8月(葉月/August)『玉蜀黍』

日本では夏の野菜としておなじみのとうもろこしは、世界の三大穀物の1つです。乾燥かんそうさせた実は、世界中でさまざまな加工食品の原料や家畜かちくの飼料(えさ)になっています。

とうもろこしの実の数はひげの数と同じ

とうもろこしは夏がしゅん。強い日差しを浴びて実が大きくなります。皮付きのとうもろこしの先にはひげがたくさんついていますが、このひげの数だけ実がついています。
とうもろこしにはいろいろな品種があります。日本では黄色や白のあまい実(スイートコーンという品種)を、ゆでたり焼いたりして食べるのが普通ふつうですが、海外では実を乾燥かんそうさせて使う品種のほうがたくさんあります。お菓子かしのポップコーンもその仲間で、爆裂種ばくれつしゅという品種です。

とうもろこし

とうもろこし

背の高いくきの中ほどに実をつけます。ひげは、めしべです。

ポップコーン

ポップコーン

皮のかた爆裂種ばくれつしゅというとうもろこしの実を乾燥かんそうさせ、加熱すると、中の水分が膨張ぼうちょうして皮がポンとはじけます。

乾燥させた実は、主食や家畜の飼料に

とうもろこしはお米と同じイネ科の植物で、エネルギー源になる栄養がまっています。原産地とされるメキシコなどでは、紀元前の大昔から乾燥かんそうさせた実を粉にして主食として食べてきました。その種が15世紀末にコロンブスによってヨーロッパに伝わり、世界中に広まる中で、人が食べるほかに家畜かちくの飼料などにも使われるようになりました。
今では、とうもろこしは小麦、米と並ぶ世界の三大穀物の1つです。アメリカや南米などで主に作られ、その6~7割は家畜かちくの飼料に、残りは加工食品や工業製品などに使われています。アメリカでは燃料用の品種も作っています。日本は飼料用や加工食品用のとうもろこしをたくさん輸入しています。

トルティーヤ、油、お菓子の原料にもなるとうもろこし

とうもろこしは、さまざまな形で食べられています。
メキシコの人々が主食にするトルティーヤは、とうもろこしの粉を水で練り、うすくのばして焼いたパンです。これに肉や野菜を包んで食べる料理は、タコスといいます。とうもろこしの粉で作った生地きじをとうもろこしの皮で包んで蒸す、タマレスという料理もあります。日本でも、自家製のとうもろこしの粉をまんじゅうや団子にして食べる地域があります。
ほかに、パン、コーンフレーク、菓子かしなど身近な食品にもとうもろこしの粉はよく使われています。また、とうもろこしの胚芽はいがは、料理に使うコーン油の原料になります。
ひげは干すと漢方薬になります。食べ物ではありませんが、中南米や東ヨーロッパ、日本では、ひげや皮を使って人形を作る風習もあります。

トルティーヤ

トルティーヤ

メキシコでおなじみの主食。昔は家庭で手作りするのが当たり前でしたが、今では多くの店で売られています。手前はトルティーヤで具を包んだ料理タコス。

タマレス

タマレス

大昔からある、ちまきのような料理です。メキシコでは屋台で売られています。

コーンフレーク

コーンフレーク

とうもろこしの実をひいた粉などを原料にして作られています。

とうもろこし人形

とうもろこし人形

チェコやスロバキアに伝わる、とうもろこしの皮やひげで作られた愛らしい人形。

芯の中の白い汁にもうま味がある

生のとうもろこしは、収穫しゅうかくした直後からあまみが減っていくので、なるべく新鮮しんせんなうちに加熱するのが一番です。ゆでたりしたりするほかに、電子レンジで加熱するのも手軽であまみがより感じられます。皮をむいて(皮は3~4枚付けたままでも)1本ずつラップで包み、600Wワットで4分ほど加熱します。
加熱したとうもろこしは、バターで焼いてしょうゆをからめてもいい香りです。しんにもうま味があるので、実をこそげてスープにするときは、しんも包丁の背でこすって白いしるし出し、一緒いっしょに加えるとよりおいしくできます。

とうもろこしがプチッとはじけてあまみが広がる ずんだ白玉

コーンしゅうまい

ひき肉だねにとうもろこしを混ぜてしゅうまいの皮にめ、上にもとうもろこしをたっぷりのせて電子レンジでします。