ヨーロッパ文明の生まれた地で、パルテノン神でんなど世界遺産が国内に18カ所もあるこの国は、食文化も古くから豊かでした。地中海に面した温暖な気候の中でオリーブは昔から栽培され、ギリシャの食文化になくてはならないものです。ギリシャ神話の中にも、平和とはん栄の象ちょうとして、オリーブにまつわる話が登場します。今では、国民1人あたりのオリーブオイルの消費量は世界一で、料理にたくさん使われています。
またその実もよく食べられていて、ギリシャ南部にあるカラマタでとれた大つぶのオリーブの実は、高級品として有名です。
健康によい地中海食
ギリシャの料理は、スペインやイタリア、モロッコなどの国々の料理とともに「地中海食」と呼ばれています。地中海沿岸の伝統的な食事は、栄養のバランスがよいため、他のヨーロッパの国々の食事に比べて健康的で病気にかかりにくいという研究結果も発表されています。
地中海食とは、チーズやヨーグルトと、オリーブ・季節の野菜と果物・穀物など植物性食品は毎日、魚介類・とり肉や卵やおかし類は週に数回、肉は月に数回とるという健康的な食べ方で、それをピラミッド形にわかりやすく表した図を「地中海ピラミッド」と呼んでいます。
また地中海沿岸の地域では、大勢の人々がいっしょにテーブルをかこんで、語り合ったり、陽気に歌ったり、おどったりしながら食事を楽しみます。そうしたくつろいだ食事のスタイルも評価され、「地中海食」は2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
庶民の食堂「タベルナ」と前菜「メゼ」
タベルナは気軽に入れる食堂のことです。家族や仲間とおしゃべりしながら食事を楽しむ場所で、ギリシャの人々になくてはならないものです。気候のいい時期には外のテーブルで食事を楽しみ、夜おそくまで語り合う人たちもめずらしくありません。
タベルナでは、まず「メゼ」という、いろいろな小皿料理の前菜が出てきます。タラコなどとマッシュポテトを混ぜた「タラモサラダ」、ぶどうの葉で具を巻いた「ドルマダキア」、ヨーグルトときゅうりのディップ「ザジキ」などが代表的です。イカや魚のフライ、羊乳から作る「フェタチーズ」も人気があります。