監修・アドバイス

  • 独立行政法人国立病院機構 相模原病院臨床研究センター長 海老澤 元宏先生
  • 十文字学園女子大学 人間生活学部 健康栄養学科 准教授 林 典子先生 (元国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)

まずは、医療機関で必ず診断を!

食物アレルギーかもしれない、と思ったら、自己判断はせずに、まずは医療機関を受診しましょう。食物アレルギーには「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」「即時型食物アレルギー」など5つのタイプがあります。
食物アレルギーかどうかは、くわしい問診や食物経口負荷試験の結果などに基づいて診断されます。

原因食物の除去は、
医師の指導のもとで「必要最小限」に

医療機関で食物アレルギーと診断されたら、症状が出る原因となる食物(原因食物)を「必要最小限」除去することになります。
必要最小限の食物除去とは、食物経口負荷試験などの結果をふまえた医師の診断に基づいて、実際に食べて症状が出る食物のみを除去し、食べても症状が出ないものは除去しないという考え方です。
また、乳幼児は成長とともに治ってくることが多いため、定期的に食物経口負荷試験を受けて食べられる範囲(量)を広げていくことが大事です。

原因食物を正しく理解して、
適切な食事対策を!

原因食物を含む食品、かわりに使える食品、
調理の工夫などを知ろう

食物アレルギーと医師から診断されたら、アレルギーの原因となる食物とそれを含む料理や加工食品を除去することになります。そのため、原因食物がどのような料理や加工食品に含まれているかを知っておく必要があります。
また、原因食物のアレルゲン(アレルギー症状を引きおこす物質・たんぱく質)の特徴、栄養面で代替できる食物、調理の工夫などもおさえておきましょう。

加工食品のアレルギー表示の決まり、
店頭での対面販売の総菜や外食の注意点を知ろう

原因食物は、パンやお菓子などさまざまな加工食品にも使われています。原因物質が使われているかどうかを知るには、原材料のアレルギー表示の決まりや表示の見方などを覚えておくことが大事です。

また、店頭での対面販売の総菜などや外食料理にはアレルギー表示の義務がないので、利用する場合の注意点もおさえておきましょう。

原因食物を誤って食べないように、
日常生活でも気をつけよう

家族みんなで暮らす家の中では、キッチンや食卓などで原因食物が混入しないように、また、食物アレルギーのある本人が原因食物を誤食(誤って食べること)しないように、本人に食べる前の注意を伝えるとともに、家族も気をつけることが必要です。

集団生活では、
医療機関の診断に基づく対応が必要

食物アレルギーをもつ子どもが保育園(保育所)や幼稚園、学校に通う場合は、医療機関で食物アレルギーであるという診断を受ける必要があります。
医師が記入した「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を提出し、園・学校側と集団生活でのアレルギー対応について話し合いをします。

食物アレルギーの心配があっても、自己判断で食べるものを除去しないようにしましょう。必ず医療機関で必要な検査と診断を受け、医師の指導のもとで「必要最小限の原因食物の除去」を行うことが大切です。
原因食物を除去することは不自由な面もありますが、アレルギー表示などについてきちんと理解をしたうえで食べられる食品にも目を向けて、食品選択をできるだけ狭めないようにしましょう。食物アレルギーがあっても安全においしく食べられるよう、家族や周囲の人みんなに協力してもらいましょう。