監修・アドバイス

  • 独立行政法人国立病院機構 相模原病院臨床研究センター長 海老澤 元宏先生
  • 十文字学園女子大学 人間生活学部 健康栄養学科 准教授 林 典子先生 (元国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)

アレルギー物質の表示義務があるのは、
容器包装された加工食品のみ

箱やポリ袋、缶、びん、ペットボトルなどの容器に詰められた(容器包装された)加工食品には、アレルギー物質(具体的な種類は次の項で)が一定量(数ppm、数μg/g)以上、常に原材料に含まれている場合、食品表示法に則った表示をすることが定められています。

原材料のアレルギー表示が
義務づけられている食品

容器包装された食品
  • 箱やビニールなどの袋に包装された食品 箱やポリ袋に
    包装された食品
  • 缶、びん、ペットボトルなどの容器に詰められた食品 缶、びん、ペットボトルなどの
    容器に詰められた食品

必ず表示されるアレルギー物質は8品目のみ

容器包装された加工食品で表示が義務づけられているアレルギー物質は、卵、乳(牛乳)、小麦、えび、かに、くるみ、落花生(ピーナッツ)、そばの8品目のみです(この8品目を特定原材料といいます)。
ほかにいくらやオレンジなどの20品目は、特定原材料に準ずるものとしてできるだけ表示することが推奨されています。しかし、この20品目には表示義務はありません。

特定原材料8品目

表示義務あり
  • 卵
  • 乳(牛乳)
  • 小麦
  • えび
  • かに
  • くるみ
  • そば
  • 落花生(ピーナッツ)
  • 卵には鶏卵のほか食鳥類(あひる、うずらなど)の卵も含みます。
  • 乳は牛乳由来のもので、ヤギや羊の乳は含みません。
  • 小麦には大麦、ライ麦等は含みません。

特定原材料に準ずるもの20品目

表示が推奨されている
  • アーモンド
  • あわび
  • いか
  • いくら
  • オレンジ
  • カシューナッツ
  • キウイフルーツ
  • 牛肉
  • ごま
  • さけ
  • さば
  • 大豆
  • 鶏肉
  • バナナ
  • 豚肉
  • マカダミアナッツ
  • もも
  • やまいも
  • りんご
  • ゼラチン

ここに注意

  • くるみは、近年アレルギーを発症する人の数が増え、アナフィラキシーなど重篤な症状をおこす例も増えているため、2023年4月から原材料表示が義務づけられました。ただし、①消費者及び事業者に対する周知、②事業者における原材料や製造方法の再確認、③事業者における容器包装の改版に時間を要する、という理由から、「くるみ」の義務表示に関して2年間の猶予期間が設けられています。つまり、2025年3月末日までは、くるみを使用していても原材料に含まれるアレルギー物質として「くるみ」の表示がされていない製品が販売されている可能性があります。また、特に賞味期限の長い製品は、2025年4月以降もしばらく販売されていることが考えられますので、当面は「くるみ」が原材料に含まれているかどうかについては食品メーカーに問い合わせるようにしましょう。
  • くるみ以外の木の実類(ナッツ類)では、カシューナッツとアーモンドとマカダミアナッツについては原材料にアレルギー物質として表示することが“推奨”されています。ただし表示義務はないため、表示に記載がなくても使用が疑わしい食品については食品メーカーに確認するようにしましょう。
    また、他の木の実類(ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ペカンナッツetc.)については、アレルギー物質表示の対象外(義務づけも推奨もされていない)であるため、原材料表示に記載がない場合でも使用が疑わしい食品については、食品メーカーに確認するようにしましょう。

    *「くるみとペカンナッツ」、「カシューナッツとピスタチオ」にはそれぞれ強い交差抗原性があるため、くるみにアレルギーがある場合はペカンナッツも除去する、カシューナッツにアレルギーがある場合はピスタチオも除去する、というように、どちらかにアレルギーがある場合は、両方を除去するようにします。
  • 加工食品は原材料が変更されることがあるため、以前に食べたことのある食品でも、原材料が変更されて除去の必要な食物が使用されていることもあります。
    また、似たような食品でもメーカーにより原材料が異なり、隠し味などで思いがけない原材料が使われている場合もあるので、購入や使用のつど原材料表示を確かめることが大事です。
  • 酒類には、特定原材料を使っていても表示義務はありません。
    製造・販売・輸入元などに問い合わせましょう。

店頭での対面販売品や外食料理は、
アレルギー表示の義務がない

小売店で作った総菜や弁当やパン、あるいは菓子などの包装されていない食品は、アレルギー表示の義務がありません。また、外食の料理についてもアレルギー表示の義務がありません。
これらを利用する場合は、お店の人に確認する必要があります。