監修・アドバイス

  • 独立行政法人国立病院機構 相模原病院臨床研究センター長 海老澤 元宏先生
  • 十文字学園女子大学 人間生活学部 健康栄養学科 准教授 林 典子先生 (元国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)

食物アレルギーの子どもが保育所(保育園)や幼稚園、学校に通う場合は、入所(園)・入学する先の関係者、医療機関、保護者が必要な情報を共有し、対応することが大切です。みんなの連携で、子どもが安全に集団生活ができるようにしましょう。
入所(園)・入学までに必要な手続きなどを、順を追ってお伝えします。

保育所は、児童福祉法に基づく保育施設の正式名称です。保育園は通称でどちらも同じです。

ここにご紹介する手続きの手順は、以下の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」、「学校給食における食物アレルギー対応指針」、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に基づくものです。

入所(園)・入学までの流れ

入所(園)、入学を希望する保育所や幼稚園、学校に、事前に食物アレルギーの対応状況を確認、相談する

【保育所や幼稚園の場合】

入所(園)先を検討する段階で、子どもに食物アレルギーがあることを伝えて、入所(園)先で食物アレルギー対応がどのように行われているかなどを確認します。施設によって対応方針や取り組み状況などが異なるので、安心して預けられるように、子どもの状況を伝えてよく相談することが大切です。

保育所、幼稚園、認定こども園での給食の違い

就学前の子どもが通う集団施設には主に、働く保護者などの子どもの保育を目的とした「保育所(保育園)」、子どもの教育を目的とした「幼稚園」、保育所と幼稚園の両方の役割を持つ「認定こども園」があります。保育所には「認可保育所」と「認可外保育施設」があります。また、それぞれに給食の提供内容などに違いがあります。

認可保育所・認定こども園

児童福祉法などの法令に基づいた給食を各園で調理して提供することが原則とされています。

認可外保育施設・幼稚園

給食に関する決まりはありません。お弁当持参の施設や、外部業者に委託した給食を提供する施設もあります。

【学校の場合】

入学前の就学時健診の際や保護者説明会などの場で、学校からアレルギー疾患のある児童・生徒への対応について説明があります。

地域によって、また、それぞれの保育所や幼稚園、学校によって、対応は異なる場合があります。お住まいの地域の情報を集め、よくわからないことや気になることは、行政の担当課(学校の場合は教育委員会)、または入りたいと希望する保育所や幼稚園、学校に直接聞いてみましょう。

「生活管理指導表」を医療機関で書いてもらい、入所(園)・入学先に提出する

入所(園)・入学先では、食物アレルギー対応のために必要な書類(「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」「学校生活管理指導表」など)に関する説明があり、それらの書類が保護者に配布されます。配布された「生活管理指導表」は、食物アレルギーの診断をした医師に保護者から渡して記入してもらい、入所(園)・入学先に提出します(保護者が記入するものではありません)。

書類の書式や名称が異なる場合もあります。配布されない場合は、保育所や幼稚園、学校に問い合わせましょう。

保育所や幼稚園、学校の関係者との面談で入所(園)、入学後の具体的な対応方法が決まる

「生活管理指導表」を保育所や幼稚園、学校に提出すると、それをもとに、保育所や幼稚園、学校の関係者と保護者とで面談が行われます。面談では、食物アレルギーの重症度、症状が出たときの対応方法、給食の対応方法、集団生活全般で気をつけることなどが話し合われます。食物アレルギーがあっても集団生活を安全にスタートできるように、保育所や幼稚園、学校では体制を整えます。

保育所や幼稚園、学校で食物アレルギー対応を希望する場合は医師による診断書(「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」、「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」など)が必要です。給食のアレルギー対応は、保護者からの申請ではなく医師の診断によって行うことになっています。
医師に「生活管理指導表」の記入を依頼するときは、入所(園)・入学先の様子を伝えて、今後、集団生活での食物アレルギー対応に協力してもらえるようにお願いしておきましょう。