比べてみよう!世界の食と文化

フランス共和国のあいさつ

フランス語

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フランス共和国の食文化・食のあれこれ

種類が豊富でおいしいチーズ

カマンベール/ロックフォール/シェーヴル「チーズはみんな大好きで毎日たくさん食べるんだよ!」

フランスでは、村ごとに特ちょう的なチーズが1つはあるといわれるほど、チーズの種類が豊富ほうふです。世界中に輸出ゆしゅつされ、そのおいしさがみとめられています。牛乳ぎゅうにゅうだけでなく羊や山羊やぎちちからもチーズが作られます。特に生乳せいにゅうを使ったチーズは、大切にされています。
代表的なものは、表面が白カビでおおわれたカマンベールや、のうこうな味わいが特ちょう的な青カビチーズのロックフォール、山羊やぎちちから作る白カビチーズのシェーヴルなどです。

フランス料理とソース

ソースはフランス料理の基本きほんです。シンプルに焼いた肉や魚にさまざまなソースをかけて食べる料理がいろいろあります。ソースを作るには、まず肉や野菜にげっけいじゅ(ローリエ)やタイムなどを加えて煮出にだしてこした「フォン」というだしを作ります。子牛こうしの骨・肉を使ったものはフォン・ド・ヴォーとばれます。
代表的なソースには、フォンにバターや小麦粉などのつなぎを加えた「ソース・ドゥミグラス(デミグラスソース)」があり、万能ばんのうのソースといわれています。その他、グラタンやクリームコロッケに使う、バターでいためた小麦粉と牛乳ぎゅうにゅうで作る「ソース・ベシャメル(ホワイトソース)」、と油、お好みでハーブを加えて作る、サラダのドレッシングに使われる「ソース・ヴィネグレット」などがあります。

洗練せんれんされたフランス料理のはじまり

フランスの食文化は、ユネスコの無形文化遺産いさんに登録されています。
歴史をふり返ってみると、14世紀のはじめに書かれた料理書には「とり肉のシナモンソース」など、今食べてもおいしそうな料理のレシピが130ものっています。そして、フランス料理が他のヨーロッパ料理とちがい、独自どくじ洗練せんれんされたのは17世紀、ヴェルサイユ宮でんを建てたルイ14世の時代だといわれています。その後さらに、19世紀のはじめにはカレームという料理人が、目の覚めるようなごうかでエレガントな料理を作り出し、現在げんざいのフランス料理の名声をきずきました。

ソース・ドゥミグラス/ソース・ベシャメル/ソース・ヴィネグレット

主食

バゲット/バタール/フィセル

食事の中心は、肉や魚に、豆類やじゃがいもやにんじんなどの根菜類をそえたものですが、パンもかならず付いてきます。チーズを食べる時にも欠かせません。パンは、日本でもフランスパンといわれておなじみのバゲット、太めのバタール、バゲットより細いフィセルなど、いろいろな種類があります。中でもバゲットは、フランス国内で購入こうにゅうされるパン全体の約80%をしめるほどよく食べられています。

家庭料理

朝食は変化している!

昔からの朝食の定番はバゲットやクロワッサンなどのパンとカフェオレでしたが、最近は大きく変化してきており、シリアルにヨーグルトなどの乳製品にゅうせいひん果物くだもの、ジュース、それにミルクティーなどの朝食を食べる人もいます。

世界でも有名なフランスの家庭料理

フランスには、アルプス山脈さんみゃくのある冬が寒い東部、大西洋に面したかく的すずしくて湿気しっけのある西部と北部、地中海に面したあたたかくてかんそうした南部などさまざまな気候があり、郷土きょうど料理もたくさんあります。代表的なものは南フランスの「ブイヤベース」(魚かいのスープ)や、ワインの産地として有名なブルゴーニュ地方の「ブフ・ブルニギヨン」(牛肉の赤ワインにこみ)、南西部の白いんげん豆と肉のにこみの「カスレ」。日本の洋食としても知られている「オムレツ」や「クロケット(コロッケ)」はもともとフランスから入ってきたもので、家庭でもよく食べられています。
そしてフランスでは、家族だんらんで食べる食事をとても大切にしています。食事は1日3食をほぼ同じ時間帯に食べて、家族との会話を楽しみます。

ブイヤベース/ブフ・ブルギニヨン/カスレ/クロケット「オムレツやコロッケもフランスのお料理だったのね。」
マドレーヌ/ラング・ドゥ・シャ/マカロン/さくらんぼのタルト「マカロンは、色によってそれぞれ味がちがうのよ。」

日本でもおなじみのおかし

フランスにはおいしいおかしがたくさんあります。ケーキやシュークリーム、エクレア、マドレーヌ、クッキーのようなラング・ドゥ・シャなど日本でもよく知られたおかしも、もとはフランスのおかしです。
貝の形のマドレーヌは、もともと本物のほたて貝の貝がらを使って焼いていたといわれています。バターと小麦粉、たまご砂糖さとうぜてバニラエッセンスなどでかおりをつけて焼きます。
マカロンは卵白らんぱくとアーモンド粉、砂糖さとうで作った生地きじにさまざまな味のクリームをはさんだ焼きがしです。
家庭では、りんご、洋なし、いちご、さくらんぼなどを使ったフルーツタルトの焼きがしをよく作ります。簡単かんたんに作れるので子どもたちが率先そっせんして作ります。

行事食

カーニバルのベニエとイースターのたまご形チョコレート

キリスト教カトリックの国々には、カーニバル(謝肉祭しゃにくさい)というお祭りがあり、フランスではカーニバルの最終日は「マルディ・グラ」といいます。マルディ・グラが終わったよく日からイースター(復活祭ふっかつさい)までの40日間は、肉などを食べることを制限せいげんするので、この日はおいしいものを好きなだけ食べてよい、といわれています。この日、子どもたちはベニエというドーナッツのようなあげがしを食べます。
イースターでは、たまご形のチョコレートや子羊のローストを食べます。また、イースターの前日には、お父さん、お母さんが、ゆでたまごのからに絵をかいたイースターエッグをどこかにかくして子どもたちがさがすという楽しい行事も行われます。

ベニエ
イースターエッグ「イースターエッグを探して見つけ出すのが、とても楽しみなんだ。」
ビュッシュ・ドゥ・ノエル

クリスマスのごちそう

クリスマスは、盛大せいだいに祝ってたくさんのごちそうを食べます。フランスではクリスマスのことをノエルといいます。クリスマスに食べる代表的な食べ物は、キャビア、フォアグラ、白いブーダンというソーセージ。またとり七面鳥しちめんちょうの丸焼き、子羊のローストなども食べます。クリスマスのおかしの定番は、「ビュッシュ・ドゥ・ノエル」という丸太の形をしたココアクリームのロールケーキです。

フランス共和国の学校生活

2019年度から義務ぎむ教育が3才から

現在げんざい義務ぎむ教育は6才から16才までの10年間ですが、2019年度からは3才から16才までになりました。3才から5才までの3年間がようち園、6才からの5年間が小学校、4年間が中学校、その次の3年間(18才まで)が高校です。じゅくに通ったり家庭教師きょうしから学ぶ子どもはあまりいません。成績せいせきゆうしゅうな生徒には「飛び級」制度せいどがありますが、成績せいせきが悪いと留年りゅうねんすることもあるので、子どもたちは、学校でも家庭でもしっかり勉強します。
フランスの公立学校は無料で通え、公立ではすべて男女共学です。ほとんどの場合、授業じゅぎょうは月曜、火曜、木曜、金曜で、水曜日はお休み(または半日)、土曜と日曜もお休みです。
新学期は9月から始まります。きゅうかは、秋とクリスマス、冬、春にそれぞれ約2週間、また7月初じゅんから約2か月間の夏休みがあります。

毎年恒例の学校スキー教室
学校給食

学校給食といったん家にもどってとる昼食

フランスの学校給食はカフェテリア式のところが多く、子どもが料理を取っていきます。肉や魚などのメインの料理に、豆やにんじん、ほうれん草などの温野菜をそえてパンとチーズ、フルーツ、ヨーグルトなどが付きます。
一方で約2時間の長いお昼休みを取る学校もあり、大都市や両親が共働きの場合などをのぞけば、子どもたちはいったん家にもどって昼食をとることもできます。

フランス共和国のスポーツ

山がく地方で人気のスキー

いろいろなスポーツを楽しみます!

1番人気のあるスポーツは、サッカーです。4年に1度行われるサッカーのワールドカップでもフランスはきょうごうとして知られています。
ほかにはバスケットボール、ハンドボール、ラグビーなどの球技きゅうぎや水泳、じゅう道もさかんです。アルプスの山がく地方ではスキーなどの冬のスポーツもよく行われています。
フランスの学校は勉強するのが目的であるため部活などはなく、子どもたちは市内のクラブでサッカーなどのスポーツを楽しみます。

フランス共和国の歴史

フランスは古代ローマの時代、「ガリア」とばれるローマ帝国ていこく領土りょうどで、ケルトけいの人々が住んでいました。
5世紀ごろ、ゲルマン族のフランク人が定住してフランス王国の土台が作られ、13世紀には南北のフランスが統一とういつされます。

14世紀半ばから15世紀半ばにかけて、イギリスとの間に「百年戦争」がぼっぱつ
ジャンヌ・ダルクが戦いに加わり、勝利をおさめます。

17世紀のルイ14世の時代に、海外に植民地をたくさん作って国富こくふやします。
そして1680年代にぜいたくなヴェルサイユ宮でんが建設けんせつされます。
18世紀のルイ16世の時代、アメリカの独立どくりつ戦争への参戦や、王妃おうひマリー=アントワネットのぜいたくならしなどで
国の財政ざいせいを使い果たし、一方で、多くの農民がまずしい生活で苦しみました。
そして1789年7月14日にパリ市民によるフランス革命かくめいがおこり、自由・平等・博愛を求めるフランス共和国が成立します。

1804年、ナポレオンが皇帝こうていナポレオン1世となりますが、ナポレオンによる帝国ていこくは、
ロシアへの遠せいが失敗に終わったことで1814年に終わりを告げます。

1850年ごろよりパリでファッションやフランス料理の名声が高まり、のちのフランスのブランド産業に発展はってんします。
1889年にはフランス革命かくめい100周年を記念して開かれたパリ万国博覧会ばんこくはくらんかいのために、エッフェルとうが建てられます。
このころから20世紀にかけてパリには世界各地から多くの芸術げいじゅつ家やデザイナーが集まり、
文化と芸術げいじゅつの都パリとして注目を浴びるようになります。その後も現在げんざいいたるまで、
フランスとパリは、自由で個性豊こせいゆたかなライフスタイルで世界をリードしています。

2017年には、エマニュエル・マクロンが39才のわかさで大統領だいとうりょう就任しゅうにんし、
世界で1番わか大統領だいとうりょうとして注目されています。

フランス共和国の民族衣装

ブルターニュ地方のビグデンの衣装/アルザスの民族衣装「民族衣装は、お祭りなどの特別な日にだけ着るのよ。」

特ちょうのある頭かざり

地方によってかなりことなった文化を持つ国なので、地方ごとにさまざまな民族衣装いしょうがあります。特ちょうがあるのは、ブルターニュ地方の地名からきた「ビグデン」とばれる、高さのある、ぼうしのような頭かざりをかぶる独特どくとく衣装いしょうや、北東部のアルザス地方の民族衣装いしょうなどです。アルザスでは女性じょせいは大きな黒いリボンのかみかざりをつけ、ししゅう入りの黒いエプロンと赤いスカートを着ます。男性だんせいは黒いぼうしとスーツ、ズボンに、赤いチョッキを着ます。

フランス共和国の行事・お祭り

フランス革命かくめい記念日

7月14日はフランス革命かくめいを祝う日で、日本では「パリ祭」ともばれます。
この日は「トリコロール(三色旗)」とばれる国旗があちこちではためき、各地で花火が打ち上げられて盛大せいだいにお祝いをします。パリでは軍事パレードが行われ、大統領だいとうりょう演説えんぜつするほか、各地で音楽祭やダンス・パーティーが行われます。この日をぎると、夏のきゅうか(ヴァカンス)が始まります。
お祭りにはほかに、「わざわいをすべて火でやす」といわれる夏至げしの祭り「サン・ジャン(せいヨハネ)の火祭り」などがあります。この夏至げしの祭りは各地で行われ、える火を見ながら祭りを楽しみます。

革命記念日の花火
サン・ジャンの火祭り

フランス共和国のその他あれこれ

世界最大級のルーブル美術びじゅつ

パリにある国立のルーブル美術びじゅつ館は、世界でもっとも大きな美術びじゅつ館の1つです。6万平方メートルのしき地に38万点以上の美術びじゅつ品の収蔵品しゅうぞうひんがあるといわれます。面積や収蔵品しゅうぞうひんの多さだけではなく、1年間におとずれる人の数が800万人以上と、世界の美術びじゅつ館の中でもトップクラスの入場者数をほこります。
ルーブル美術びじゅつ館は、フランス王フィリップ2世が12世紀にじょうさいとして建設けんせつを始め、歴代のフランス王の王宮として使われてきたルーブル宮でんでした。

ルーブル美術館「とても広い美術館で、1日で全部見るのはむずかしいのよ。」
ヴェルサイユ宮でん「ここでは、当時貴族のほか使用人もふくめ、1万人ぐらいの人が生活していたんだよ。」

ごうかなヴェルサイユ宮でん

ヴェルサイユ宮でんは、1682年にフランス王ルイ14世が建てました。ごうかな宮でんでは毎日のようにパーティーが行われていました。またヨーロッパ中の貴族きぞくたちが宮でんにまねかれて、ぜいたくのかぎりをつくした食事に魅了みりょうされ、フランス人シェフを連れて帰り、自分の国でそのごうかさを再現さいげんするなど、ヴェルサイユ宮でんのしきたりはヨーロッパ中にえいきょうをあたえました。この時の栄華えいがきわめた貴族きぞくの生活が、現在げんざいに続く洗練せんれんされたフランス料理やファッション、ヘアメークの発展はってんにつながっています。

海の中に立つモン・サン=ミッシェル

ノルマンディー地方にあるモン・サン=ミッシェルは、海岸から近い小島にそびえる修道院しゅうどういん。周辺はしお干満かんまんがはげしく、島は満ちしおの時は海にうかび、引きしおの時は陸とつながって歩いてわたることができ、巡礼者じゅんれいしゃ修道院しゅうどういんに通いました。モン・サン=ミッシェルの島は、厳島いつくしま神社のある宮島(広島県廿日市はつかいち市)と観光友好都市です。どちらも海にうかぶ世界遺産いさんであり、古い歴史を持つ信こうの聖地せいちという共通点があります。

モン・サン=ミッシェル/厳島神社

監修かんしゅう:北山晴一(立教大学 名誉教授めいよきょうじゅ

フランス共和国の料理を作ってみよう!

かにと卵のクロケット かにと卵のクロケット

パリパリと音を立ててかむことをフランス語ではクロケといい、それが料理名になったといわれています。日本ではコロッケといいます。

トマトのファルシー トマトのファルシー

ファルシーとはフランス語で「詰める」という意味で、器に見立てたトマトに具がぎっしり入ります。野菜がおいしい南仏の郷土料理です。