【助産師監修】離乳食はいつから始める?目安時期と月齢別の離乳食の内容について
「離乳食はいつから始めればいいの?」と迷いますよね。生後5〜6ヵ月頃が目安ですが、赤ちゃんの発達に合わせることが大切です。この記事では、月齢ごとの硬さ・大きさ・回数・注意点を詳しくまとめました。
この記事の監修者
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- 氏名:古市 菜緒
- 経歴:助産師・看護師・保健師
- 助産師として1万件以上の出産に携わり、講座の受講者は年間3万人を超える。企業の開発支援、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などにも従事。株式会社バースリンク代表取締役、2児の母。
離乳食はいつから始める?
ここでは、離乳食開始の時期やタイミングについて説明します。
開始の目安時期
厚生労働省のガイドラインによると、離乳食を開始する時期の目安は「生後5~6ヵ月頃」とされています。この時期になると、赤ちゃんの消化機能や口の動きが発達し、母乳やミルク以外の食べ物を受け入れる準備が整ってくるためです。
しかし、赤ちゃんの発育・発達には個人差があるため、この月齢はあくまで目安です。月齢にこだわらず、赤ちゃんの成長をしっかり観察して、発達に合わせて焦らず始めていきましょう。
離乳食スタートのサイン
離乳食を始めるかどうか迷ったときは、月齢だけでなく、赤ちゃん自身のサインにも注目します。次のようなサインが出ていないか、赤ちゃんをよく観察しましょう。
- 首のすわりがしっかりして、寝返りができる
- 椅子に5秒以上座っていられる
- スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる
- 食べ物に興味を持ち始める(例: ママが食べているのを見て手を伸ばすなど)
これらのサインがそろってきたら、離乳食をスタートする準備ができたと考えてよいでしょう。
離乳食の基本的な注意点
離乳食を始める際は、赤ちゃんの体調や成長を考えながら、安全に進めることが重要です。ここでは注意すべき基本ポイントを紹介します。
離乳食の詳しい進め方については、こちらの記事でわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:ほほえみクラブ 【助産師監修】離乳食の進め方とは?月齢別・隔週のスケジュールやNG食材について
アレルギーのリスクを避ける
近年、食物アレルギーを持つ子どもは増加傾向にあり、特に年齢が低いほどその割合が多いと言われています。しかし、食物アレルギーがあっても離乳食の開始を遅らせる必要はありません。
ただし、湿疹などのアレルギー症状がすでに出ている場合は、まず適切な治療を受けてから離乳食を始めることが推奨されています。
また、新しい食材を試すときは、平日の午前中に与えるのが望ましいでしょう。何かあったときに、速やかに医療機関に受診できるからです。与える際は少量から始めて、赤ちゃんの様子をしっかりと確認しましょう。
また赤ちゃんのアレルギーについては、こちらの記事でわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:ほほえみクラブ 赤ちゃんの食物アレルギーについて知りたいママへ
調味料は生後9ヵ月からを目安にする
離乳食初期から中期(生後5〜8ヵ月頃)の味つけは、出汁や食材に含まれている自然なうま味だけで十分です。塩・しょうゆ・みそなどの調味料は、生後7~8ヵ月を目安に少しずつ使い始めるようにしましょう。
生後5〜8ヵ月頃の赤ちゃんは、素材そのものの味を覚えることが大切です。薄味に慣れることで、将来的にも健康的な食生活の基礎を築くことができます。
さらに、赤ちゃんの腎臓は未発達で、塩分のとりすぎは負担になりやすいため、濃い味つけは避ける必要があります。過度な塩分は将来の高血圧や食習慣の偏りにもつながりやすいとされているため、この時期は「自然なうま味を楽しむ」「薄味を好む味覚を育てる」ことを重視しましょう。
「1日1回」から始める
初期の離乳食の目的は、飲み込む練習をしたり、食べ物の舌ざわり・味に慣れることです。生後5~6ヵ月頃から、1日1回、小さじ1杯程度を目安に始めましょう。無理に食べさせるのではなく、赤ちゃんのペースに合わせて進めてください。
この時期は栄養を摂ることよりも、「食べる」という体験に慣れることが大きな目的です。赤ちゃんの成長に合わせて、焦らず見守りながら取り組んでいきましょう。
きちんと飲み込めたか確認する
離乳食をあげたあとは、赤ちゃんがしっかりと唇を閉じて飲み込めたかを必ず確認しましょう。口のなかに食べ物が残っていないか、むせていないかなど、安全面でのチェックが欠かせません。まだ上手に飲み込めない時期なので、赤ちゃんの様子をよく観察しながら、ゆっくりと食べさせてあげてください。
月齢別の離乳食の内容
離乳食の進行は、初期・中期・後期・完了期の4つの時期に分類されます。それぞれの時期に応じて、適切な硬さ・回数・量で進めていきましょう。以下の量はあくまで目安ですので、赤ちゃんの個性に合わせて調整してください。
| 時期 | 月齢 | 固さの目安 | 回数 | ご飯の量の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 初期 (ゴックン期) |
5~6ヵ月頃 | なめらかなペースト状 | 1日1回 | すりつぶした10倍がゆ 小さじ1~ |
| 中期 (モグモグ期) |
7~8ヵ月頃 | 舌でつぶせる豆腐程度 | 1日2回 | 7倍がゆ 50~80(g) |
| 後期 (カミカミ期) |
9~11ヵ月頃 | 歯ぐきでつぶせるバナナ程度 | 1日3回 | 5倍がゆ 90~軟飯80(g) |
| 完了期 (パクパク期) |
12~18ヵ月頃 | 歯ぐきで噛める肉団子程度 | 1日3回+おやつ1~2回 | 軟飯90~ ごはん80(g) |
初期(5~6ヵ月頃、ゴックン期)
離乳食を「ゴックン」と飲み込むことを覚える時期です。なめらかにすりつぶしたペースト状の食材を、1日1回、小さじ1からスプーンで少しずつ与えましょう。10倍がゆから始めて、慣れてきたらにんじんやかぼちゃ、甘みのある野菜やつぶした豆腐・白身魚などのたんぱく質を追加していきます。母乳や乳児用ミルクはこれまで通り与えてください。
- 硬さ:10倍がゆ、なめらかにすりつぶしたペースト状
- 回数:1日1回
- 量 :小さじ1から始める
中期(7~8ヵ月頃、モグモグ期)
舌と上あごで食べ物を「モグモグ」とつぶして食べることを覚える時期です。舌でつぶせる豆腐くらいの硬さで、やわらかく茹でた野菜や果物、卵黄など、少し粒感のある食材も食べられるようになります。食事の回数も1日2回に増やします。いろいろな舌ざわりを楽しめるように鶏ひき肉・鮭・まぐろなど、食品や種類を増やしていきましょう。食べる量が増えてきたら、母乳やミルクの量を調整してください。
- 硬さ:7倍がゆ、 舌でつぶせる豆腐くらいの硬さ
- 回数:1日2回
- 量 :全体で80~150g程度
後期(9~11ヵ月頃、カミカミ期)
歯ぐきで「カミカミ」と噛む練習をする時期です。バナナ程度の硬さで、茹でた食材を角切りするなど、手でつまめるサイズの食材も与えることができます。味付けは不要またはごく薄味を心がけ、食事のリズムを整えるため、1日3回の食事にしてください。手づかみ食べの練習を取り入れて自分で食べる意欲を育てる、家族と一緒に食事をするなど、食の楽しい体験を増やしましょう。
- 硬さ:5倍がゆ、歯ぐきでつぶせるバナナ程度の硬さ
- 回数:1日3回
- 量 :全体で120~190g程度
完了期(12~18ヵ月頃、パクパク期)
大人の食事に近い形で「パクパク」と食べられるようになる時期です。肉団子程度の硬さまで対応でき、手づかみ食べも上手になります。味付けは大人より薄めで、油や調味料も少しずつ使い始めます。おやつも含めて、1日5回の食事リズムが整います。卒乳やミルク卒業のタイミングは赤ちゃんによって個人差があるため、焦らず進めていきましょう。
- 硬さ:軟飯から普通のごはんに徐々に移行、歯ぐきで噛める肉団子くらいの硬さ
- 回数:1日3回+おやつ2回
- 量 :ご飯は80g程度
離乳食に関するよくあるQ&A
離乳食が始まると、食べる量や栄養、食べさせ方、衛生面のことなどたくさんの疑問が出てくるでしょう。ここでは、ママ・パパたちからよくある質問にお答えします。
食べきれないときはどうする?
食べる量は子どもによって個人差が大きく、ペースもさまざまです。無理に食べさせず、以下の方法を試してみましょう。
- 時間を空けてから再度試してみる
- 食材や調理法を変えてみる
- 赤ちゃんの機嫌や成長がよければ様子を見る
赤ちゃんの機嫌や成長がよければ、そのまま様子を見て問題ありません。
離乳食を食べてくれないときの対策については、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:ほほえみクラブ 月齢別離乳食を食べてくれないときはこうする!
母乳や乳児用ミルクはいつまで必要?
離乳食が進んでも、1歳頃までは母乳やミルクが赤ちゃんの主な栄養源になります。そのため、この時期は赤ちゃんが欲しがるだけ与えて大丈夫です。
離乳の完了とは、形のある食べ物をかみつぶし、食事から必要なエネルギーや栄養を十分に摂れるようになった状態を指します。これは一般的に1歳~1歳半頃が目安であり、だんだん母乳や乳児用ミルクの卒乳時期が近づいている時期です。ただし、母乳や乳児用ミルクは栄養面だけでなく、赤ちゃんに安心感を与える役割もあります。無理にやめる必要はなく、赤ちゃんとお母さんのペースに合わせて徐々に卒乳していくとよいでしょう。
衛生面で気をつけることは?
離乳食を安全に進めるためには、衛生管理が欠かせません。ポイントは3つあります。
1つ目は清潔を保つことです。
調理前や食べさせる前には必ず手を洗いましょう。調理器具や食器は洗剤でしっかり洗い、乾かしてから使います。特にまな板は、生肉や魚用と野菜用を分けるのが望ましいです。また、土付きの野菜はよく洗ってください。
2つ目は十分に加熱することです。
食材は中心部が75度以上で1分以上加熱されるようにしてください。加熱によって食中毒菌を死滅させます。温め直しをする際は、ムラが出ないように混ぜながらしっかり加熱しましょう。
3つ目は保存と作り置きに注意することです。
作り置きは冷凍保存が基本で、1週間以内に使い切るようにしましょう。冷蔵保存はさらに短期間で、食べ残しは与えないことが大切です。また、一度解凍したものは再冷凍しないでください。
食中毒の原因となる菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」意識をもって調理すると安心です。
離乳食は「月齢の目安」と「赤ちゃんのサイン」で進めよう
赤ちゃんの発達や体調は個人差があります。月齢ごとの目安やサインを参考に、赤ちゃん一人ひとりのペースで、楽しい離乳食を進めていきましょう。離乳食でわからないないことがあったり、迷ったりしたときは、専門家や地域の保健師にも相談してみてくださいね。
離乳食が進んできた時期でも、栄養バランスが気になることがあるでしょう。明治ではフォローアップミルク「明治ステップ」をご用意しております。
フォローアップミルクとは、離乳期から幼児期にかけて不足しやすい栄養を補う役割があり、乳幼児期に必要な鉄やカルシウムなどが多く含まれております。
1〜3歳頃の不足しがちな栄養を補給でき、お子さんの発育を総合的にサポートできます。そのまま飲ませるのはもちろん、料理に加えても使いやすく、毎日の食事に取り入れやすいのが魅力です。ぜひ日々の育児にお役立てください。
