桜の花の塩漬け
八重桜という種類の桜の花を塩と白梅酢(梅の実を塩で漬けるとしみ出す汁)に漬けたものです。使う時は表面の塩を落として水の中でふり洗いし、使い道に合った塩加減になるまで水につけて塩出しをします。
春、だれもが心弾ませて待ちわびる桜。日本人は古くから桜をいとおしみ、食生活の中にも取り入れてきました。
日差しが日一日と暖かくなるころ、桜前線の話が毎日ニュースで聞かれるようになります。
花といえば桜を意味するほど、日本人は桜が大好きです。昔は、桜の咲き方でその年の農作物の出来を占うなど、農業や神事にとって大切な花だったともいわれます。
花の美しさは、古くから人々の心をとらえてきました。千年以上前の平安時代前期に作られた「古今和歌集」にも、桜の和歌がたくさんのっています。そして今も、桜をテーマにした歌はさまざまあり、多くの人に愛されています。長い冬を乗り越えて、空を華やかに染めるように花開く桜には、昔も今も、人々の心を魅了する力が秘められているのでしょう。
桜の咲く時期や色にちなんで、桜と名のつく食べ物もあります。たとえば、春にとれる真鯛は「桜鯛」とも呼ばれます。駿河湾で春や秋によくとれる「桜えび」は、まさに鮮やかな桜色が特徴です。また、たこを炊き込んだごはんは、その色合いから「桜飯」ともいいます。鯛は「めでたい」、えびは「腰が曲がるまで長生き」、たこは「多幸」など、縁起のよい食材でもあり、卒業や入学、進級、結婚などのお祝いの食事にもよく出されます。
私たちの祖先は、桜を眺めて楽しむだけでなく、花や葉を食べ物にして味わう知恵も生み出しました。桜もちに巻いてある葉は、桜の葉を塩漬けにしたものです。桜の花も塩漬けにされ、飲み物やお菓子、あんパンなどに使われています。花も葉も、生ではほとんど香りがしませんが、塩漬けにするとクマリンという独特の香りが生まれます。塩漬けにされた桜の花は、お湯を注ぐと水中花のようにきれいに花開きます。これを桜湯といい、結婚が決まった時に行う結納などのおめでたい席で出されます。
八重桜という種類の桜の花を塩と白梅酢(梅の実を塩で漬けるとしみ出す汁)に漬けたものです。使う時は表面の塩を落として水の中でふり洗いし、使い道に合った塩加減になるまで水につけて塩出しをします。
塩漬けの桜1~2輪の塩を払い、水で洗って軽く塩を出して湯のみに入れ、お湯を注ぐと、香り高くほんのり塩味の桜湯ができます。
主に大島桜という種類の桜の葉を、塩と白梅酢などで漬けたものです。
塩漬けの葉の香りとほのかな塩気は桜もちには欠かせません。葉はいっしょに食べて味わうこともできます。
桜の花の塩漬けは、いろいろな料理やお菓子に使えます。炊き込みごはんやおすし、吸い物、スパゲティ、チーズと合わせてカナッペなどにも合います。お菓子では、クッキーや蒸しパンの生地にのせて焼いたり、寒天やゼリーの中に入れて固めたり、市販のおはぎに花を1つのせても、春の香りと色が楽しめます。
桜の花の塩漬け15gの塩を落として1カップほどの水の中でよくふり洗いし、水気を軽く絞ります。洗った米2合を炊飯器に入れ、桜の花をのせます。ふり洗いした水の上澄みに真水を足して米2合分の水加減にし、酒やみりんを適量加えて炊きます。食紅で淡い色をつけても。