牛乳 MILK

牛乳ができるまで

牧場で乳牛から絞られた生乳(せいにゅう)は、工場に運ばれます。工場では、受入検査から冷却や清浄化、均質化、殺菌などが行われ、容器に充填されて出荷されます。

清浄化:生乳を遠心分離装置やろ過機などで小さなゴミや異物を取り除くこと。
均質化:大きな脂肪球(平均4μm)を直径0.2~0.5μm以下の細かい粒子にすること。

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季節によって牛乳の味が変わる?!

乳牛は寒さには強いですが、夏期には食欲が減退するので、季節により乳量や乳成分に変化があります。牛乳は製造工程で成分を調整していないので、市販されている牛乳の成分にも変化が生じます。冬期の方が夏期より乳脂肪分や無脂乳固形分が多くなり、風味も変わるのです。

牛乳の加熱殺菌

生乳(せいにゅう)には細菌がいることもあるため、加熱してほぼ死滅させる「加熱殺菌」が行われます。食品衛生法に基づく乳等省令では「保持式により63℃で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と定められており、大きく5つの殺菌方法がありますが、どの方法で殺菌しても構いません。日本では超高温瞬間殺菌(UHT)が主流で、市販されている牛乳の9割以上がこの殺菌方法で処理されています。牛乳は、殺菌温度と殺菌時間を容器に表示するよう義務づけられています。

殺菌方法 概要 殺菌効果
低温保持殺菌(LTLT) 生乳を保持式で63~65℃で30分間加熱殺菌する方法。 すべての細菌などを死滅させることはできないが、人間に有害な細菌などは死滅するため、冷蔵保管により一定期間は安心して飲むことができる。
連続式低温殺菌(LTLT) 生乳を連続的に65~68℃で30分以上加熱殺菌する方法。
高温保持殺菌(HTLT) 生乳を保持式で75℃以上で15分以上加熱殺菌する方法。
高温短時間殺菌(HTST) 生乳を72℃以上で連続的に15秒以上加熱殺菌する方法。
超高温瞬間殺菌(UHT) 生乳を120~130 ℃ で2~3秒間加熱殺菌する方法。 耐熱性胞子形成菌を死滅させるのはこの方法のみで、低温保持殺菌(LTLT)に比べ1万倍もの高い殺菌能力がある。

最近では、牛乳の賞味期限をさらに延ばすことを可能にしたESL(Extended shelf life)という設備で充填した牛乳もあります。また、特別な機械や管理システムでUHT殺菌乳を無菌状態にした牛乳パックに充填することができ、未開封であれば長い期間に渡って常温保存が可能なLL牛乳(ロングライフミルク)もあります。通常の牛乳は、製造後10℃以下の保存が必要となります。

加熱殺菌と牛乳の栄養

牛乳の成分は、UHT殺菌のような高温での加熱でも大きく変化することはありません。たんぱく質は変性しますが、栄養価にも変化はありません。たんぱく質の変性とは、卵を加熱してゆで卵や目玉焼きにするのと同じように、たんぱく質の立体構造が変化することで、かえって消化吸収率はアップします。

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「ナチュラルテイスト製法」で牛乳本来のおいしさを

牛乳を酸素が存在する状態で加熱殺菌すると、酸化により生じる香り成分(硫黄化合物のジメチルサルファイドなど)によって好ましくない風味が現れます。(株)明治では長年の牛乳風味研究を結集し、殺菌前に牛乳中の酸素を5分の1程度に低減させて、加熱殺菌時の酸化による乳質の劣化を抑える独自の「ナチュラルテイスト製法」を開発しました。これにより、生乳の自然でさわやかな香り、すっきりとした後味などの特徴をもつ牛乳を商品化することが可能となりました。