秋から冬にかけて、主に北国の川に、鮭が産卵のためにのぼってくる風景がみられます。鮭の多くは川で生まれ、海に出て、季節によって移動しながら成長し、やがて生まれた川に戻って産卵する、「母川回帰」という習性があります。日本の川で生まれて戻る鮭は、ほとんどが「白鮭」という種類です。メスは卵(いくら)、オスは白子を持っています。
おにぎりやお弁当、おすしなどでおなじみの鮭。私たちが口にする鮭にはいろいろな種類があり、最近は養殖の鮭が増えています。
鮭(英語ではサーモンといいます)にはいろいろな種類があり、ますも鮭の仲間です。店頭でよく見かけるのは、白鮭のほかに銀鮭、紅鮭、大西洋鮭(アトランティックサーモン)、トラウトサーモン、などがあります。白鮭と紅鮭は天然の魚ですが、ほかはほとんどが養殖魚で、チリやノルウェーからたくさん輸入されています。最近は養殖の鮭が増えていて、日本の各地でも鮭の養殖が盛んになっています。その地域独自の水やえさを使うなどの工夫をして育て、ブランド名(青森の海峡サーモン、長野の信州サーモン、愛媛の宇和島サーモンなど)をつけた鮭が、ご当地サーモンとして人気を呼んでいます。
鮭(サーモン)
にぎりずしでも人気が高い鮭(サーモン)。生で食べられるのは、養殖魚か、一度冷凍した天然魚に限られます。
今はおすしや刺身が人気ですが、昔から日本人の食事と切り離せないのは、塩鮭(塩漬けにした鮭)です。かつては、内臓を除いたまるごと一尾の鮭に塩をすりこんで干す、新巻き鮭や塩引き鮭がよく作られていました。最近は、骨や内臓を除いておろした身に塩をふったり塩水漬けにしたりした、昔より塩分の低い塩鮭が一般的になっています。
鮭は缶詰やフレーク、燻製(スモークサーモン)などにも加工されます。卵(いくら、筋子)や白子も食べられ、頭、鼻に近い部分の軟骨(氷頭)、腎臓(めふん)なども珍味とされ、皮も脂があっておいしい部分です。鮭には捨てるところがないといわれます。
新巻き鮭を作る風景
まるごと一尾の鮭に塩をすりこんで干すと、日持ちがよくなり、独特のうま味が生まれます。
鮭は白身魚ですが、オキアミなどの甲殻類(エビやカニの仲間)のプランクトンをよく食べるため、身が赤い色をしています。この赤い色素はアスタキサンチンといい、私たちの体を病気から守る抗酸化作用があります。また、鮭はたんぱく質や、骨をじょうぶにするビタミンD、血液の流れをよくする脂肪酸などの栄養も豊富です。
生の鮭は、フライやソテー、ちゃんちゃん焼きなどいろいろな料理にして楽しめます。北欧や北米をはじめ海外でも鮭はよく食べられており、じゃがいもや野菜と一緒に煮たクリームスープや、ディルなどの香草をまぶしたマリネ(酢漬け)も知られています。鮭は乳製品とよく合うので、シチューやグラタン、生クリームを使ったパスタもおすすめです。
鮭のちゃんちゃん焼き
鮭と、キャベツ、玉ねぎ、もやし、ピーマンなどの野菜を鉄板にのせ、みそだれをかけて蒸し焼きにする、北海道の郷土料理です。
バターやチーズで鮭のおいしさと栄養が一段とアップ!
生鮭を一口大に切ってバターで焼き、ゆでたブロッコリーなどの野菜とともに耐熱皿に入れ、ホワイトソース、粉チーズやピザ用チーズをかけてオーブンで焼きます。