比べてみよう!世界の食と文化

インド共和国のあいさつ

ヒンディー語(デーヴァナーガリー文字)(他に憲法で定められた21の公用語があり、英語は準公用語です。)

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インド共和国の食文化・食のあれこれ

インド料理とカレーはちがう?

インドの食事といえば、まっさきに思いうかぶのはカレーかもしれません。でもインドで日常にちじょう的に食べられているのは、ターメリック(ウコン)やクミン、コショウなどのこうしん料を使って作るスープとにこみ料理、油でいためたおかずです。これらは日本でよく食べられているカレーとはだいぶちがうもので、名前もそれぞれの料理名でばれています。

日常的に使われるこうしん料/こうしん料を売る店
タンドゥール(つぼ形のオーブン)(北インド)
タンドゥリーチキン(北インド)/ナーンを焼いているところ

国土が広いインドでは、地方によって味つけや素材そざいもさまざまです。北インドではガラムマサーラーとばれるこうしん料がよく使われ、「タンドゥール」というつぼ形のオーブンでタンドゥリーチキンやナーンなどが作られます。南インドではからの強い料理が好まれ、ココナッツミルクで風味をそえます。また、東インドのベンガル地方では、パンチフォロンという配合調味料をよく使います。熱した油にパンチフォロンを入れ、かおりを出してから野菜や魚を調理すると、さっぱりした上品な味に仕上がります。
かつてポルトガルによる植民地支配しはいのきょ点だった西インドのゴア州では、魚やぶた肉を使ったにこみ料理などポルトガルのえいきょうを受けた料理も残っています。

肉を使わない菜食料理

インドには肉を食べない、菜食主義しゅぎ者(ベジタリアン)とばれる人たちがたくさんいます。肉類を口にしないのは宗教しゅうきょう上の理由からで、なかにはたまごなど、動物由来の食品は一切いっさい食べない人もいます。そのため野菜や豆類を材料にした菜食料理が発達し、専門せんもんのレストランも数多くあります。

料理のかくし味にヨーグルト

インドには「ダヒー」とばれるヨーグルトがあり、家庭で牛乳ぎゅうにゅうから手作りすることが多いです。ダヒーはそのまま食べるだけでなく、肉や野菜のにこみ料理に入れたり、タンドゥリーチキンなどのグリル料理の味付けに使われたり、直接ちょくせつお料理にかけて食べます。また、ダヒーに牛乳ぎゅうにゅう砂糖さとう、果実などを入れてあわ立てたあまい飲み物「ラッシー」や塩味のラッシーも乳酸にゅうさん飲料として人気です。同様に家庭では牛乳ぎゅうにゅうからバターを手作りしたり、バターを精製せいせい(水分やたんぱくしつを取りのぞく)して「ギー」という油も作ります。

日本のみんなもラッシーは飲んだことがあるんじゃないのかな?
菜食主義者(ベジタリアン)用の定食
ダヒーをあわ立ててラッシーを作っているところ

食事は、右手で食べる!
〜「じょう」と「不浄ふじょう」の考え方〜

インドでは宗教しゅうきょうにもとづく、「じょう(清らかなもの)」と「不浄ふじょう(けがれたもの)」という考え方があり、それが生活習慣しゅうかんにも結びついています。右手が「じょう」で左手が「不浄ふじょう」とされることから、食事の時は右手を使います。スプーンやフォークを使わずに指先を使って手で直接ちょくせつ口へ運ぶのが伝統でんとう的な食べ方です。自然のものを使用することがよいともされていて、バナナの葉っぱをお皿の代わりにすることもあります。

バナナの葉っぱのお皿はステキだね。けど、手で食べるのはむずかしそうだな。
手で食べているところ/バナナの葉をお皿の代わりに

主食

北部は小麦、南部は米が中心。

北インドでは小麦粉の生地きじ発酵はっこうさせて長くのばして焼いたパン「ナーン」、平べったいうす焼きのパン「チャパーティー」、チャパーティーを油であげた「プーリー」などが主食としてよく食べられています。南インドでは主食は米が中心で、たいたごはんをおかずにそえたり、「ビリヤーニー」というたきこみごはんにして食べます。細長いお米(インディカ米)を使います。中部では、ひえ、あわ、などの雑穀ざっこくやとうもろこしをよく食べます。

ナーン(北インド)/チャパーティー(北インド)
プーリー(北インド)/細長いお米(インディカ米)(南インド)

家庭料理

こうしん料のきいたスープとにこみ料理

北インドではチャナ豆のにこみと、うす焼きパンのチャパーティーをあげたプーリーの組み合わせ「チャナプーリー」を家庭でよく食べます。
また、南インドでは豆と野菜を使った「サンバール」や、トマトを使った酸味さんみとからが強い「ラッサム」などのスープをよく食べます。豆のにこみ料理「ダール」も定番の料理です。こうした料理はごはんといっしょにたべます。

チャナプーリー(北インド)/サンバール(南インド)
チャパーティー(北インド)/ドーサー(南インド)/イドゥリー(南インド)

朝食も北インドと南インドではちがう

パンが主食の北インドでは、朝食は「チャパーティー」と、こうしん料のきいた油でいためたおかずなどを食べます。南インドでは小麦粉を使ったパンの代わりにお米の粉で作ったクレープのような「ドーサー」や、酸味さんみのあるしパン「イドゥリー」をサンバールとともに食べます。

砂糖さとうたっぷりのあまいおかし

インドにはさまざまなあまいおかしがあり、お店でもたくさんの種類のおかしが売られています。家庭でよく作られるのは「キール」というドロッとしたおかゆのようなスイーツ。材料はお米と牛乳ぎゅうにゅう砂糖さとうで、レーズンやナッツを入れてにこみます。
他にとかした砂糖さとうに小麦粉や豆、ナッツなどを入れて固めたサクサクしたあめがし「ソアン・パプリー」も人気です。

キール/店頭に並ぶおかし

行事食

ミターイー

お祝いにつきものの「ミターイー」

インドでお祝い事の席に欠かせないのが「ミターイー」という伝統でんとう的なおかし。小麦粉や豆の粉に、牛乳ぎゅうにゅう砂糖さとう、ナッツなどを入れてかためて焼いたおかしで、結婚けっこん式の招待状しょうたいじょうにそえたり、引き出物として出されたり、お祭りの時や家でおもてなしする時にも食べられます。

インド共和国の学校生活

小学校の授業風景
支給された給食/中学校のお弁当の時間

インドの教育制度せいどは州によってちがいますが、5・3・2・2せいがいっぱん的で、6〜14才の子どもの初等教育(1〜8年生)が義務化ぎむかされています。その後2年間の中等学校を修了しゅうりょうし、10学年修了しゅうりょう共通試験に合格ごうかくすると、上級中等学校(2年間)に進むことができます。都市部の私立しりつ学校では12年生までのいっかん教育を英語で行う学校も多いです。公立学校ではヒンディー語と英語が必修ひっしゅうです。そのため英語を理解りかいする子どもたちも多いです。地方では、その地方の言語とヒンディー語、英語も使います。
また、IT(情報技術じょうほうぎじゅつ)産業がさかんなインドでは理数けいの教育に力を入れており、「2けたのかけ算の暗唱」(最低でも20×20まで)などの教育法が世界で注目を集めています。

学校給食

インドでは給食を出す学校は少なく、基本きほん的にはお弁当べんとうを持っていきます。最近では義務ぎむ教育の子どもを対象に、一部の地域ちいきで無料の給食制度せいどが取り入れられていますが、まだ十分ではありません。給食は一部の私立しりつの学校にはありますが、給食があっても宗教しゅうきょう地域ちいきによって食習慣しゅうかんことなるため、州によって内容ないようはさまざまです。

インド共和国のスポーツ

紳士・淑女しゅくじょのスポーツ「クリケット」と
インドの国技こくぎ「カバッディー(カバディ)」

人気のあるスポーツといえば、イギリスに起源きげんを持つクリケット。バットとボールを使う、野球の原型げんけいのようなスポーツで、全面しばふりのフィールド上で11人編成へんせいの2チームが競い合います。日本ではあまり知られていないスポーツですが、インドにはクリケットのプロリーグもあり、スター選手を目指す子どもたちが大勢おおぜいいます。

クリケット
カバッディー(カバディ)

インドはっしょうのスポーツで、国技こくぎとなっているのが「カバッディー(カバディ)」です。2つのチームに分かれて戦い、攻撃こうげきするチームの1人が「カバッディー(カバディ)、カバッディー(カバディ)・・・」といいながら相手チームのじん地に入って、できるだけ多くの人にタッチしてもどるというのがルールの基本きほん。古代、声をかけ合いながら動物を囲いこんでいくりのやり方が起源きげんになったともいわれるユニークなスポーツですが、アジアの競技きょうぎ大会では正式種目となっていて、日本でも競技きょうぎ人口がえてきています。

インド共和国の歴史

紀元前2500年ごろ、インダス川流域りゅういきにインダス文明が栄えて以来、
さまざまな民族や宗教しゅうきょうによってもたらされた多彩たさいな文化の積み重ねが今のインドをかたちづくっています。

近代インドの歴史はイギリスの植民地支配しはいに対する独立どくりつ運動の歴史でもあります。
1919年、のちに「インド建国の父」となるマハートマー・ガンディーが独立どくりつ運動を開始、
その動きはインド全土へと広がっていきました。

1947年に英国りょうより独立どくりつ1950年にはインド憲法けんぽう制定せいていされました。

インド共和国の民族衣装

男女の正装、サリー(女性)とクルタ・パージャーマー(男性)

インドの民族衣装いしょうといえば、女性じょせいが着るカラフルな「サリー」が有名ですね。サリーは約6メートルある長い1まいぬのでできていて、身体を包みこむようにして着ます。わか女性じょせいは、たけの長いワンピースにパンツを組み合わせた「パンジャビードレス」を着る人も多いです。一方、男性だんせいの民族衣装いしょうは「クルター・パージャーマー」とばれ、長めのシャツとパンツの組み合わせです。この男性だんせいのパンツのことを「パージャーマー」とびますが、19世紀の終わりごろ、このパンツがイギリスに伝わりねまきとして広まったことから、パジャマがねまきを意味する言葉になったといわれます。

インド共和国の行事・お祭り

カラフルな色のお祭り「ホーリー祭」

3月に開さいされる「ホーリー祭」は、春のおとずれを祝うお祭りです。人々は色を付けた粉や水をだれかれかまわずかけあってお祝いします。民家をおそう悪いおに「ビシャーチャ」を追いはらうため、どろなどを投げつけたことから始まったといわれます。お祭りの日は、顔や体にさまざまな色をつけた人々が通りにあふれ、建物までカラフルな色彩しきさいでぬられてしまうほどです。

ホーリー祭
ディーワーリー祭

はなやかな光のお祭り「ディーワーリー祭」

「ディーワーリー祭」は10〜11月に行われるヒンドゥー教の商人の新年を祝うお祭りで、とみと幸運をもたらすというヒンドゥー教の女神「ラクシュミー」にいのりをささげます。女神をむかえるために家や商店の入り口にろうそくなどのあかりをならべたり、建物をライトアップしたり、別名「光のフェスティバル」とばれるほどのはなやかさです。買い物をするとえんがよいとされ、インドの人たちが1年で最も物を買う時期でもあります。

インド共和国のその他あれこれ

映画館の前の看板

世界ナンバーワンの映画えいが大国

インド人が大好きなごらくの1つは映画えいが。年間の映画えいが製作せいさく本数が千本近くあって世界一です。映画えいが産業の中心地であるボンベイ(ムンバイの旧名きゅうめい)で作られる映画えいがのことを、アメリカのハリウッドにひっかけて「ボリウッド映画えいが」とぶほどです。ストーリーのとちゅうで、とつ然ダンスシーンが始まったりするのもインド映画えいがの特色で、歌あり、おどりあり、なみだあり、笑いありといった展開てんかいが人々を夢中むちゅうにさせているのです。

監修かんしゅう:インド共和国大使館

インド共和国の料理を作ってみよう!

ダール ダール

小粒の豆をスパイスで煮込んだインドの代表的な家庭料理。肉や魚などを使わない、菜食主義の人が多いインドらしい料理です。

キール キール

お米を甘く煮たミルク粥で、インドの家庭でよく作られるデザートです。カルダモンの香りが特徴です。

チキンのビリヤニ ライタ添え チキンのビリヤニ ライタ添え

米と肉汁のソースを層にして重ねて蒸した宮廷料理が発祥の炊き込みごはん。ヨーグルトサラダ「ライタ」といっしょに食べられます。