スペイン料理に欠かせないのがオリーブオイル。国内のほとんど全土でオリーブがさいばいされていて、オリーブオイルの生産量は世界一です。料理に使う油というだけでなく、コクを出す調味料としての役割も果たしています。にんにくやトマト、玉ねぎもスペイン料理によく使われる大切な食材です。
また、よく使われる調味料にパプリカパウダーがあります。あま口とから口のものがあって、料理によって使い分けています。日本でピリからのソーセージとして知られている「チョリソー」にもこのパプリカパウダーが使われています。
みんなが大好きなマヨネーズがどこで生まれたか知っていますか? いろいろな説があるのですが、スペインのメノルカ島にあるマオンという港町だというのが有力だそうです。マヨネーズに似た、卵黄、にんにく、レモン果汁、オリーブオイルなどで作る「アリオリソース」も料理に使われます。
個性豊かな料理がいっぱい
大西洋と地中海に面し、古来さまざまな民族が行き交う場所にあったスペインでは、地方によって特色ある料理が作られてきました。北部のバスク地方では、バカラオ(たらの干物)など魚かい類を使ったにこみ料理が食べられています。小さく切ったパンに料理をのせてようじでとめた「ピンチョス」と呼ばれる軽食もよく好まれています。
北西部のガリシア地方は、特産品のムール貝やカキ、エビなどを使った料理で知られ、ゆでたタコをオリーブオイルと塩をかけて食べる「タコのガリシア風」は名物料理となっています。
東部のカタルーニャやバレンシアでは、魚かい類の料理だけでなく「パエリア」などお米を使った料理もよく食べられています。南部のアンダルシア地方は、魚をフライにした料理をはじめ、夏には野菜たっぷりの冷たいスープ「ガスパチョ」が有名です。中央部のカスティージャ(カスティーリャ)地方は、肉や豆、野菜を使ったにこみ料理や子ぶたを丸焼きにした「コチニージョ(コチニーリョ)・アサード」といった肉料理が知られています。
日常生活にかかせないタパス
スペイン人は1日に5回食事をするといいます。いっぱんに昼食は14時から、夕食は21時以降と食事の時間がおそく、午前中と午後に日本のおやつのような間食をとる習慣があるためです。間食にぴったりなのが、おつまみのような小皿料理「タパス」です。タパスには一口サイズの「トルティージャ(トルティーヤ)」(スペイン風オムレツ)やポテトサラダ、魚かい類をオリーブオイルであえたものなどさまざまな種類があって、バルと呼ばれるカウンター席のある気軽なレストランで食べることができます。人々は休けい時間にはバルに足を運んでタパスをつまんだり、会話を楽しんだりして過ごします。