6月(水無月/June)『豆』

色あざやかなグリンピースや枝豆、乾燥かんそうした大豆やいんげん豆など、豆の種類はいろいろ。豆は大昔から世界中で育てられ、食べられている、大事なおいしい栄養源です。

豆はマメ科植物のタネ

春から初夏にかけて、グリンピースやそら豆、枝豆などの豆が店頭に並びます。青いさやを開けると、豆がお行儀ぎょうぎよく並んで愛らしい顔をのぞかせます。どの豆も、マメ科の植物の「タネ」です。でもまだ完全に熟す前なので、やわらかく、やさしい味と香りがします。
豆にはたくさんの種類がありますが、このように若い豆を食べるものは、グリンピースやそら豆、枝豆が代表的です。これらの豆は秋まで育てて完熟させ、乾燥かんそうさせると、見た目も味もちがったものになります。

枝豆は大豆の仲間

明るい緑色をしたグリンピースは、「青えんどう」ともいいます。完熟して乾燥かんそうさせた豆はくすんだ緑色をしており、それをあまたものはうぐいす豆と呼ばれます。
夏によく食べる枝豆も緑色ですが、完熟すると、節分の豆まきでおなじみのクリーム色の大豆になります。また、お正月によく食べる黒豆も大豆の一種です。
大豆は、日本人の食事に欠かせない食品です。発酵はっこうさせると納豆なっとうになり、水でもどしててすりつぶしたものは豆腐とうふ油揚あぶらあげ、豆乳などの原料になります。また、みそやしょうゆも、大豆を使って作られます。

グリンピース/青えんどう
枝豆/大豆

荒れ地で育つ豆は、食糧難の救世主

ほかにも、豆には、小豆あずき、いんげん豆(金時豆きんときまめ、うずら豆など)、ひよこ豆、レンズ豆、落花生らっかせいなど、たくさんの種類があります。これらの豆のほとんどは、完熟させて乾燥かんそうさせたものを調理して食べます。
豆は古くから、世界中で大事な食料として育てられ、人々の命をつないできました。マメ科の植物はれ地でもよく育ち、とれる豆(タネ)には、成長に必要な栄養(炭水化物、たんぱく質、脂質ししつ、ビタミン、ミネラル、食物繊維せんいなど)がたくさんふくまれています。特に大豆は筋肉のもとになるたんぱく質が多くふくまれており、畑の肉ともいわれます。しかも、乾燥かんそう豆は長く保存できるので、非常時のたくわえにもなります。豆は、飢饉ききんなどによる食糧難しょくりょうなんを救う役割もある、重要な食物です。

いろいろな豆

炊き込みごはん、シチューやサラダにも合う豆

グリンピースや枝豆などの若い豆は、塩ゆでのほかに、みごはんやサラダ、ポタージュにすると色や香りが楽しめます。東北地方などでは、ゆでた枝豆をつぶした「ずんだあん」をおもちにかけたりして食べます。
大豆や金時豆きんときまめ、ひよこ豆などの乾燥かんそう豆は、カレーやトマト味のシチューやスープ、また、サラダにも合います。小豆あずきは、あんパンなどのあんこの材料になります。アメリカでは最近、ひよこ豆などをペースト状にした「フムス」という中東の料理が、健康によいとして人気です。

グリンピースごはん

グリンピースごはん

チリコンカルネ

チリコンカルネ

いんげん豆の仲間のレッドキドニービーンズやひき肉を、ピリッとからいトマト味で煮込にこんだ南米料理。チリコンカンともいう。

フムス

フムス

ひよこ豆などにオリーブ油やレモンじるなどを混ぜてペースト状にした、パンなどにつけて食べる中東の料理。

枝豆の香りが口いっぱいに広がる ずんだ白玉

ずんだ白玉

枝豆をやわらかめにゆでてさやから出し、薄皮うすかわをむき、フードプロセッサーかミキサーであらくすりつぶします。好みの量の砂糖と少しの塩を加えて練り、ゆでた白玉団子にからめます。