレー半島のジョホールにうつり、ジョホール王国を建国。
ジョホール王国によって、現在げんざいのシンガポールの島が支配しはいされます。

1819年、英国人のトーマス・ラッフルズが現在げんざいのシンガポールに当たる場所に上陸。
ジョホール王国から許可きょかを得て、商館を建設けんせつしました。
1824年、正式に英国の植民地となりました。

1942年〜1945年、第二次世界大戦中、日本の植民地になります。
その後、1945年に日本がこうふくすると英国の管かつ下になり、1946年ふたたび英国の植民地になりました。

1959年独立どくりつ運動が高まり英国より自治けんをかくとく。シンガポール自治州になります。
また、1963年、マレーシア国家の成立にともない、その1州になります。
1965年、マレーシアより分。シンガポール共和国として独立どくりつしました。

シンガポール共和国の民族衣装

プラナカンの女性じょせいが着ているのが伝統衣装でんとういしょうの「サロンケバヤ」です。「サロン」は長いタイトスカートで、「ケバヤ」はVネックのえりの上着のことをいいます。ごうかで繊細せんさいなししゅうのケバヤはとっても美しくゆうがで、シンガポール航空の客室乗務員じょうむいんたちの制服せいふくも「サロンケバヤ」です。
また、ケバヤはボタンがないため、「クロサン」という金や銀細工のすかしぼりにダイヤや 真珠 しんじゅをつけたブローチを使って前をとめます。ごうかなプラナカンジュエリーやビーズししゅうのスリッパなどを合わせておしゃれを楽しんでいます。

サロンケバヤ ©シンガポール政府観光局

シンガポール共和国の行事・お祭り

カラフルなお祭り「きゅう正月」と「中秋節ちゅうしゅうせつ

きゅう正月(チャイニーズ・ニューイヤー)の時期には、チャイナタウンはカラフルなかざりであふれ、ししまいやばくちくなどでお祭りムード一色になります。大みそかは家族がせいぞろいして食事を楽しみ、三が日は新しい洋服を着て新年のあいさつに回ります。あいさつ回りにかかせないのがオレンジ2です。オレンジは中国語の「金」と発音がていてえんのいいものとされ、訪問ほうもんする時にオレンジ2をわたし、帰る時にオレンジ2をもらって帰ります。ぐう数がえんがよいとされ、「紅包(アンパオ)」という赤いふくろに入ったお年玉もぐう数の金額きんがくです。お年玉は運を分けるために配るので、日本のように大人おとなから子どもへわたすだけでなく、普段ふだんお世話になっている人や会社の部下などにもわたします。

また、9月には秋のしゅうかくを神に感謝かんしゃするとともに中秋ちゅうしゅうの名月をでる中国のお祭り「中秋節ちゅうしゅうせつ」があり、チャイナタウンは色とりどりのちょうちんでうめつくされます。この時期は1年で最も月が明るく、中秋ちゅうしゅうの名月をながめ、お茶を飲みながら「ゲッペイ」をつまむ月見パーティーを開きます。

チャイニーズ・ニューイヤー
ゲッペイ

それぞれの教徒の大事な行事

5月には、シンガポールをはじめ世界中の仏教徒ぶっきょうとにとって一番大切な日「ベサク・デー」があります。おしゃか様の生まれた日で、この日によいことをすると普段ふだんの何倍もとくをつむことができると信じられていて、仏教徒ぶっきょうとの人たちが夜明け前からお寺に集まります。
また、10月にはリトル・インディアが1年で一番り上がる「ディパバリ」があります。ヒンズー教徒の大事なお祭りで、女神ラクシュミをお祝いする日です。インド人街のリトル・インディアはイルミネーションでライトアップされ、たくさんの屋台が立ちならびます。

ディパバリ

シンガポール共和国のその他あれこれ

シンガポールのしょうちょう「マーライオン」

シンガポールという国名は、マレー語で、ライオンの町を意味する「シンガプーラ」からきています。上半身は「ライオン」で下半身が「魚」のマーライオンはシンガポールのしょうちょうとして有名です。シンガポールには7つの公認こうにんマーライオンぞうがありますが、マーライオン公園にある口から水をはき出す「マーライオンぞう」は知っている人も多いのではないでしょうか。高さ8.6メートル、重さ70トンもあるマーライオンぞうは観光スポットとしても有名ですね。

マーライオン像

シンガポールの英語「シングリッシュ」

シンガポールの人はみんな、英語と出身民族の民族母語の2語以上を話すことができます。学校の授業じゅぎょうは英語で行われますが、日常にちじょう会話では英語に中国語やマレー語がざったシンガポール独特どくとくの「シングリッシュ」で話す人が多くいます。語尾ごびに中国語の完りょうを意味する「了(ラ)」や、疑問ぎもん文の頭に中国語の疑問ぎもん文につける「マ」をつけたりします。また、主語やbe動詞どうし省略しょうりゃくするのも特ちょうです。

独特どくとくなコーヒーの飲み方

シンガポールではコーヒーのことを「コピ」といい、みんなローカルコーヒーのコピが大好きです。
「コピ」はコンデンスミルク(あまい練乳れんにゅう)と砂糖さとう入りのコーヒーのことをいいます。語尾ごびに「オー」をつけるとコンデンスミルクなし砂糖さとう入り、「シー」をつけるとエバミルク(無糖むとう練乳れんにゅう)と砂糖さとう入り、「オー・コソン」をつけると何も入れない、「シュウタイ」をつけるとあまさひかえめといったように、語尾ごびを変えるだけで何通りもの注文の仕方ができます。

コピ

シンガポールは街がきれい

シンガポールには、街をきれいにするためのきびしい法律ほうりつがあります。ゴミやタバコをポイ捨てしたり、道につばをはいたりするとばっ金をとられます。電車やバスの中で食べたり飲んだりするのも禁止きんしされているので、ガムやアメも食べてはダメです。旅行者がシンガポールにガムを持ちこむことも禁止きんしされています。

監修かんしゅう:シンガポール共和国大使館

シンガポール共和国の料理を作ってみよう!

シンガポール風ラクサ シンガポール風ラクサ

ラクサとは東南アジアで食べられている麺料理で、地域によっていろいろな味があります。シンガポール風はカレー風味が特徴です。

シンガポール風バクテー シンガポール風バクテー

いろいろな香辛料を使った香り豊かなスープ料理で、骨つき肉のうま味も味わえます。漢字では「肉骨茶」と書きます。