9月(長月/September)『葡萄』

秋を豊かにいろどるぶどう。日本では生で味わうことが多い果物ですが、海外ではワインの材料としてもよく知られ、ワインに向くぶどうが多く作られています。

山梨県が一番の産地

ぶどうの多くは初秋のころからが実りをむかえます。黒っぽいむらさき赤紫あかむらさき、緑色、大粒おおつぶのものや小粒こつぶふさなど、さまざまな種類が店先に並び、目も舌も鼻も楽しませてくれます。
日本でぶどうが最初に栽培さいばいされたのは山梨県です。今も山梨県は生産量が一番多く、ほかに長野県、岡山県、山形県などでよく作られています。最近は皮ごと食べられる品種や、つぶがピンポン玉のように大きくて高価な品種もあります。

ぶどう畑

ぶどう畑

ぶどうはつる性の植物です。日本ではつるを横に広くはわせて育てる棚栽培たなさいばいが多く見られます。

ぶどうのいろいろ

ぶどうのいろいろ

あまくて香り高く、生で食べておいしい品種がいろいろ開発されています。

海外ではほとんどがワインの材料に

海外では、ぶどうの8割はワイン(ぶどう酒)の原料にされています。イタリア、フランス、スペイン、アメリカなどでワイン向きのぶどうが多く栽培さいばいされ、さまざまな味のワインが作られています。
ワインは、紀元前3000年ごろの古代エジプトでも作られていたといわれるほど歴史が古く、長い年月ヨーロッパをはじめ世界の各地で人々に愛されています。キリスト教では「ワインはキリストの血」といわれて儀式ぎしきにも使われ、聖なる特別な飲み物としても大事にされています。
ワインのほかに、ぶどうはジュースやジャム、(ワインビネガー)などにも加工されます。バルサミコというもワインビネガーの一種です。また、ワイン作りの際に不要になった種からは、油(グレープシードオイル)もとれます。

ワイン 左から白ワイン、ロゼワイン、赤ワイン

ワイン左から白ワイン、ロゼワイン、赤ワイン

液体の色で3種類に分けられます。色も、味や香りも、ぶどうの種類や作り方によってさまざまです。

レーズンにはブドウ糖がいっぱい

レーズン(干しぶどう)もぶどうの加工品です。ぶどうパン、パウンドケーキ、クッキー、ラムレーズンアイスクリームなど、身近な食品にたくさん使われています。
ぶどうには、体のエネルギー源になるブドウ糖や果糖などの糖質や、ミネラルが豊富ですが、特に水分がけたレーズンには栄養がギュッとまっています。日持ちがよいので、非常食やハイキングなどの携帯けいたい食としてもおすすめです。ちなみに、ブドウ糖は多くの食品にふくまれていますが、18世紀に化学者がレーズンから発見したことから日本ではこの名がついているといわれています。
ほかにも、ぶどうには病気予防や目の健康に役立つポリフェノールという成分もふくまれており、特に黒や赤の色がい皮に多くふくまれています。

レーズン
皮が黒っぽいものがおなじみですが、ぶどうの種類や産地によって色や香りはさまざまです。
アメリカのカリフォルニアは有名な産地です。
レーズンをラム酒に漬けたラムレーズン入りのアイスクリーム

レーズンをラム酒にけた
ラムレーズン入りの
アイスクリーム

皮つきの粒を凍らせてもおいしい

ぶどうの皮には白い粉のようなものがついていますが、これは実から出るブルームという成分で、温度や湿度しつどなどの環境かんきょうの変化から実を守り、鮮度せんどを保つ役割もあります。
実をそのまま食べるほかに、サラダに入れたり、ゼラチンや寒天で固めたり、こおらせたりしてもさわやかな色と香りが楽しめます。ジャムやジュースにもできます。

色のちがうぶどうを組み合わせて作ると楽しい 丸ごとぶどうのシャーベット

コーンしゅうまい

好みのぶどうをふさからはずしてよく洗い、そのままこおらせればでき上がり。ひんやり冷たくて香り豊かな、天然のシャーベットです。