1日に何回も作る粉ミルクを面倒に感じ、まとめて作り置きをしたいと思う方も多いでしょう。この記事では、粉ミルクを作り置きする際の注意点について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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結論から言うと、赤ちゃんの粉ミルクを作り置きすることは可能です。しかし、可能であれば赤ちゃんの粉ミルクはできるだけ作り置きせず、毎回必要な分だけを作ることが推奨されています。
厚生労働省が発表している「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」では、調乳後2時間以内に飲ませなかった粉ミルクは廃棄するよう明記されています。作り置きを検討される場合は、この2時間ルールが安全性確保のための基準であることを念頭に置き、可能な限り毎回新鮮なミルクを調乳することをおすすめします。
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粉ミルクを誤った方法で作り置きしてしまうと、病原菌や雑菌が繁殖してしまい、赤ちゃんの体に悪影響を及ぼすリスクがあります。ここでは、粉ミルクを不適切に扱った際に考えられる主なリスクを具体的に紹介します。
調乳した粉ミルクは人肌ほどの温かさで栄養価が高く、雑菌や病原菌にとって非常に繁殖しやすい環境です。室温に放置されたミルクは、時間が経つにつれて微生物が増殖しやすくなります。
さらに、赤ちゃんが一度口をつけた哺乳瓶には、唾液を通じて口内の菌が混入し、ミルクのなかで雑菌が増殖することもあります。哺乳瓶や周囲の環境に付着したわずかな菌、あるいは調乳前の手洗い不足なども、菌を増殖させるきっかけになります。
このように、調乳されたミルク自体が病原菌・雑菌の温床となるだけでなく、哺乳瓶や調乳器具、調乳をおこなう環境においても、わずかな菌の付着や衛生管理の不備により病原菌・雑菌が増殖するリスクが常に存在しています。
調乳後の粉ミルクを長時間放置すると、雑菌や病原菌が増殖します。雑菌が繁殖した粉ミルクを摂取することで食中毒を引き起こす可能性があります。食中毒を起こした場合の主な症状としては、下痢・嘔吐・発熱などがあげられます。
なぜ赤ちゃんがこうした症状になりやすいかというと、赤ちゃんは免疫系や消化器系が未発達で、細菌への抵抗力が弱いからです。そのため、大人では問題にならないレベルの菌でも影響を受けやすい特徴があります。特に微生物が増殖したミルクを飲んでしまうと、赤ちゃんの胃腸に負担がかかりやすく、体調不良につながり、食中毒になる場合もあるのです。
粉ミルクを作り置きする際には、正しい衛生管理と保存方法を徹底することが重要です。ここでは、調乳した粉ミルクを保存・再加熱するための注意点について解説します。
哺乳瓶や乳首はミルクが直接触れるので、汚染があればそのまま赤ちゃんの体に入ります。洗浄不足や消毒の不備があれば、雑菌や病原菌の温床となり、健康を害する可能性があります。使用後は速やかに洗浄し、煮沸や専用の消毒液を使ってしっかりと滅菌することが大切です。
消毒により清潔な状態を保つことで、ミルク中への菌の混入を防げます。
消毒方法には主に以下の3つがあります。
それぞれの方法には特徴があります。消毒の種類は哺乳瓶や乳首の素材に適した方法を選びましょう。
粉ミルクを作ったあと、常温で放置すると短時間で雑菌が繁殖する恐れがあります。作り置きする場合は、調乳後すぐに冷水や氷水を使って急冷し、菌の増殖を防ぎましょう。急速に冷やすことで、食品の安全性を高めることができます。
冷却の際は、ボウルなどに氷水を用意し、哺乳瓶を底に沈めて冷やす方法が一般的です。冷気が瓶全体に直接伝わるため、効率よく温度を下げることができます。ポイントは、調乳後3〜5分以内に冷却を開始することです。常温での放置時間が長くなるほど、雑菌の繁殖リスクは高まります。
冷蔵保存をする場合は、保存温度を5度以下に設定することが、厚生労働省のガイドラインでは推奨されています。家庭用の冷蔵庫のドアポケットなど開け閉めが多い場所は温度が上がりやすいため、保存するなら庫内奥の温度が安定している場所が適しているでしょう。また、5度以下の環境を保てているかどうかをモニタリングするために、調乳したミルクを保管する場所には温度計を設置するなどの工夫が必要です。
冷蔵保存したミルクを再加熱する場合は、電子レンジではなく湯煎を用いましょう。電子レンジでは加熱ムラ(ホットスポット)が生じやすく、ミルクの温度が一定にならずに、赤ちゃんの口元やのどに火傷を負わせる可能性があります。
湯煎を使えば、瓶全体が均一にじんわりと温められるため、ミルクの温度差ができにくいです。再加温にあたっては、以下の注意点を押さえておきましょう。
また、一度温めたミルクは、通常の粉ミルクの管理と同じく加温後2時間以内に飲ませましょう。また、2時間を超えた場合は必ず廃棄することを忘れないようにしましょう。
一度赤ちゃんが口をつけたミルクは、唾液を通じて雑菌が入り込んでいる可能性があります。調乳したミルクの飲み残しは再度保存したり使い回したりせず、必ず捨てましょう。衛生面を考慮すると、少量しか飲まなかった場合でも使い回しは避けるのが原則です。
赤ちゃんが泣いているときや、夜間の授乳ではできるだけ早く粉ミルクを用意したいものです。ここでは、毎回の調乳を効率よくおこなうための工夫を紹介します。
ウォーターサーバーを活用すれば、いつでも適温のお湯を使えるため、調乳の手間を大幅に省けます。70度以上のお湯が使えるウォーターサーバーであれば、粉ミルクをすぐに調乳できるので便利です。ミルクの温度を冷ますのに使う冷水も同時に使えます。
哺乳瓶ウォーマーを使えば、事前に作ったミルクを再加熱する際に適温に調整するのが簡単にできます。ミルクの加熱ムラを防げるだけではなく、加温中に手が離せるのも魅力です。
あらかじめお湯を沸かして保温ポットなどに保存しておくと、必要なときにすぐ調乳できます。ただし、保温時間が長くなると温度が下がるため、使用時には70度以上か確認しましょう。また、保温ポットの内部も定期的な洗浄が必要です。
忙しい時間帯や外出先など、どうしても粉ミルクの調乳が難しいときには、液体ミルクを活用するのも一つの手段です。「明治ほほえみ らくらくミルク」は、哺乳瓶に移して温めるだけでそのまま赤ちゃんに与えられるため、調乳する必要がありません。
「らくらくミルク」は常温保存ができるうえ、粉ミルクと同等の栄養バランスを持ち、母乳の成分に近い設計となっています。保存料や香料は使用されておらず、生まれたばかりの赤ちゃんにも安心して使える仕様です。
また、スチール缶に入った密封タイプで衛生的に保管されており、非常時の備えや災害時の授乳用としても注目されています。外出先や夜間の授乳時にも、哺乳瓶に注ぐだけで済むので、パパや祖父母でも簡単に対応できる点も大きなメリットです。
「できるだけ粉ミルクを毎回調乳する」という基本姿勢を持ちつつも、いざというときに安心して使える液体ミルクを常備しておくことで、育児の負担を減らすことができます。
赤ちゃんの健康を守るためには、粉ミルクは、毎回新しく作ることが基本です。衛生管理を徹底すれば一時的な保存も可能ですが、手間を省く目的で安易に作り置きすることはリスクをともないます。
ただし、忙しい毎日のなかで「毎回必ず調乳すること」が難しい場合もあるでしょう。そのような場合にミルク作りを効率よくおこなう工夫を取り入れながら、赤ちゃんの安全を第一に考えた授乳を心がけることが大切です。
「明治ほほえみ」は、母乳の栄養を徹底的に研究して開発されたミルクで、使いやすさにも配慮した豊富なラインナップをご用意しています。粉ミルクだけでなく、液体タイプの「らくらくミルク」や計量不要の「らくらくキューブ」など、忙しい育児をサポートする製品が揃っています。
育児期間を少しでも快適に、そして赤ちゃんのすこやかな成長を支えるために、「明治ほほえみ」をぜひご活用ください。
毎日の育児という大切な時間のなかで、少しでも心の負担を軽くし、笑顔あふれる子育てを送っていただけるよう、がんばるママ・パパを応援しています。