比べてみよう!世界の食と文化

ハンガリーのあいさつ

ハンガリー語

hearingあいさつをクリックすると、音声が聞けるよ

親しい人にはこんにちはを「シア」というのよ。

ハンガリーの食文化・食のあれこれ

パプリカを使った料理がたくさん

たくさんの種類のパプリカ/パプリカ粉

ハンガリー料理のいちばんの特ちょうは、パプリカをたくさん使うことです。パプリカは、南アメリカ大陸原産のとうがらしがヨーロッパに伝わり、ハンガリーで品種改良されました。今では種類もたくさんあります。
生のパプリカに具をつめて焼いたり、パプリカの実をかんそうさせて粉末にしてこうしん料として使います。こうしん料のパプリカ粉にはからいものと、からくないものがあります。田舎いなかに行くと、家ののき先にたくさんのパプリカがしてあります。

国宝こくほうの「マンガリッツァぶた」

ハンガリーでは、19世紀前半に誕生たんじょうした、羊のようにカールした長い毛を持つ特別なぶた「マンガリッツァぶた」が飼育しいくされています。
マンガリッツァぶたは、1991年には200頭を切るほどってぜつめつの危機ききにありました。しかし政府せいふがそれを救うために飼育しいくを管理し、数をやすことができ、2004年には「国宝こくほう」に指定されました。
麦やりんご、かぼちゃなどをえさとしてあたえられて育ったマンガリッツァぶたの肉には、ビタミン類が多くふくまれていて、しもりも多い肉質にくしつなので高級レストランでよく使われています。

マンガリッツァぶた「毛の長いかわいい ぶたね。」
ヒデグ・メッジレベシュ「わー、デザートのようなおいしそうなスープだね!」

夏に飲む冷たくて甘酸あまずっぱいサワーチェリーのスープ

暑い夏には、食事の最初に「ヒデグ・メッジレベシュ」という冷たくて甘酸あまずっぱいサワーチェリーのスープを飲む習慣しゅうかんがあります。サワーチェリーのほかに、ももや洋なしのスープを飲むこともあります。
ヒデグ・メッジレベシュは粉末のインスタントスープも売られていて、手軽に飲むことができます。

主食

主食はパンです。特に食事の時に欠かせないのが、とても大きいパン「ケニエル」です。
他に、昔よく旅に出る時に持って行った「ポガーチャ」、三日月形みかづきがたの「キフリ」、丸形のロールパン「ジェムレ」など、パンの種類がたくさんあります。キフリは、フランスのクロワッサンの起源きげんという説があるパンです。
パン以外では、「リジビジ」というえんどう豆をお米にぜて作ったリゾットなども食べます。

ケニエル/ポガーチャ/ジェムレ(左)とキフリ(右)

家庭料理

ハンガリーの朝食

ハンガリーではたっぷりの朝食をとります。温めたパンにはバターとはちみつやジャムをそえます。きゅうりやトマトなどの野菜、いろいろな種類のハムやサラミ、コルバースというハンガリーのソーセージやチーズ、たまご料理などが主なメニューで、いっしょに紅茶こうちゃやコーヒー、牛乳ぎゅうにゅうを飲みます。
家庭料理でよく食べられているのは、パプリカ粉で肉や野菜をにこんだスープ「グヤーシュ」、パプリカ粉とサワークリームのソースでにこんだとり肉料理の「パプリカーシュ・チルケ」、パプリカの肉づめ「トゥルトット・パプリカ」などがあります。休日には、家族がそろって手間のかかる料理をゆっくり食べることも多いです。「フーシュレヴェーシュ」というぶた肉やとり肉などの肉と野菜とそうめんのような細いパスタをにこんだ料理をよく食べます。

グヤーシュ/パプリカーシュ・チルケ
トゥルトット・パプリカ/フーシュレヴェーシュ

小麦粉の生地きじで作ったいろいろなおかし

ハンガリーには小麦粉の生地きじで作ったおいしいおかしがいろいろあります。
パラチンタは、クレープのようなおかし。ジャムやチョコレートソースをぬって折りたたんだり、くるくると丸めたりします。肉やハムを包んで食事として食べることもあります。
レーテシュは、うすいパイのような生地きじに、りんごやサワーチェリーなどの果物くだもの、またチーズなどの具をいてオーブンで焼いたあまいおかし。果物くだもの甘酸あまずっぱくておいしく、ハンガリーの人々の大好物です。
クルトーシュカラーチは、「えんとつ(クルトーシュ)」のような空どうのおかし。生地きじをバウムクーヘンのようにぐるぐると回しながら焼きます。砂糖さとうをぬってパリッとした外側と、ふんわりした内側の両方の食感が楽しめ、特に焼きたてがとってもおいしいおかしです。結婚けっこん式やお祭りで食べるほか、屋台でも売られています。

パラチンタ/レーテシュ/クルトーシュカラーチ「僕は、フルーツを使ったおかしが大好きだよ!」

行事食

ハラースレー/ベイグリ/トゥルトット・カーポスタ(ロールキャベツ)「クリスマスは家族みんなでごちそうを食べるんだよ。」

クリスマスには
「ハラースレー」と「ベイグリ」

キリスト教国として長い歴史を持つ国なので、クリスマスを大々的にお祝いします。街には美しいクリスマスのイルミネーションがかざられますが、日本のようにパーティーを楽しむよりは、家で家族といっしょにクリスマスの日をごします。
クリスマスに欠かせないのは、クリスマスイブに食べるコイなどの川魚を使ったパプリカのスープ「ハラースレー」と、くるみやけしの実のペーストをつめたおかしの「ベイグリ」です。ハラースレーはお父さんが作る習慣しゅうかんがあり、家庭によって様々な味があります。焼いたがちょうや七面鳥しちめんちょうや、トゥルトット・カーポスタ(ロールキャベツ)を食べることもあります。

ハンガリーの学校生活

いっぱん的な教育システムは、小中学校8年、高校4年、大学3年〜5年です。小中学校6年、高校6年というシステムもみとめられています。
学校は8時に始まり、4時限じげん授業じゅぎょうのあと、お昼をはさんで午後の授業じゅぎょうがあります。
また、キリスト教(カトリック)を国教としてきた長い歴史があるため、国立や公立、私立しりつのほかに、キリスト教の教会が設立せつりつ運営うんえいする「教会立」の学校があります。教会立学校の校内には教会があり、子どもたちは毎朝、授業じゅぎょうの前にここでおいのりをします。
高校生になると、放課後には週1回のクラブ活動の時間があり、サッカーやバレーボール、水球やフェンシングなどをします。

小学校の校舎と校庭
ハンガリーの給食

学校給食

通常つうじょうはカフェテリアで、それぞれトレイにおかずをってもらいます。カッテージチーズなどをかけたパスタ、じゃがいもやほうれん草などの野菜のスープに目玉焼きをそえたおかずなどが定番です。これにパンやくだものが付きます。飲み物は水です。
また午後にはおやつとして、はちみつやバターをつけたパンを食べることもあります。

ハンガリーのスポーツ

人気なのは、球技きゅうぎとサッカー

ハンガリーは「水球」という、プールの中で行う球技きゅうぎの強い国として知られています。オリンピックでも水球でたくさんのメダルをかくとくしています。国内には温泉おんせんを利用した温水プールが多く、スイミングスクールもたくさんあるので、子どものころから水球に親しめる環境かんきょうがととのっています。ほかにハンドボールやバスケット、バレーボールなどの球技きゅうぎもさかんです。
サッカーも人気があり、プロのサッカー選手になることをゆめ見ている子どもたちがたくさんいます。子どもたちは、サッカーを通してチームワークの大切さを身につけていきます。

水球
ハンガリーでは女子サッカーもさかん

ハンガリーの歴史

ハンガリーは、古代にパンノニアとばれた広い平原にあります。すずしくかんそうしていて遊牧にてきした土地だったため、
アジアからやってきた様々な遊牧民族が気に入って住みはじめました。
もともとはローマ帝国ていこく領土りょうどでしたが、4世紀後半に中央アジアの遊牧騎馬きば民族フン族がやってきて、
この地に初めて独立どくりつ国家を作りました。

11世紀ごろには、現在げんざいのロシアにあるウラル山脈さんみゃくあたりからやってきた遊牧騎馬きば民族マジャル人(マジャール人)が、
キリスト教を信こうするハンガリー王国を建国したといわれています。

ハンガリー王国は13世紀にはモンゴル帝国ていこくのしんりゃくを受けて大きな被害ひがいを受けました。
1526年のモハーチの戦いで、バルカン半島に進出していたイスラム教のオスマン帝国ていこく領土りょうどの一部をうばわれます。
またこの戦いでハンガリーのヤギェウォ王家の後けい者がとだえたため、
王家と親戚しんせき関係にあったオーストリア大公のハプスブルク家が、ハンガリーの残りの土地を受けつぐことになりました。
ハプスブルク家はその後、オスマン帝国ていこくを追い出してハンガリーのほぼ全域ぜんいき領土りょうどにしました。

1848年にはハンガリー王国を独立どくりつさせようとハンガリー革命かくめいが起こります。これは失敗に終わりますが、
反乱はんらんによる帝国ていこくの弱体化をおそれたフランツ・ヨーゼフ1世は、1867年にハンガリー王国の権限けんげんをもっと広くみとめ、
自分がオーストリアこうていとハンガリー国王をかね、オーストリア=ハンガリー帝国ていこくが成立しました。

1914年から1918年に起きた第一次世界大戦で、オーストリア=ハンガリー帝国ていこくは敗北し、帝国ていこく解体かいたいされます。
ハンガリーは不安定ながらもふたた独立どくりつを手に入れますが、第二次世界大戦後の1946年王制おうせいははい止になり、
1949年にソ連のえいきょう下におかれた社会主義しゅぎ国家のハンガリー人民共和国が成立します。

1980年代には民主化が進み、1989年、ハンガリー共和国に国名を変こうします。
1991年のソ連ほうかいのあと1997年ころから経済けいざいじょうきょうもよくなり、2004年にはEU(欧州おうしゅう連合)に加盟かめいしました。
2012年、国名が「ハンガリー」に変こうされました。

ハンガリーの民族衣装

民族衣装/マチョーししゅう/カロチャししゅう

地方ごとに様々な民族衣装いしょうがあり、中でも有名なのは、たくさんのかわいい花のししゅうで知られるマチョー地方とカロチャ地方の民族衣装いしょうです。マチョーししゅうはしっかりとみこまれていること、またカロチャししゅうはレースのように加工していることが特ちょうです。
どちらの地方でも、ししゅうは女性じょせいたちが作ります。小さい子どもからおばあさんまで、女性じょせいたちはお祭りなどのイベントなどでこれらの民族衣装いしょうを身につけます。

ハンガリーの行事・お祭り

ブショー・ヤーラーシュ

ブショー・ヤーラーシュは、毎年2月に南部の街モハーチでキリスト教の謝肉祭しゃにくさいに行われるお祭りです。メインイベントは、仮面かめんをかぶった人たちのパレード。おそろしい顔の仮面かめんをかぶって、かつて支配下しはいかにあったオスマン帝国ていこくの兵士を追い出す、もしくは春をむかえるために冬を追い出すという意味があったと伝えられています。6日間、歌やダンスとともにお祝いが行われます。

ブショー・ヤーラーシュ

ハンガリーのその他あれこれ

馬を乗りこなす人

アジアからやってきた騎馬きば遊牧民だった

ハンガリーの人々は自分たちのことをマジャル人(マジャール人)といい、その先祖せんぞはアジアとヨーロッパのさかいのウラル山脈さんみゃくあたりにいた騎馬きば遊牧民でした。
マジャル人(マジャール人)は騎馬きばによる軍事力で領土りょうど支配しはいしました。そのため人々はヨーロッパの他の多くの国のように「名前・せい」の順ではなく、アジア(日本)のように「せい・名前」の順に名乗っていることがあります。また、おしりから背中せなかにかけて「もうはん」という、幼児ようじ期には消える青いあざが出る、モンゴロイドとばれるアジアけい民族の特ちょうを持った赤ちゃんが産まれることがあります。

温泉おんせん大国

ハンガリーは国内のあちこちに温泉おんせんがあり、日本と同じ世界有数の温泉おんせん大国です。
ローマ帝国ていこくがこの地をせん有していた古代から人々は入浴にゅうよくを好み、ゆう福なローマ人のていたくには専用せんようのおふろがありました。中世には病気のりょう養のために温泉おんせんが使われました。
オスマン帝国ていこくがハンガリーを支配しはいした時代から、この温泉おんせんせつを利用して、マッサージも受けられるようになりました。

セーチェーニ温泉「スイミングプールのように広い温泉もあるのよ。」
ブダペストの夜景

「ドナウの 真珠 しんじゅ」といわれる美しい首都ブダペスト

首都ブダペストは、ドナウ川という大河たいがに分けられたブダとペストというふたつの街を合わせた都市です。栄華えいがをほこったオーストリア=ハンガリー帝国ていこく時代に建てられた建物が今もたくさん残り、その美しさは「ドナウの 真珠 しんじゅ」とたたえられています。

監修かんしゅう駐日ちゅうにちハンガリー大使館

ハンガリーの料理を作ってみよう!

グヤーシュ グヤーシュ

ハンガリーの国民食、母の味ともいわれる料理です。赤い色はたっぷり加えるパプリカパウダーによるもので、辛みはなくうま味がたっぷり!

パラチンタ パラチンタ

ハンガリー風のクレープで、ハンガリーの代表的なおやつです。焼いた皮はデザートだけでなく、肉などを包んでおかずとして食べることもあります。