11月(霜月/November)『鮭』

おにぎりやお弁当、おすしなどでおなじみのさけ私たちが口にするさけにはいろいろな種類があり、最近は養殖ようしょくさけが増えています。

産卵のために生まれた川に戻る鮭

秋から冬にかけて、主に北国の川に、さけが産卵のためにのぼってくる風景がみられます。さけの多くは川で生まれ、海に出て、季節によって移動しながら成長し、やがて生まれた川にもどって産卵する、「母川回帰ぼせんかいき」という習性があります。日本の川で生まれてもどさけは、ほとんどが「白ざけ」という種類です。メスは卵(いくら)、オスは白子しらこを持っています。

産卵のために川をのぼってくるさけ

増えている養殖物。日本のご当地サーモンも人気

さけ(英語ではサーモンといいます)にはいろいろな種類があり、ますもさけの仲間です。店頭でよく見かけるのは、白ざけのほかに銀ざけ、紅さけ、大西洋ざけ(アトランティックサーモン)、トラウトサーモン、などがあります。白ざけと紅さけは天然の魚ですが、ほかはほとんどが養殖ようしょく魚で、チリやノルウェーからたくさん輸入されています。最近は養殖ようしょくさけが増えていて、日本の各地でもさけ養殖ようしょくさかんになっています。その地域独自の水やえさを使うなどの工夫くふうをして育て、ブランド名(青森の海峡かいきょうサーモン、長野の信州サーモン、愛媛の宇和島うわじまサーモンなど)をつけたさけが、ご当地サーモンとして人気を呼んでいます。

鮭(サーモン)

さけ(サーモン)

にぎりずしでも人気が高いさけ(サーモン)。生で食べられるのは、養殖ようしょく魚か、一度冷凍れいとうした天然魚に限られます。

塩鮭、最近は塩分を減らしたものに

今はおすしや刺身さしみが人気ですが、昔から日本人の食事と切りはなせないのは、塩ざけ(塩けにしたさけ)です。かつては、内臓を除いたまるごと一さけに塩をすりこんで干す、新巻あらまざけや塩ざけがよく作られていました。最近は、骨や内臓を除いておろした身に塩をふったり塩水けにしたりした、昔より塩分の低い塩ざけ一般いっぱん的になっています。
さけ缶詰かんづめやフレーク、燻製くんせい(スモークサーモン)などにも加工されます。卵(いくら、筋子)や白子しらこも食べられ、頭、鼻に近い部分の軟骨なんこつ氷頭ひず)、腎臓じんぞう(めふん)なども珍味ちんみとされ、皮もあぶらがあっておいしい部分です。さけには捨てるところがないといわれます。

新巻き鮭を作る風景

新巻あらまざけを作る風景

まるごと一さけに塩をすりこんで干すと、日持ちがよくなり、独特のうま味が生まれます。

筋子/いくら
メスのさけのおなかには卵がまっています。うすまくに包まれたものを筋子、
まくを除いてほぐしたつぶをいくらといい、どちらも塩けやしょうゆけにして食べます。

鮭の赤い色には、私たちの体を守る働きがある

さけは白身魚ですが、オキアミなどの甲殻こうかく類(エビやカニの仲間)のプランクトンをよく食べるため、身が赤い色をしています。この赤い色素はアスタキサンチンといい、私たちの体を病気から守る抗酸化こうさんか作用があります。また、さけはたんぱく質や、骨をじょうぶにするビタミンD、血液の流れをよくする脂肪酸しぼうさんなどの栄養も豊富です。
生のさけは、フライやソテー、ちゃんちゃん焼きなどいろいろな料理にして楽しめます。北欧ほくおうや北米をはじめ海外でもさけはよく食べられており、じゃがいもや野菜と一緒いっしょたクリームスープや、ディルなどの香草こうそうをまぶしたマリネ(酢漬すづけ)も知られています。さけは乳製品とよく合うので、シチューやグラタン、生クリームを使ったパスタもおすすめです。

鮭のちゃんちゃん焼き

さけのちゃんちゃん焼き

さけと、キャベツ、玉ねぎ、もやし、ピーマンなどの野菜を鉄板にのせ、みそだれをかけてし焼きにする、北海道の郷土料理です。

バターやチーズでさけのおいしさと栄養が一段とアップ! 鮭のグラタン

鮭のグラタン

ざけを一口大に切ってバターで焼き、ゆでたブロッコリーなどの野菜とともに耐熱たいねつ皿に入れ、ホワイトソース、粉チーズやピザ用チーズをかけてオーブンで焼きます。