〜古今東西、日本を知る〜日本の麺

のどごしがよく、調理の時間がない時や食欲しょくよくがない時にも手軽に食べることができるめん料理。
「うどん」や「そば」などは日本を代表するめん料理ですが、そのほかにも日本で食べられているめんはたくさんあります。
こちらのコラムでは、日本各地で食べられている昔ながらのめん料理や、ちょっと変わったご当地めんについてご紹介します。

日本地図で見る「めん分布ぶんぷ

日本で食べられているめんには、どのようなものがあるか知っていますか。そば、うどん、ラーメン、パスタなど様々な種類がありますね。

日本では、めんめんを使った料理が数多く生み出され、日常にちじょう的にめん料理が食べられています。温かいめん料理から、夏場の食欲しょくよくがない時にもさらっと食べられる冷たいめん料理まで、そのバリエーションはとても豊富ほうふです。

日本の行事でめん類を食べるのは、年越としこしそばがよく知られていますが、七夕たなばたにそうめんを食べる風習もあります。

また、地方によってさまざまなめんめん料理が伝えられ、郷土きょうどの味として親しまれています。

うどん

  • 稲庭いなにわうどん(秋田)

    稲庭うどん(秋田)
    誕生
    江戸えど時代初期の秋田県稲庭いなにわ地区
    発祥の由来
    めん製造せいぞう業者が、地元の小麦粉でしうどんを作ったのが始まり。
    味・特徴
    伝統でんとうを守るため、製法せいほうや産地が限られています。手延てのべで作られるめんは、細くて平たく透明感があり、強いコシがあります。表面がつるっとしていてなめらかです。
    温冷どちらでもおいしく、シンプルなつけめんや温めんなどで食べられます。
  • 水沢うどん(群馬)

    水沢うどん(群馬)
    誕生
    群馬県渋川市伊香保いかほ
    発祥の由来
    約400年前、水澤寺(水澤観音)で振る舞われた手打ちうどんが始まり。
    味・特徴
    めんに透明感があります。コシと弾力があり、つるつるとしたのどごしです。
    ざるうどんで食べることが多く、つけじるには、しょうゆ味やごま味があります。
  • 氷見ひみうどん富山とやま

    氷見うどん(富山)
    誕生
    江戸えど時代 富山とやま氷見ひみ地区
    発祥の由来
    能登輪島そうめんの手打ち・手延てのべの伝統でんとうわざ法を受けいだのが始まり。
    味・特徴
    なめらかな食感で、コシがあります。
    お店によってうどんの太さがちがい、食べ方はざるうどんの他、焼うどんや煮込にこみうどんなどいろいろな種類があります。
  • ほうとう山梨やまなし

    ほうとう(山梨)
    誕生
    平安時代(諸説しょせつあり)
    発祥の由来
    語源ごげんは平安時代の煮込にこみうどん「餺飩」(はくたく)が変化して「ほうとう」とばれるようになったことから。(諸説しょせつあり)
    味・特徴
    小麦粉を練って作る平たく太いめんと、季節の野菜をみそ味で煮込にこんだものです。
    しるにとろみがあるので、寒い時期には体が温まる食事として食べる機会が多いです。
    ほうとうを作ってみよう!
    牛乳入りほうとう
    牛乳入りほうとう

    味噌みその風味と牛乳ぎゅうにゅうのまろやかさが引き立てあう、おだやかな味。

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  • きしめん(愛知)

    きしめん(愛知)
    誕生
    江戸えど時代の愛知県
    発祥の由来
    碁石ごいしの形のめんをゆで、きな粉で食べる「碁石ごいしめん(きしめん)」という中国のお菓子かし発祥はっしょう。(諸説しょせつあり)
    味・特徴
    やわらかく、やや幅広のうすく平たいめんで、幅4.5mm以上、厚さ2.0mm未満という基準きじゅんがあります。
    名古屋名物として広く知られ、かけうどんとしてみそやしょうゆなどのいめのかつおだしで食べられることが多いです。
  • 讃岐さぬきうどん(香川)

    讃岐うどん(香川)
    誕生
    讃岐さぬき国(今の香川県)
    発祥の由来
    西暦せいれき806年に弘法大師こうぼうだいし 空海が中国から持ち帰った説など。(諸説しょせつあり)
    味・特徴
    つやのあるめんで、コシが強くもっちりとした食感です。つけじるは「いりこだし」が主流です。
    かけうどん、ぶっかけうどん、釜げうどんなど食べ方の種類が豊富ほうふです。
  • 五島ごとううどん長崎ながさき

    五島うどん(長崎)
    誕生
    長崎ながさき県の最西端にある五島列島
    発祥の由来
    中国の遣唐使けんとうしにより、うどんの原型げんけいを五島へ伝えたのが始まり。(諸説しょせつあり)
    味・特徴
    細くて丸いめんで、食感はつるつるしています。定番の食べ方は「地獄き」とばれ、鉄なべめんをゆでてトビウオを使ったアゴだしにつけて食べます。
    溶きたまごにしょうゆや薬味をぜたつけじるでも食べられ、五島市の飲食店などでも味わうことができます。

そば

  • わんこそば(岩手)

    わんこそば(岩手)
    誕生
    約400年前の岩手県の花巻市
    発祥の由来
    木地のお椀のことを方言で「わんこ」と言い、由来は諸説しょせつあり。
    味・特徴
    一口分の温かいそばを、何杯もおかわりをして食べます。
    お給仕さんが掛け声をかけ、お椀におそばを入れてくれます。
    食べた分のお椀が目の前で積み上がり、お客さんがお椀にふたをしたら、食べ終わりの「ごちそうさま」という意味になります。
  • へぎそば(新潟)

    へぎそば(新潟)
    誕生
    江戸えど時代後半の新潟県魚沼地方(小千谷、十日町)(おぢや、とおかまち)
    発祥の由来
    四角く大きなせいろのようなうつわ「へぎ」にることから。
    味・特徴
    そばのつなぎに布海苔(ふのり)を使うので、めんの色はやや緑色です。
    一般いっぱん的なそばよりもつるつるした食感で歯ごたえもあります。
    手で振るようにして波に見立ててり付けられます。
  • 信州そば(長野)

    信州そば(長野)
    誕生
    昭和29年の長野県全域ぜんいき
    発祥の由来
    長野県の高冷地では、米や小麦が生産しにくいため、そばが作られたのが始まり。
    味・特徴
    戸隠とがくしそば」「開田そば」など、県内にはそばの名産地が40種類以上あり、それらを総称して信州そばとばれています。作り方も食べ方も様々です。
  • 出雲そば(島根)

    出雲そば(島根)
    誕生
    島根県出雲地方
    発祥の由来
    江戸えど時代初期に松平家初代藩主はんしゅの松平直政公が信州松本藩から出雲に移った時にそば職人しょくにんを連れてきたのが始まり。
    味・特徴
    そばの実を全部使う製法せいほうのため、風味と食感がよく、色がやや黒味がかっています。
    温冷どちらでも食べられ、めんにつゆをかけて味を調節しながら食べます。
  • 瓦そば(山口)

    瓦そば(山口)
    誕生
    昭和36年の川棚かわたな温泉おんせんにある旅館
    発祥の由来
    川棚かわたな温泉おんせんでは瓦は生活に欠かせないもので、瓦の上に食材をのせて焼いていたのが始まり。(諸説しょせつあり)
    味・特徴
    瓦を熱々に熱して、茶そば、錦糸たまご、牛肉などをのせ、温かいつゆにつけて食べます。
    お店では、レモンともみじおろしが添えられることが多く、味の変化も楽しめます。

そうめん

  • 三輪みわそうめん奈良なら

    三輪そうめん(奈良)
    誕生
    約1200年前の三輪みわ地方(奈良ならさくら井市三輪みわ
    発祥の由来
    日本最古の神社である三輪みわ山の大神神社のご子孫しそんが市民の飢餓きが疫病やくびょう対策たいさくのために作ったのが始まり。日本のそうめん発祥はっしょうの地。
    味・特徴
    コシが強い手延てのべそうめんです。
    でても伸びにくいので、温かいにゅうめんにしたり、いため物でもおいしく食べられます。
  • 播州ばんしゅうそうめん(兵庫)

    誕生
    約600年前の播州ばんしゅう地区(今の兵庫県揖保郡いぼぐん太子町)
    発祥の由来
    江戸えど時代にそうめん作りが本格ほんかく的になり、1804年から1818年の文化年間ごろ龍野たつの藩が地場産物の保護ほご育成を始めたのが始まり。
    味・特徴
    手延ての製法せいほうにより、舌ざわりがなめらかで、コシが強く、歯切れがよいめんです。
    で伸びしにくく、温冷どちらもおいしく食べられます。
  • 小豆島しょうどしまそうめん(香川)

    誕生
    約400年前の香川県小豆島しょうどしま
    発祥の由来
    小豆島しょうどしま池田村の住民が、そうめんの製造せいぞう技術ぎじゅつ三輪みわ奈良なら県)で学び、持ち帰ったのが始まり。
    味・特徴
    ごま油をりながら生地きじを練り、丁寧に木箸きばしで引きばして天日でゆっくり乾燥かんそうさせる独自どくじの方法で作られます。独特どくとくゆたかな風味とコシがあります。地元では、出来立ての「生そうめん」も味わえます。

中華麺

  • 札幌ラーメン(北海道)

    札幌ラーメン(北海道)
    誕生
    昭和33年の北海道札幌市
    発祥の由来
    札幌市にあるラーメン店がみそ味のスープを考案し、せいめん業者がめんを開発したのが始まり。
    味・特徴
    定番はみそ味ですが、最近では塩味やしょうゆ味も人気です。
    中太ちぢれめんとお店こだわりのスープに加えて、もやしや玉ねぎなどの野菜も入ります。
    札幌ラーメンを作ってみよう!
    味噌バターラーメン
    味噌バターラーメン

    みんな大好き、バターのまろやかさがひきたつやさしい味です。

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  • もり岡冷めん(岩手)

    盛岡冷麺(岩手)
    誕生
    昭和29年の岩手県もり岡地方
    発祥の由来
    もり岡のめん職人しょくにんが、朝鮮半島ちょうせんはんとうに伝わる2つの冷めんをアレンジして作った創作料理
    味・特徴
    めんは半透明で強いコシがあり、表面はなめらかです。
    地元のお店では、冷たいめんに、キムチやきゅうり・チャーシュー・ゆでたまご果物くだものなどをのせ、濃厚のうこうなスープで食べるのが定番です。
  • 喜多方きたかたラーメンふく島)

    喜多方ラーメン(福島)
    誕生
    ふく島県喜多方きたかた
    発祥の由来
    昭和初期に屋台で「支那しなそば」を販売はんばいしたのが始まり。
    味・特徴
    平打ち縮れめんがあっさりした透明感のあるしょうゆスープに絡みます。
    スープのだしは豚骨と煮干にぼしでとるものが多いようですが、お店によってちがいがあり、具はチャーシュー、メンマ、ねぎなどです。
  • 博多ラーメンふく岡)

    博多ラーメン(福岡)
    誕生
    ふく岡県ふく岡市博多区
    発祥の由来
    戦後に博多でうどんを売っていた商人が中華めんを売るために豚骨スープを考案したのが始まり。
    味・特徴
    極細ストレートめんを白く濁った豚骨スープでいただきます。
    具は、チャーシュー、紅しょうが、万能ばんのうねぎ、白ごまなどです。
  • 長崎ながさきちゃんぽん長崎ながさき

    長崎ちゃんぽん(長崎)
    誕生
    長崎ながさき県にある明治創業の「四海楼」(しかいろう)
    発祥の由来
    語源ごげんふく建語で「ご飯を食べる」という意味の「吃飯(チャポン)」
    味・特徴
    豚肉・野菜・魚介ぎょかい(えび・練り物など)が入って具沢山です。
    味は、地域ちいきによってちがいますが、主流は豚骨スープです。
    ちゃんぽんと同じ具材をあんかけにして、げた細めんの上にかけたものは「皿うどん」とばれています。
  • 沖縄おきなわそば沖縄おきなわ

    沖縄そば(沖縄)
    誕生
    明治中期の沖縄おきなわ県那覇地方
    発祥の由来
    沖縄おきなわ県の那覇地方に中国人が開いたそば屋が始まり。
    味・特徴
    そばという名前ですが、小麦粉のめんです。見た目はうどんのようで、もちもちした食感です。
    豚骨やかつお節で取るこってりしたスープで、具は豚の三まい肉、ぼうかまぼこ、紅しょうが、ねぎが定番です。
    日常にちじょう的に家庭で食べられるほか、お店でも食べることができます。

せい的なめん料理

日本には、他にもせい的なめん料理がたくさんあります。そこで、地元で愛されるちょっと変わっためん料理やご当地グルメをご紹介します。

青森黒石くろいしつゆ焼きそば

青森 黒石つゆ焼きそば

スープの中に入るめんは、なんと焼きそば!

青森県黒石くろいし市のご当地グルメ「黒石くろいし焼きそば」にそばつゆをかけた料理です。
黒石くろいし焼きそば」は、太くて平たいめん特徴とくちょうで、かけるスープは和風だしがベースですが、お店によっては、ラーメンスープや豚骨スープ、塩つゆなど様々な味付けのものがあります。
黒石くろいしつゆやきそば」が誕生たんじょうしたのは昭和30年代後半ごろ。
黒石くろいし市内の小さな食堂しょくどうで、寒い日に温かく食べられるようにと考案された料理です。(諸説しょせつあり)

青森みそカレー牛乳ぎゅうにゅうラーメン

青森 みそカレー牛乳ラーメン

全部の味が見事にマッチ!青森のソウルフード

「みそ」・「カレー」・「牛乳ぎゅうにゅう」にさらにラーメンとさまざまな要素を兼ねそなえたラーメンです。全部の味のバランスが絶妙に合い、青森市民のソウルフードともわれています。
みそカレー牛乳ぎゅうにゅうラーメンの誕生たんじょうは昭和50年ごろ。当時の中高生の間でさまざまな組み合わせでラーメンを食べるのが流行していました。そこで生まれたものがこのみそカレー牛乳ぎゅうにゅうラーメンで、今でもご当地ラーメンとして愛されています。

牛乳ぎゅうにゅう使っためんのおすすめレシピ

福島高遠たかとおそば

福島 高遠そば

ネギをおはしにして召し上がれ!

長野県伊那市高遠たかとお町地区からふく島県会津地方に伝わり「高遠たかとおそば」とばれています。
江戸えど時代初期は、”辛つゆ”とばれる、辛味大根だいこんのおろしじるを焼きみそで味付けしたつゆで食べる「ねぎそば」でした。
現代げんだいの「会津の高遠たかとおそば」はしょうゆと大根だいこんおろしの絞りじるで食べられます。
細く長い夫婦ふうふの未来や子孫しそん繁栄はんえいを願い、長ネギの根元の曲がったところでそばをすくって食べながら、長ネギを薬味代わりにかじって食べるスタイルが定番のようです。

群馬太田焼きそば

群馬 太田焼きそば

ボリューム満点!太めんのソース焼きそば

めんに各店秘伝のソースとキャベツがなじむ、昔ながらのソース焼そばです。
安くてボリュームがあり、しるがないのでのびることなく、いつでも気軽きがるに食べられるところが工場で働く人たちに好まれました。
やがて市民にも広まり、今では太田市民のソウルフードになっています。

群馬ひもかわうどん

群馬 ひもかわうどん

うどんなのに見た目は白いぬの!?

織物で栄えた群馬県桐生市の郷土きょうど料理で、幅の広さが特徴とくちょうです。
うすくてつるんとしためんで、幅はお店によってちがい、10㎝以上のものもあります。
食べ方も様々で、しゅんの野菜とめんをしょうゆ味のだしで煮込にこんだものや、冷たいめんをつけじるにつけたりして食べます。
つけじるはめんつゆのほかお店によってカレー味やごまだれなどでも食べられます。

山梨あずきほうとう

山梨 あずきほうとう

あまめん!?あずきのしる粉におもち代わりのめんが!

山梨やまなし県では、みそ味の「ほうとう」がよく食べられますが、地域ちいき行事やお祝い事の時には、あずき入りのあまいほうとうが食べられます。
赤色のあずきは邪気をはらうやく除けの意味があり、収穫しゅうかくへの感謝かんしゃの気持ちをこめて「あずきほうとう」がふるまわれます。
稲作いなさくてきしていない地域ちいきが多く、おもちはかつて貴重きちょう品でした。そのため、「ほうとう」をもちに見立てて、あずきのしる粉に入れるようになりました。

神戸そばめし

神戸 そばめし

焼きそば?ご飯?どっち?

そば(焼きそば)とめし(ご飯)をいため合わせた料理です。
具材は細かくきざまれたものが多いようで、見た目はチャーハンのような焼きそばのような不思議な感じです。お店ごとのこだわりのソースや具材で味付けされたB級グルメです。
お客様が持参した冷ご飯を、お店で注文した焼きそばと一緒いっしょいためて提供ていきょうしたのが始まりとわれています。

徳島たらいうどん

徳島 たらいうどん

大きなたらいに入っているのは、うどん!

たらいに入った釜げうどんを、そのままつけじるにつけて食べる阿波市の郷土きょうど料理です。
めんは手打ちで強いコシがあります。昔からこの地域ちいきでは、うどんは来客時や縁日などに食べるハレの日のごちそうで、うどんをでた釜を皆で囲み、釜から直接ちょくせつ食べていました。それがいつしか、たらいに入れられるようになりました。

高知中日ちゅうにちそば

うどんのだしに中華めん!?

中華めんをうどんのだしで味わう、高知県香南こうなん市赤岡町で親しまれてきた優しくて懐かしい家庭料理です。市内の飲食店などでも提供ていきょうされています。
定番の具材は、すまき(かまぼこ)、天ぷら(さつまげ)、ねぎといったうどんの具ですが、お店によっては地元の特産品であるちりめんじゃこやとろろ昆布こんぶも入るようです。
中日ちゅうにち」という名前の由来は、“中華めんは中国で、うどんスープは日本のものなので1文字ずつ取って「中日ちゅうにち」にした”という説があります。(諸説しょせつあり)

沖縄ソーミンタシヤー

沖縄 ソーミンタシヤー

そうめんをシンプルにいためた家庭料理

ソーミンはそうめん、タシヤーは油いための意味です。
そうめんを野菜やツナなどの具材と一緒いっしょに、塩やしょうゆでシンプルにいためる沖縄おきなわの代表的な家庭料理です。
簡単かんたんな昼食や間食として、また酒のさかなとしても人気です。
沖縄おきなわ県では、そうめんは身近な食べ物で、家庭に常備されていることが多く、しる物や冷やしそうめんとしても食べられます。

ここで紹介しためん料理はほんの一例です。日本全国には、もっとたくさんのご当地めん料理があります。調べていくと、さらにおもしろいめん料理に出会えるかもしれませんね。

日本人が食べる年間のめんの量と種類

日本人はめんが好きで、めんの種類も豊富ほうふにあります。家庭でも外食でも手軽に食べられるようになりました。
では、どのようなめんがどこで多く食べられているのでしょうか。

〈マップグラフで見るめん類の消費しょうひ量〉

うどん・そば・パスタ・中華めん・カップめん・即席めん・その他のめん類の合計値

〈図表〉うどん・そば・パスタ・中華麺・カップ麺・即席麺・その他の麺類の合計値
総務省統計局「家計調査ちょうさ」(2020年)

うどんの消費しょうひ量が全国1位の香川県は、めん類の消費しょうひ量ランキングでも1位です。
うどん県とばれるだけあって、うどんの消費しょうひ量がずば抜けて多いので、つねにトップを維持しています。
また、西日本より東日本のほうがめん類の消費しょうひ量が多い傾向けいこうにあります。
さらに、西日本ではうどんの消費しょうひ量が多く、東日本ではそばの消費しょうひ量が多い傾向けいこうにあります。

人口10万人あたりのめん類の店舗数(2021年)で較してみましょう。

①都道府県別うどん屋店舗数2021年

〈図表〉都道府県別うどん屋店舗数2021年
※タウンページから「うどん店」として登録されている店舗数を都道府県別に集計したもの

1位は讃岐さぬきうどんで有名な香川県で、飛びぬけて多い店舗数です。全国平均へいきんの3.5倍で人口10万人あたり50.16軒です。
続いて、群馬県(32.06軒)、ふく井県(31.01軒)、山梨やまなし県(30.35軒)、栃木県(26.84軒)の順になっています。
西日本にうどん屋が多いことがわかります。

②都道府県別そば屋店舗数2021年

〈図表〉都道府県別そば屋店舗数2021年
※タウンページから「そば店」として登録されている店舗数を都道府県別に集計したもの

そば屋が最も多いのは信州そばで有名な長野県で、人口10万人あたり44.54軒です。
続いて、山形県(43.14軒)、ふく井県(36.09軒)、栃木県(35.11軒)、群馬県(31.90軒)が上位になっています。
ちなみに、山形県、ふく井県、栃木県、群馬県はうどん屋の店舗数も多い県です。
東日本にそば屋が多くあることがわかります。

③都道府県別ラーメン屋店舗数2021年

〈図表〉都道府県別ラーメン店店舗数2021年
※タウンページから「ラーメン店」として登録されている店舗数を都道府県別に集計したもの

東日本にラーメン店が多い傾向けいこうにあり、特に東北の日本海側や北関東にラーメン店が多いようです。
1位は山形県、2位は新潟県、3位は栃木県です。
また、西日本とくらべて、東日本は食塩や味噌みそ消費しょうひ量が多い傾向けいこうにあるので、い味を好む地域ちいきでラーメンが好まれているといえます。
さらに、特徴とくちょう的なのはラーメン屋とそば屋の多い地域ちいきが重なっている点です。

日本各地で愛されているめん料理。それぞれちがせいがあり、ユニークなめん料理もたくさんありますね。どのめん料理が美味しそうでしたか?
ぜひ旅行へ行ったさいに、ご当地めんを食べてみてはいかがでしょうか。

※料理の誕生たんじょう時期・発祥はっしょう地等は諸説しょせつあります。

ライター 堀江 優子

ライター堀江 優子

愛媛県松山市在住。管理栄養士。岡山県倉敷市生まれ。岡山県立大学保健福祉ふくし学部栄養学科卒業。大学卒業後に愛媛県松山市で就職しゅうしょくし、行政の管理栄養士として20年間勤務後に独立どくりつ。その後、レシピ開発や執筆、トレーニングジムの個別こべつ栄養サポートなどを行う。主宰する「スマイルエプロン 食育と料理教室」では、食育や郷土きょうど料理のオンライン料理レッスンも開講しており、子どもの食育や和食・郷土きょうど料理の普及啓発に力をいれている。


参考文献
日本の食文化「和食」の継承と食育 新版  江原絢子 石川尚子  第三版三刷 2021年9月30日  株式会社 アイ・ケイ コーポレーション
全集 伝え次ぐ 日本の家庭料理 そば・うどん・粉もの  一般社団法人 日本調理科学会   2020年11月10日 第1刷発行 農山漁村文化協会  
もっと日本が好きになる!都道府県312 篠原 靖  2021年2月5日 第3刷発行  えほんの杜
食育教材 知りたい!食べたい!おいしいめん ガイドブック   2021年 4 月 発行  一般社団法人 日本即席食品工業協会
誰かに話したくなる!「和食と日本人」おもしろ雑学  武田櫂太郎   2016.3.15第1刷発行  大和書房
奥村彪生 『日本めん食文化の一三〇〇年』(増補版第1刷)農山漁村文化協会  2014年12月10日
麺の文化史  石毛直道  2014年3月14日第5刷発行  講談社学術文庫
参考サイト
農林水産省 (maff.go.jp)
稲庭うどんとは | 秋田県稲庭うどん協同組合 (inaniwa-udon.jp)
株式会社稲庭古峯堂|食品製造|秋田県湯沢市 (inaniwa-kohodo.jp)
都道府県別統計とランキングで見る県民性 - とどラン (todo-ran.com)
一般社団法人 日本即席食品工業協会 https://www.instantramen.or.jp
一般社団法人阿波市観光協会あわレポ https://www.awa-kankou.jp/awarepo/962/
徳島県観光情報サイト https://www.awanavi.jp/