【助産師監修】赤ちゃん(新生児)の吐き戻しの原因とは?対処方法や注意点について

【助産師監修】赤ちゃん(新生児)の吐き戻しの原因とは?対処方法や注意点について

赤ちゃん(新生児)の吐き戻しが多いと「病気ではないか?」と心配になってしまう方も多いかと思います。今回は赤ちゃん(新生児)の吐き戻しの原因や対処方法、注意点について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修者

  • 氏名:古市 菜緒
    経歴:保有資格 助産師・看護師・保健師
    助産師として1万件以上の出産に携わり、講座の受講者は年間3万人を超える。企業の開発支援、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などにも従事。株式会社バースリンク代表取締役、2児の母。

赤ちゃん(新生児)の吐き戻しとは?

赤ちゃん(新生児)の吐き戻しとは、飲んだ母乳やミルクを吐いてしまうことです。特に新生児から生後数ヵ月の赤ちゃんによく見られる現象で、ほとんどの場合、心配はいりません。しかし、吐き戻しの状態や症状によっては、診察が必要なケースもあるため、赤ちゃんの様子をよく観察し適切に対処することが大切です。

また、似た現象に「溢乳(いつにゅう)」があります。赤ちゃんの口の端から少し母乳やミルクがこぼれる程度のもので、赤ちゃんにとって負担はほとんどありません。

赤ちゃん(新生児)が吐き戻しをする原因は?

赤ちゃん(新生児)の吐き戻しには、いくつかの原因が考えられます。ここでは主な原因について紹介します。

消化器官が発達していない

新生児の消化器官は未発達な状態です。特に、胃と食道をつなぐ部分の筋肉が未熟なため、飲んだ母乳やミルクが逆流しやすくなっています。さらに、大人の胃はカーブした形をしていますが、赤ちゃんの胃はまっすぐに近い形をしています。そのため、少しの刺激でも内容物が食道に戻ってしまい、吐き戻しが起こりやすくなるのです。この状態は、成長とともに自然に改善していきます。

母乳やミルクの飲みすぎ・飲むスピードが早い

新生児は満腹中枢も未熟なので、お腹がいっぱいになっても飲み続けてしまうことがあります。また、母乳やミルクを一度にたくさん飲んだり、勢いよく飲んだりすると、小さな胃に負担がかかり、吐き戻しの原因となります。

空気を一緒に飲み込んでいる

赤ちゃんは授乳時、空気も一緒に飲み込んでしまうことが少なくありません。飲み込んだ空気が胃にたまると、胃の中の圧力が高くなり、吐き戻しを引き起こしてしまうのです。
特に、泣いたあとの授乳や、急いで飲んでいるときは、空気をたくさん飲み込みやすくなります。また、授乳後のげっぷが十分にできていないと、空気が胃に残ったままになり、吐き戻しの原因となることがあります。

授乳姿勢が間違っている

授乳時の姿勢も、吐き戻しに大きく影響します。例えば、赤ちゃんの頭が下がった姿勢で授乳すると、空気を飲み込みやすくなり、胃の逆流を促してしまいます。また、授乳時に赤ちゃんの首がねじれていたり、無理な姿勢で授乳をしていたりすると、うまく飲めずに空気も一緒に飲み込んでしまいます。

正しい授乳姿勢については、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

関連記事:ほほえみクラブ【医師監修】赤ちゃん(新生児)の母乳のあげ方とは?授乳方法やポイントについて

哺乳瓶が合っていない

哺乳瓶の乳首の形や大きさが赤ちゃんに合っていない可能性も考えられます。乳首の穴が大きすぎると、ミルクが勢いよく出すぎて赤ちゃんがむせたり、一度に大量に飲んでしまったりします。反対に、穴が小さすぎると、赤ちゃんが一生懸命吸おうとして空気を飲み込みやすくなります。月齢や赤ちゃんの吸う力に合わせた哺乳瓶を選ぶことが重要です。

乳首(哺乳瓶)を嫌がる場合の対処法については、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:ほほえみクラブ 乳首(哺乳びん)を嫌がるときは?

注意すべき吐き戻しの特徴と病院受診の目安

吐き戻しのほとんどは心配いりませんが、注意が必要なケースもあります。赤ちゃんの様子や吐き戻しの特徴をよく観察し、異常があれば早めに医療機関を受診してください。ここでは、注意すべき特徴を5つご紹介します。

噴水のように吐いている

赤ちゃんが噴水のように勢いよく吐いている場合は、「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)」という病気の可能性があります。この病気は、胃の出口部分の筋肉が厚くなって狭くなり、母乳やミルクが胃から腸へ流れにくくなる病気です。生後2~3週頃から吐き戻すようになり、飲んで5分以内に、噴水のように激しく吐き出します。噴水のような嘔吐が続く場合は、速やかに医療機関を受診してください。早期の診断と治療が必要です。

参照元:日暮里医院【公式】/新生児が1回だけ噴水のようにミルクを吐く

元気がなく、ぐったりしている

吐き戻し後に元気がなく、ぐったりしている場合は、何か体調が悪いサインかもしれません。普段と比べて反応が鈍い、泣き声が弱い、眠ってばかりいるなどの症状が見られる場合は、他の病気の可能性も考えられます。赤ちゃんの様子を注意深く観察し、異常を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。

体重が増えない・減少している

吐き戻しが多くて体重が増えない、または減少している場合は、栄養が十分に摂れていない可能性があります。定期的に体重を測り、成長曲線と照らし合わせて確認してください。体重の増え方が悪い場合は、医師と対策を相談しましょう。

血が混じっている・緑色の液体を吐いている

吐いたものに血が混じっている、緑色の液体(胆汁)が含まれている場合は、すぐに医療機関を受診してください。血が混じる原因としては、胃からの出血などが考えられます。緑色の嘔吐は、腸閉塞などの重篤な病気の可能性もあります。これらの症状は緊急性が高いため、迷わず医療機関を受診することが重要です。

参照元:千葉県医師会/ ミレニアム こども相談室

発熱・下痢・脱水症状が見られる

吐き戻しに加えて発熱や下痢がある場合は、感染症などの病気の可能性があります。脱水症状のサインとしては、おしっこの回数が少ない、口の中が乾燥している、泣いても涙が出ない、ぐったりしているなどが挙げられます。これらの症状が見られる場合は、他の病気が原因の可能性も高いため、早めに医療機関を受診してください。

赤ちゃん(新生児)が吐き戻しをしたあとにすべきこと

赤ちゃんが吐き戻しをしたあとは、慌てずに正しい対処をすることが大切です。ここでは、赤ちゃんが吐き戻しをした際の具体的なケア方法を、詳しくご紹介します。

口の周りや顔を優しく拭く

赤ちゃんが吐き戻しをしたときは、まず口の周りや顔についた母乳やミルクを、優しく拭き取りましょう。ガーゼややわらかいタオルを使い、こすらず押さえるように丁寧に拭き取ることがポイントです。赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、ごしごしと強くこすらないように注意しましょう。

口のなかに吐いたものが残っている場合は、指に清潔なガーゼを巻いて、そっと取り除いてあげてください。このとき、無理に奥まで入れようとせず、見える範囲で優しく拭き取ります。吐き戻しは突然起こることが多いため、授乳時には常に清潔なガーゼを手元に置いておくと安心です。

赤ちゃんの身体を横向きにして安静にする

吐き戻した直後は、赤ちゃんを横向きに寝かせて安静にさせます。仰向けの状態だと、吐いたものがのどに詰まる危険があり、最悪の場合、窒息してしまいます。横向きにすることで、吐いたものが自然に口から流れ出るようになり、安全を確保できます。

横向きにするときは、赤ちゃんが動いても安全なように、周りに危険なものがないか確認します。この体勢を保つのが難しい場合は、ママ・パパが抱っこしてあげてもよいでしょう。赤ちゃんが落ち着くまで、そばで見守ってあげてください。

汚れた衣服を取り替える

赤ちゃんの衣服が汚れた場合は、清潔な服に着替えさせてあげましょう。ただし、吐き戻し直後は胃の状態が不安定で、再び吐いてしまう可能性があります。そのため、少し様子を見てから着替えさせるか、すぐに着替えさせる場合は汚れても問題ない服を選ぶとよいでしょう。

着替えのときは、赤ちゃんの体を大きく動かさないよう注意してください。急激な体勢の変化は、再度の吐き戻しを誘発する可能性があります。頭を支えながらゆっくり衣服を脱がせ、新しい衣服を着せるときも同様に優しく扱ってください。

また、汚れた衣服はすぐに洗濯するか、汚れを水で軽く流しておくと、あとの洗濯が楽になります。替えの衣服は、いつでもすぐに取り出せる場所に用意しておくのがおすすめです。着替え中も赤ちゃんの様子を観察し、機嫌や体調に変化がないかチェックしましょう。

時間を置いてから水分補給をする

赤ちゃんが吐き戻しをした直後、すぐに母乳やミルクをあげるのは避けましょう。胃がまだ落ち着いておらず、再度吐いてしまうリスクが高くなります。まずは1~2時間ほど赤ちゃんを安静にさせて、様子を見てから水分補給(母乳やミルク)するのが望ましいです。

水分補給の際は、一度にたくさん飲ませるのではなく、少しずつ、こまめに飲ませます。ただし無理に飲ませようとせず、赤ちゃんのペースに合わせて水分補給をしてください。

赤ちゃんの様子をしっかり観察する

吐き戻しをしたあとは、しばらくの間、赤ちゃんの様子をよく観察してください。例えば、再度すぐに大量に吐き戻してしまう、顔色が悪い、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、いつもより反応が悪いなど、普段と違う様子が見られる場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

また、うんちやおしっこの様子も一緒にチェックすることで、脱水や他の体調不良のサインを見逃さずに済みます。吐き戻しが1~2回でも赤ちゃんの機嫌が悪い場合は様子を見て、心配な場合は、かかりつけの小児科に相談すると安心です。

吐き戻しを抑える方法

吐き戻しを完全に防ぐことは難しいですが、日常生活の工夫やちょっとしたコツで、吐き戻しを減らすことはできます。ここでは、日々の授乳やミルクの与え方において、すぐできる予防方法やポイントを紹介します。

しっかりげっぷをさせる

授乳後のげっぷは、吐き戻し予防の最も基本的で効果的な方法です。授乳で飲み込んでしまった空気が胃に残ったままだと、胃の中の圧力が高くなり、飲んだ母乳やミルクが逆流しやすくなるからです。

授乳後、赤ちゃんの背中を優しくトントンしたり、下から上にさすったりしながら、げっぷを促しましょう。げっぷが出なければ、体勢を変えてみると出やすくなる場合があります。5分ほど試しても出ない場合は、次の項目でご紹介する「縦抱き」で様子をみましょう。すべての赤ちゃんが、毎回すぐにげっぷを出せるわけではないので、焦らずに続けることが大切です。

授乳後は赤ちゃんを縦抱きで安静にさせる

授乳やミルクのあと、すぐに横にするのではなく、赤ちゃんを縦抱きにしてしばらく安静にしてあげましょう。胃の出口より食道のほうが高くなることで、母乳やミルクが逆流しにくくする方法です。授乳後20分ほど縦抱きしているだけでも、吐き戻しの頻度や量が減りやすくなります。

縦抱きをするときは、赤ちゃんの首と頭をしっかりと支えてください。新生児は首がまだすわっていないため、首を支えずに縦抱きすると危険です。ママやパパの胸に赤ちゃんの体を密着させ、片手で首と頭を支え、もう片手でお尻を支えるように抱っこしましょう。

ミルクの量やスピードを調整する

赤ちゃんがミルクを多く飲みすぎたり、早く飲みすぎたりすることも吐き戻しの原因です。赤ちゃんの満腹中枢は未熟なため、飲みすぎてしまうことがよくあります。ミルクの量は、赤ちゃんの月齢や体重に応じた目安量を参考にしながら、赤ちゃんの様子に合わせて調整しましょう。飲んでいる途中で赤ちゃんが苦しそうにしたり、むせたりした場合は、一度中断してげっぷをさせるなど、赤ちゃんのペースに合わせましょう。

赤ちゃんに必要なミルクの量は、こちらの記事で紹介しています。

関連記事:ほほえみクラブ 赤ちゃん(新生児)に必要なミルクの量を知ろう

授乳姿勢を見直す

授乳時の姿勢は、吐き戻しの頻度に大きく影響します。正しい姿勢で授乳することで、赤ちゃんが飲み込む空気の量を減らし、吐き戻しを予防できます。

横抱きで授乳する場合は、赤ちゃんの頭がお尻より高い位置になるよう、少し角度をつけます。完全に平らな状態で授乳すると、ミルクが逆流しやすくなってしまうためです。

吐き戻しが多い場合は、縦抱きでの授乳を試してみることをおすすめします。赤ちゃんを太ももの上に座らせるような形で抱き、しっかりと首と頭を支えながら授乳します。この姿勢では、重力の力も利用できるため、ミルクが胃に入りやすく、逆流も起こりにくくなります。縦抱きでの授乳が難しく感じる場合は、無理をせず徐々に慣れていきましょう。

赤ちゃんの母乳のあげ方や授乳方法については、こちらの記事も参考にしてください。

赤ちゃん(新生児)の吐き戻しはいつまで続く?

赤ちゃんの吐き戻しは、多くの場合、生後4〜5ヵ月頃から徐々に減り、1歳頃にはほとんど見られなくなります。これは消化器官や満腹中枢が発達し、胃の逆流が起こりにくくなるためです。

また、離乳食が進めばミルクの量も減るため、吐き戻しが減りやすくなります。個人差はありますが、成長とともに改善することがほとんどなので、過度に心配しすぎず、基本的なケアや様子の観察を続けてあげましょう。

赤ちゃん(新生児)が吐き戻しをしても焦らず対処しましょう

赤ちゃんの吐き戻しの多くは、消化器官の未発達に起因する自然な現象です。繰り返し吐き戻しがあっても、健康状態や体重増加が順調で元気があれば、焦る必要はありません。ただし、吐き戻しの量や様子、赤ちゃんの体調など、いつもと違う異変が見られた場合は、自己判断せず必ず医療機関に相談してください。

吐き戻しが続くと、栄養がきちんと摂れているか不安になることもあるかもしれません。そんな時こそ、赤ちゃんの発育をしっかり支える栄養設計が大切です。
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