赤ちゃん(新生児)への母乳の授乳方法が合っているか不安になる方も多いかと思います。
今回は赤ちゃん(新生児)の母乳のあげ方やポイントについて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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まず母乳が出る仕組みについて、母乳が作られるプロセスと、母乳が乳首から出てくるプロセスに分けて説明します。
まず妊娠中に分泌されるホルモンが、乳腺組織を成熟させ、腺房の発達を促します。母乳はこの腺房で作られており、ブドウの房のような形をしています。
赤ちゃんが生まれたあとに胎盤が排出されると、妊娠ホルモンが低下し、産後に乳腺を発達させるホルモンであるプロラクチンが分泌されます。プロラクチンが腺房を刺激し、ママの血流からたんぱく質・糖・脂肪を取り込んで母乳を作ります。
赤ちゃんが乳首を吸うと、乳頭の神経終末が刺激され、脳がプロラクチンとオキシトシンを分泌します。プロラクチンは腺房に母乳をつくり続けるよう指令を出すホルモンです。一方オキシトシンは、腺房を囲む筋肉細胞を収縮させ、母乳を乳管へと絞り出します。これら2つのホルモンによって、おっぱい内の乳管ネットワークを通って母乳は乳首へと運ばれるのです。この過程は、射乳反射と呼ばれています。
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母乳は、ミルクのように一回の量を測れません。したがって、赤ちゃんには1日でどのくらい授乳が必要なのかを把握しておく必要があります。
新生児の赤ちゃんは、胃がとても小さいため、一気にたくさん母乳を飲めず、何回にも分けて授乳が必要です。もちろん個人差はありますが、おおよそ2〜3時間ごとに授乳が必要となるので、1日あたり8〜12回の授乳回数となります。なお、1回あたりの授乳には、左右併せて10〜20分ほどかかります。
新生児の赤ちゃんは、自分で「お腹が空いた」と言えない代わりに、母乳が欲しいサインを出しています。そのサインを知っておくと、よりよいタイミングで授乳が可能となるでしょう。
赤ちゃんが母乳を欲しがるとき、まるでおっぱいを吸っているかのように口や唇を動かしていることがあります。また舌を出して、おっぱいを探しているかのような動きをする赤ちゃんもいます。このような動きが見られたら、そろそろお腹が空き出したサインだと思ってよいでしょう。
お腹が空き出したタイミングでおっぱいが飲めないと、手や指などを実際に口に入れて吸おうとすることがあります。赤ちゃんが母乳を欲しがるサインとして見られることが多いですが、指しゃぶりは空腹時だけでなく、手遊びや安心感を求めておこなう場合もあります。
ちなみに唇の横に何かが触れると、赤ちゃんは触れたものに近づき、吸いつこうとします。これは、生まれたばかりの赤ちゃんでもおっぱいを探して自分で飲めるように生まれつき備わっている反射で、探索反射と呼ばれています。
また口のなかに入ったものに赤ちゃんは力強く吸い付きますが、これも同様の目的で備わっており、吸啜(きゅうてつ)反射と呼ばれるものです。これらは反射なので、お腹が空いていなくても見られることがあります。
お腹が空くと、赤ちゃんはぐずり始め、泣き出すこともあります。もちろん赤ちゃんは空腹以外の理由でも泣きますが、前回の授乳から2〜3時間が経過して泣き出すようであれば、空腹のサインと考えてよいでしょう。
母乳には赤ちゃんの成長に必要な栄養や免疫物質が含まれており、消化吸収もしやすく、感染症から守る働きがあります。また、ママの産後の回復を助けたり、赤ちゃんとのスキンシップを通じて安心感や絆を深める効果もあります。
とはいえ、ミルクにも赤ちゃんに必要な栄養がしっかり含まれており、育児のスタイルは家庭や体調に合わせて柔軟に選ぶことが大切です。どちらも赤ちゃんの健やかな成長を支える大切な方法です。
母乳を飲ませる抱き方にはいくつかの種類があります。赤ちゃんやママにとって楽な姿勢で無理なく授乳できることが大切なので、紹介する方法を試してみてください。
横抱きは一般的な抱き方なので、授乳に慣れていないママにもおすすめです。まず、赤ちゃんに吸わせるおっぱいと同じ側の腕で赤ちゃんの頭を支えながら、赤ちゃんを横に寝かせ、ママと赤ちゃんのお腹がくっつくように抱き寄せます。
ママの右のおっぱいを吸わせる場合は、右腕の肘に赤ちゃんの頭を乗せ、赤ちゃんの体をママの体にくっつくように抱えます。左側のおっぱいを吸わせるときは、逆側で同じ流れをおこないます。
またママが楽な姿勢で授乳できるよう、ソファやリクライニングに深くゆったりと腰かけ、赤ちゃんをママの体全体で支えるようなイメージで抱くのがよいでしょう。赤ちゃんの口とおっぱいの位置が同じ高さになるように、クッションなどを使って少し赤ちゃんを持ち上げて吸わせるのがおすすめです。
ただし、ママが赤ちゃんに覆いかぶさらないようにしてください。また、赤ちゃんの顔の向きと体の向きがねじれていると飲み込むのが難しいため、できる限り顔と体が正面を向くようにしましょう。
赤ちゃんとママが正面から向かい合う姿勢で授乳する方法です。まだ赤ちゃんが小さいとき、ママのおっぱいが小さめのときに試してみましょう。
正座をしたママの太ももにクッションを置き、その上に赤ちゃんを座らせて、赤ちゃんの鼻がママの乳首の位置になるようにします。赤ちゃんの体を少し傾け、口におっぱいをふくませやすくしてから吸わせます。
赤ちゃんの首はまだすわっていないため、赤ちゃんの背中から後頭部はしっかりと支えてあげてください。
飲ませたいおっぱいと逆の腕で赤ちゃんを支える方法で、交差抱きともいわれています。首がすわる前の赤ちゃんにおすすめです。
左側のおっぱいを吸わせるときは、赤ちゃんの頭がママの左側、体が右側にくるように横に寝かせます。ママの右腕で赤ちゃんの背中から後部部の辺りを支え、赤ちゃんの体がママにピッタリとくっつくように抱き寄せます。
その際、赤ちゃんの顔がママの左側のおっぱいのあたりにくるよう、クッションなどを使って調節してください。ママの左手は、赤ちゃんの口に左側のおっぱいをふくませやすいよう、おっぱいを支えて吸わせます。右側のおっぱいを吸わせるときは、同様の方法を逆側でおこないます。
このとき、赤ちゃんの顔の向きと体の向きがねじれていると、ミルクが飲みにくいため、できる限り顔と体が正面を向くようにしましょう。
母乳を赤ちゃんに飲ませるときは、できるだけ深くおっぱいに吸い付いてもらえるよう、おっぱいを口全体にふくませるようにします。まず乳頭で赤ちゃんの唇に軽く触れるようにするのがポイントです。すると赤ちゃんはおっぱいに吸い付くために口を開けるため、そのタイミングで赤ちゃんの口いっぱいにおっぱいを差し入れます。おっぱいがしっかりと口に含まれていないと、赤ちゃんが母乳を飲むために吸い付いても、母乳は十分に出てきません。もしうまく口のなかに入れられなければ、もう一度やり直してみてください。
赤ちゃんが上手に母乳を飲み出すと、ママは乳首に痛みを感じず、赤ちゃんもあまり空気を飲み込まずに母乳を飲めるため、チュッチュッという音はしません。
母乳は赤ちゃんがしっかりと飲んでくれれば自然と出てきますが、さまざまな原因で母乳が出なくなることがあります。ここでは簡単にできる対処法を具体的に説明します。
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まずやってみたい対処法は、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう回数を増やすことです。
作られる母乳の量は、赤ちゃんが飲む母乳の量によって調節されています。実際は、赤ちゃんが必要とする量よりも少し多い量の母乳が生成されていますが、赤ちゃんがおっぱいを吸うことでプロラクチンとオキシトシンが分泌され、母乳がより活発に作られます。
またおっぱい内の母乳がいったんなくなると新たに母乳が作られるため、回数を増やすことと飲み切ってもらうことを意識してください。もし赤ちゃんが母乳を飲みきれないときは、搾乳してもよいでしょう。
ママが食べたり飲んだりしたものは、母乳を通じて赤ちゃんに影響を与えます。そのため、授乳中はママの食生活を見直し、赤ちゃんに必要な栄養素が行き渡るよう工夫しましょう。母乳をしっかりと作るためには、普段よりもカロリーを多く摂る必要がありますが、単にカロリー量を増やすのではなく、食事の内容が大事です。
具体的には、しっかりと水分を摂ったうえで、たんぱく質、鉄分、カルシウム、葉酸、またDHAなどの脂肪酸も意識して取り入れます。これらを摂取するためにはバランスの取れた食事が大切です。なかでも魚や鶏肉、卵、大豆などは良質なたんぱく質が含まれており、特に赤身肉には鉄分が多く含まれています。これに小魚や牛乳、ブロッコリーやほうれん草などを加えることで、葉酸も摂れます。他にも牛乳、ヨーグルト、チーズなどは、必要なカルシウム量を摂取するためにも欠かせません。
おっぱい全体を優しくマッサージしたり、おっぱいを温めたタオルなどで包んだりすると、おっぱい全体への血流が増え、腺房の働きを活発にします。その結果、スムーズな母乳の生成が期待できます。
ちなみに、乳頭や乳輪を優しくつまみ圧迫する乳頭マッサージは、乳管を広げ、母乳の通りをよくする作用があります。
母乳をあげることは、ママにも赤ちゃんにもメリットがあります。正しいあげ方をすれば、ママも赤ちゃんもストレスが減り、より快適に授乳を楽しめるようになるでしょう。
母乳は赤ちゃんにとって最高の栄養源ですが、ときには授乳量やママの体調に不安を感じることもあるでしょう。そんなときは乳児用ミルク「明治ほほえみ」が力になります。長年の母乳研究から生まれた「明治ほほえみ」は、赤ちゃんの発育に必要な栄養をバランス良く配合し、健やかな成長をサポートします。安心のミルクを、大切な授乳期間に取り入れてみてください。