12月(師走/December)『柑橘』

寒さが増してくると、だいだい色にれたみかんが店頭にたくさん並ぶようになります。みかんと同じミカン科の果物をかんきつ類といい、さまざまな種類があります。

日本の特産品みかんは、健康を守る色素がたっぷり。

最近は1年中、国内外のさまざまな果物が売られていますが、日本人にとって冬の代表的な果物といえば、みかんやりんごです。みかんは温州うんしゅうみかんともいう日本の特産品で、和歌山県、愛媛県、熊本県、静岡県、長崎県など、西日本で多く栽培さいばいされています。皮を手で楽にむける手軽さと、やさしい香りやあまさが特徴とくちょうです。
以前は、私たち日本人はみかんをおやつや食後に今よりもっと食べていました。毎日何個も食べ続けて手などの皮膚ひふが黄色くなる人もよくいました。これはみかんにふくまれる色素βベータ‐クリプトキサンチンの影響えいきょうによるもので、しばらくたてば元にもどります。
βベータ‐クリプトキサンチンは体の中でビタミンAに変わり、鼻やのどなどの粘膜ねんまく皮膚ひふの健康を保つ働きがあり、かぜの予防に役立ちます。ほかのかんきつ類などにもふくまれていますが、みかんには特に豊富にふくまれています。

みかん畑

みかん畑

みかんは温暖な気候の土地でよく育ち、早生わせという早く熟す品種は9月ごろから熟します。夏に出回るのは温室栽培さいばいのみかん(ハウスみかん)です。

みかん

みかん

白い筋やふくろにはヘスペリジンという成分がふくまれ、血管を強くする働きなどがあるといわれています。外側の皮は乾燥かんそうさせると陳皮ちんぴという漢方薬になり、七味唐辛子しちみとうがらしにも使われています。

きんかんやゆずも冬ならではのかんきつ類

みかんのほかにも、かんきつ類にはいろいろな種類があります。冬に熟すものには、きんかんやゆずがあります。きんかんは、果肉より皮がおいしく、そのまま食べるほかに砂糖けや甘露煮かんろになどによくします。古くからせきやのどの痛みをしずめる働きがあるといわれ、のどあめでもおなじみです。
ゆずは酸味が強いのですが、独特の香りが高く、皮や果汁かじゅうを料理やお菓子かし、調味料や飲み物などに使います。ゆずなどのかんきつ果汁かじゅうをしょうゆと混ぜると、手作りのポンしょうゆができます。
また、昔から冬至(1年のうちで最も昼の時間が短い日。12月22日ごろ)には、ゆずをおふろにかべた「ゆず湯」に入ると、かぜをひかないといわれています。

きんかん/ゆず
小さいピンポン玉のようなきんかんと、小さいテニスボールのようなゆず。
どちらも庭木として実を楽しむ人もいます。

さまざまなかんきつ類があふれる春

春先から出回るかんきつ類もたくさんあります。温州うんしゅうみかんに似ているぽんかん、いオレンジ色の清見きよみオレンジ、上部がボコっと盛り上がった不知火しらぬい薄皮うすかわをむいて食べる伊予いよかん・はっさく・甘夏あまなつ、白いわたも食べられる日向夏ひゅうがなつ、大きくて皮の厚い文旦ぶんたん(ざぼんともいい、2kgほどあるものもあります)など、形や大きさ、色、味もさまざまです。新しい名前の交配種(異なる種類同士を受粉させて作り出した品種)もいろいろ開発されています。愛媛県は、かんきつ類の種類も生産量も日本一です。
グレープフルーツやオレンジやレモンは、ほとんどが海外からの輸入品で、1年中出回っています。

伊予かん/不知火/文旦
伊予いよかんはジューシーで独特の香りが特徴とくちょうです。不知火しらぬいはぽんかんを親に持ち、あま果汁かじゅうが豊富です。甘味あまみが特に強いものはデコポンの名称がつけられています。文旦ぶんたんは果肉がしっかりとしてさわやかなあまさとほろ苦さがあります。
日向夏

日向夏ひゅうがなつ

白いわたの部分も苦味が少なく、ジューシーな実と一緒いっしょに食べられます。

グレープフルーツ

グレープフルーツ

実がぶどう(グレープ)のようになることから、その名前がついています。アメリカのフロリダ州が大産地です。果肉の色は薄黄色やピンク色、ルビー(赤)色があります。

料理やお菓子に使ってもさわやか

かんきつ類には、ビタミンCやβベータ‐クリプトキサンチン、カリウムなどの栄養も豊富です。
そのまま食べるほかに、薄皮うすかわから出してサラダやあえ物、おすしなどに混ぜたり、肉や魚料理のソースにしたり、ゼリーなどのお菓子かしにしても、さわやかな味や香り、色が楽しめます。

あざやかなみかんの色でかぜをき飛ばそう 白菜とみかんのコールスローサラダ

白菜とみかんのコールスローサラダ

薄皮うすかわから出したみかんを、白菜とともにヨーグルト入りマヨネーズであえた、さわやかサラダです。