比べてみよう!世界の食と文化

トルコ共和国のあいさつ

トルコ語

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トルコ共和国の食文化・食のあれこれ

遊牧民のころからなじみがあった羊

羊の放牧

トルコの人々の先祖せんぞは中央アジアあたりの遊牧民でした。じょうぶで病気になりにくい羊は遊牧に向いた動物で、人々は大昔から羊にとてもなじみがありました。そのため今でも羊をい、羊肉や、羊のちちのヨーグルトやチーズが大好きです。
チーズやヨーグルトはいろいろな種類があり、いっぱん的なのは、羊ややぎのちちから作った白チーズの「ベヤズ・ペイニル」です。

トルコには「羊いのサラダ(チョバン・サラタス)」という料理もあります。これは昔、羊いたちが山に行く時、サラダ用の野菜を持っていき、山の中で調理したのが名前の由来。今では羊いだけでなく、だれもが食べています。

羊飼いのサラダ(チョバン・サラタス)
ドネルケバブ

くるくる回転する肉をそいで食べるドネルケバブ

ドネルケバブは、羊肉や牛肉、とり肉をうす切りしてスパイスで味をつけて重ね、大きなかたまりにして、回転させながら焼くトルコの焼き肉です。長いナイフでうすくそいで、野菜といっしょにうす焼きパンにはさんでソースをかけたり、ピラフやサラダにそえて食べます。ドネルケバブは日本でも屋台などで見かけますね。

ぼくもドネルケバブは大好きだよ!

さまざまなおかずがならぶ「メゼ」

「メゼ」は主に地中海地方の前菜で、さまざまなおかずがならびます。代表的なのは「フムス」というひよこ豆のペースト。
ほかにヨーグルト、にんじん、なすなどのペーストをパンにつけて食べます。

メゼ
トプカプ宮でん「美しい模様の天じょうとかべだね。」

オスマン帝国ていこく
ごうかな宮でんと料理

トルコは昔、広大な領土りょうどをもち600年以上も続いたオスマン帝国ていこくという帝国ていこくだった時代がありました。オスマン帝国ていこくのスルタン(皇帝こうてい)は、ぜいたくな食事をするために領土りょうどの中のさまざまな地域ちいきから食材や調理法をとりせて、宮ていの料理人にうでをきそわせました。そのため料理の味がみがかれて、今ではトルコ料理は、フランス料理、中国料理とならぶ「世界三大料理」の1つといわれています。

主食

パン(エキメッキ)

トルコの主食はパンです。トルコ語で「エキメッキ」といい、フランスのバゲットにたものなどさまざまな種類があります。
エキメッキには、トルコ語で「食事」とか「食りょう」という意味もあります。日本語の「ごはん」が「食事」という意味もあるのとていますね。1つの地域ちいきに1軒はパン屋があり、人々はそこで買って食べることが多いです。
またお米も食べますが、日本とちがい、おかずとして食べます。

家庭料理

トルコでは朝食に、エキメッキ(パン)と、トマトやきゅうりなどの新せんな野菜や果物くだもの、オリーブの実、白チーズなどをたっぷり食べます。パンにははちみつ、ジャム、カイマックという水牛や牛の乳汁にゅうじゅうから作るクリームなどをつけます。時間がある日はゆっくりと朝食の時間をごします。
ごうかな朝食の習慣しゅうかんは、1日2食だったオスマン帝国ていこく時代に生まれたものだといいます。1日の始まりに朝のおいのりと朝の仕事をしたあと1回目の食事をし、日没にちぼつ後に午後のおいのりをしたあとに2回目の食事をしていました。朝と夜の間に時間があくのでたっぷりの食事をしていましたが、1日3食になった今でも、昔の習慣しゅうかんが残っています。
トルコの紅茶こうちゃ「チャイ」は朝食にかぎらず、1日中飲みます。

ごうかな朝食
トルコの紅茶(チャイ)「こういう茶器で飲むんだよ。」
ぶどうの葉のドルマ/トマトやなす、パプリカのドルマ

野菜のつめもの料理の「ドルマ」

オスマン帝国ていこくの時代に各地のさまざまな郷土きょうど料理を吸収きゅうしゅうしていったので、さまざまな家庭料理があります。
ドルマは、ぶどうの葉で具をいたり、トマトやなす、パプリカなどをくりぬいて具をつめて調理した料理です。ごはんや玉ねぎなどを具にしたものは冷たくして、ひき肉などをつめたものは温かくして食べます。

日本のハンバーグのような「キョフテ」

「キョフテ」は、羊や牛のひき肉に玉ねぎなどの野菜とこうしん料をぜて味をつけ、おだんごや細長いつつ形にして焼いた料理です。日本のハンバーグにていて、子どもたちも大好きです。形や味付けのちがうたくさんの種類のキョフテがあります。

キョフテ
マントゥ/マントゥを作っているところ

まんじゅうがルーツともいわれる
「マントゥ」

マントゥは、小麦粉から作った小さな生地きじにひき肉などの具をつめてゆでた料理。ヨーグルトとにんにくのソースをかけて食べます。マントゥは中国の「まんじゅうしパン)」がルーツといわれています。

見た目はショートパスタのような料理なのよ。

大人気の「バクラヴァ」

バクラヴァは、フィロといううすい小麦粉の生地きじにピスタチオなどのナッツをはさんで重ね焼きし、バラのかおりのあまいシロップをかけたおかしです。人々はピスタチオが大好きで、ピスタチオの特産地であるガジアンテップという街にはピスタチオをたっぷり使ったバクラヴァのお店がたくさんあります。

バクラヴァと他のおかし
ドンドルマ「私ものび〜るアイスクリーム、食べてみたいなぁ!」

ネバ〜っとのびるアイスクリーム「ドンドゥルマ」

トルコには「ドンドゥルマ」というねばりのあるアイスクリームがあります。長いぼうにドンドゥルマをひっかけてのばしながらはん売していて、人気があります。
ドンドゥルマの材料は、羊のちち砂糖さとう、そしてサーレップというラン科の植物の根をかんそうして粉にした物。のびる秘密ひみつは、このサーレップ! チョコレートやいちごなどさまざまな味があります。

ちょっと変わったおかし

ロクムは、コーンスターチなどのでんぷんと砂糖さとうをとかしてナッツ類を加えたあまくてもちもちしたおかしです。切るときれいな色があらわれます。ロクムは英語で「ターキッシュ・ディライト」とばれ、トルコのよろこびとやくされます。
お米を使ったデザートもあります。「ストラッチ」は、お米をやわらかくにて、牛乳ぎゅうにゅう砂糖さとうぜたお米のプリン。シナモンの粉をかけて食べたり、オーブンで焼いて食べます。

ロクム/ストラッチ

行事食

ケシケキ

地域ちいきの人々のつながりを強くする「ケシケキ」作り

トルコには宗教しゅうきょう行事や祝日、結婚けっこん式、おそう式などの特別な日に食べる「ケシケキ」という料理があります。ケシケキは麦や肉などを牛乳ぎゅうにゅうでにこんだおかゆのような料理で、親族や近所の人々がいっしょに協力して作ります。
村の女性じょせいたちが集まって歌を歌いながら小麦をあらってかわかし、男性だんせいたちが石うすで小麦をひきます。その小麦や他の食材を大きいなべで調理します。このような共同作業をしていくうちに、地域ちいきの人々のつながりが強くなっていきます。日本のおもちつきと少しています。

地域の人たちは 仲がいいのよ。

トルコ共和国の学校生活

放課後はみんなでバレーボール

もともと7才から14才までの8年間が義務ぎむ教育でしたが、2012年の義務ぎむ教育改かくにより6才から17才までの12年に義務ぎむ教育期間がえん長されました。その前には0才から5才までのようち園、保育園ほいくえん、また義務ぎむ教育後には大学、職業しょくぎょう学校の学校制度せいどがあります。
義務ぎむ教育の12年間では、公立校の場合は授業じゅぎょう料が無料です。初等教育の就学率しゅうがくりつは90%をこえます。また、いっぱん的な教育以外に視覚障害者しかくしょうがいしゃ知的障害者ちてきしょうがいしゃ身体障害者しんたいしょうがいしゃなどに対する特しゅ教育もはば広く行われています。
小学校の授業じゅぎょう通常つうじょう、午前9時半から午後3時まで行われ、9月から新学期が始まる2学期せいです。

学校給食にもオリーブオイル!

日本のように教室で配ぜんするのではなく、食堂に集まってビュッフェ式の給食を食べます。メニューは、サラダ、肉料理、ヨーグルト、ピラフなどで、オリーブオイルをよく使う料理が提供ていきょうされています。子どもたちに人気のあるメニューはキョフテやピラフ、スパゲッティです。
最近は外出せずに室内でアニメを見たりゲームで遊んでばかりと、肥満気味ひまんぎみの子どもたちがえています。そのため学校給食は健康的に栄養のバランスがとれたものが考えられています。

トルコの給食

トルコ共和国のスポーツ

日本のすもうにている「ヤールギュレシ」

1番人気のあるスポーツはサッカーです。トルコの男の子たちは空き地でサッカーを楽しんでいます。日本のように部活もあり、じゅうどうやテコンドーもさかんです。
伝統でんとう的なスポーツには、650年の歴史をもつ「ヤールギュレシ」という、日本のすもうにかくとうがあります。これはトルコの国技こくぎにもなっています。ヤールはトルコ語で「油」、ギュレシは「すもう」という意味があり、選手は全身にオリーブオイルをたっぷりぬって競技きょうぎをします。

サッカーをして遊ぶトルコの子どもたち
ヤールギュレシ「油をぬるからたたかいづらいんだよ。」

トルコ共和国の歴史

トルコのあるアナトリア半島は、
きゅう石器時代から人が住みはじめたといわれるとても古い歴史をもつ地域ちいきです。
紀元前18世紀ごろにこの地域ちいき統一とういつ国家であるヒッタイト帝国ていこくができ、
鉄器を初めて使いました。トルコには今でもその当時のせきが残っています。

紀元前546年にはペルシア帝国ていこく領土りょうどになり、
また紀元前333年にはマケドニアのアレキサンダー大帝たいてい支配しはいされました。
330年から1071年にはキリスト教のビザンツ帝国ていこく領土りょうどとなり、
コンスタンティノープル(イスタンブル)を首都として栄えました。

その後は1243年まで、
東からやってきたイスラム教徒の遊牧集団しゅうだんセルジュク族がアナトリア半島を支配しはいします。
ここに初めて、トルコけいのセルジュク朝が誕生たんじょうします。

セルジュク朝はモンゴル帝国ていこくにほろぼされ、のちにイスラム教のオスマン帝国ていこくが成立します。
オスマン帝国ていこく16世紀にもっとも勢力せいりょくを広げて、
東ヨーロッパや北アフリカ、西アジアまで広大な領土りょうどを手に入れます。

長くはん栄したオスマン帝国ていこく1922年にめつぼうし、1923年現在げんざいのトルコ共和国が成立します。
初代大統領だいとうりょうのムスタファ・ケマルはトルコの父(アタテュルク)とばれ、
宗教しゅうきょう政治せいじを分させるなどトルコの近代化をはかり、今も国民から敬愛けいあいされています。

トルコ共和国の民族衣装

ゼイベックのおどりの衣装

かつて大帝国ていこくきずいたトルコには地域色ちいきしょくあふれるさまざまな文化があり、民族ぶようや民族衣装いしょうも地方の気候風土や特色によりさまざまです。これらの衣装いしょうは主におどり手や楽器奏者そうしゃが身に着けるもので、現在げんざいは実生活で着ることはありません。
エーゲ海に近い西トルコを中心に始まった「ゼイベック」というおどりは、ゆっくりとしながらも力強い動きが特ちょうで、勇気などを表しています。衣装いしょう男性だんせいは勇ましいです。

トルコ共和国の行事・お祭り

シェケル・バイラム(断食だんじき明けの砂糖さとう祭り)

「ラマザン」というイスラム教の断食だんじき月が明けたあとに行われる「シェケル・バイラム」というお祭りがあります。これは砂糖さとう祭りという意味で、3日間休日になり、町中がおかしでいっぱいになります。この時期に家族や親せきで集まったり、旅行に行ったりします。子どもたちにおかしが配られることもあり、自分の背たけほどのふくろにおかしを入れてかかえている子どもたちを見かけます。

シェケル・バイラムのおかし
トルコの子どもの日

子どもの日

4月23日はトルコの「子どもの日」で、祝日です。この日は世界各国から子どもたちをトルコに招待しょうたいしてホームステイをして子どもたち同士どうし友情ゆうじょうを深めます。いっしょに歴史的な場所をおとずれたり、食文化を学んだりもします。
また、この日は子どもたちが大臣の席にすわって「1日大臣」になり、子どもたちのための政策せいさくを考えたりする行事もあります。

ぼくも子どもの日の行事に参加したいなあ。

トルコ共和国のその他あれこれ

チューリップがえがかれたタイル

チューリップの原産地

チューリップの原産地はトルコのアナトリア地方だといわれています。そのため、宮でんやモスクなどにチューリップがえがかれたタイルがよく使われていて、国花にもなっています。今ではチューリップの産地はオランダが有名ですが、これは16世紀にトルコからオランダに伝わったものなんです。

人気の高いトルコ産のじゅうたんとキリム

美しいトルコのじゅうたんとキリムには古い歴史があり、世界中で人気があります。羊毛や綿めんせいの物や、シルクで作られた高価こうかなじゅうたんもあります。直線や曲線を組み合わせたきか学模様もようや花などのモチーフが使われています。
キリムは、じゅうたんよりもうすい織り物で、しき物のほか、部屋の間切りにしたり、物をくるんだりして使います。
じゅうたんもキリムも人々の生活に欠かせない伝統芸術でんとうげいじゅつの一つです。

トルコじゅうたん
キリム「私の家にもじゅうたんとキリムがあるのよ。」
駐日トルコ共和国大使館に飾られているエルトゥールル号の模型

エルトゥールル号そうなん事件じけんから生まれた
日本とトルコの友情ゆうじょう

エルトゥールル号そうなん事件じけんは、1890年に現在げんざいの和歌山県串本くしもとおきでトルコのオスマン帝国ていこくの軍かんエルトゥールル号がそうなんし、多くのぎせい者を出した事件じけんです。このときに地元の大島村(当時の名前)に住む日本人がけん命な救助活動を行い、また遺族いぞくへのおみまい金が集められたことでトルコの人々は日本人に好意を持つようになりました。
今、和歌山県串本くしもと町にはエルトゥールル号でくなった人々の慰霊碑いれいひとトルコ記念館が建っており、駐日ちゅうにちトルコ共和国大使館とともに慰霊いれい祭が5年ごとに行われ、さらなる友好を深めています。

監修かんしゅう:トルコ共和国大使館

トルコ共和国の料理を作ってみよう!

キャベツのドルマ キャベツのドルマ

ドルマは詰め物という意味の家庭料理で、ぶどうの葉で包んだり、ピーマンやトマトなどでも作ります。キャベツで作ったものがヨーロッパに伝わってロールキャベツになったといわれています。

キョフテ キョフテ

トルコ風の肉団子やハンバーグで、家庭でもよく作られています。焼いただけでもおいしいですが、トマト煮込みにしたり、パンにはさんだりして食べることもあります。