監修・アドバイス

  • 独立行政法人国立病院機構 相模原病院臨床研究センター長 海老澤 元宏先生
  • 十文字学園女子大学 人間生活学部 健康栄養学科 准教授 林 典子先生 (元国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)

給食は完全除去が原則

家庭では、原因食物を食べられる範囲まで食べ進めている子どもであっても、保育所(保育園)や学校の給食では家庭と同じ対応は行わず、原因食物を「完全除去」するか否か(原因食物を一切提供しないか、他の児童・生徒と同じ給食を提供するか)の二者択一を原則としています。給食で個々の食べられる範囲への対応を行わないのは、食物アレルギーをもつ子どもの安全を第一に考えての対策です。

給食で「完全除去」を原則とする理由

  • 食べられる範囲まで食べている段階では、医師の指導のもとで保護者が子どもの症状が出ないかを確認しながら食生活を送っている状況です。しかし、第三者(保育所や学校などの職員)に保護者と同じ対応を望むことはできません。
    (アレルゲンの換算を正確に行うことは容易ではなく、自宅で食べている量を他の食品に置き換えることは困難です。)
  • 食べられる範囲まで食べている段階では、子どもが体調の悪いときや食後に運動したときなどに症状が出る可能性があります。
  • 保育所や学校の給食では、何百食、何千食を一度に調理します。このような集団給食の調理は家庭の料理とは異なり、子ども一人ひとりの摂取の状況に応じて対応することはむずかしく、誤配膳や誤食の事故につながるリスクも高くなります。

給食は完全除去対応が基本だが、しょうゆや
みそなどの調味料などは基本的に使われる

下の表にある調味料やだしなどは、除去しなければならない食物アレルギー児は非常に少ないため、給食でも使われることが基本となっています。ただし、施設によって対応が異なる場合があるので、入所(園)、入学先に確認しましょう。

「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」(厚生労働省、2019年改訂版)
「学校給食における食物アレルギー対応指針」(文部科学省、平成27年3月)を元に作成。

これらの調味料なども除去している場合は、ごく微量のアレルゲンの摂取でも症状が出る重症な患者とみなされ、給食の提供がむずかしく、お弁当を持参するように施設側から依頼されることがあります。これらの調味料なども本当に除去が必要かどうかは、入所(園)、入学までに専門の医療機関に相談しておきましょう。

※表に記した食品については、「原因食物別の注意と調理の工夫」の各原因食物の解説をご覧ください。