0ヵ月の赤ちゃんの発育と発達

生まれてから生後1ヵ月までの間を「新生児期」といいます。子宮での“水中生活”から大気中へ…。赤ちゃんは、一生懸命新しい環境に自分を適応させていこうとしています。

体重

順調に育っているか目安になる体重は、生後1週間ほどで退院後1週間で200~300g増えていきます。体重増加は1日25~50gと、赤ちゃんによって幅があり、毎日同じだけ増えるわけではありません。

母乳が出ない?

母乳の出が安定するまで、人によっては2週間くらいかかることもあり、また、赤ちゃんもまだおっぱいの吸いつきが弱かったり、じょうずに飲めなかったりします。体重がそこそこ増えているようなら、あきらめず、あせらず「おなかがすいて、欲しがるときに、おっぱいをあげる」を続けましょう。

がんばっているけれどなかなか母乳が出ない…というときは、ミルクを足すのもひとつです。ミルクをあげる時も、母乳をあげる時と同じように、目を見つめながら愛情をたっぷり注いであげましょう。退院して2~3週間たっても体重が生まれたときと変わらない、まったく増えないというときは、1ヵ月健診を待たずに小児科を受診してください。

授乳・食事時間の目安

母乳または「明治ほほえみ らくらくキューブ」は1回につき80~120mlを1日7回

ゲップ・しゃっくり

母乳の赤ちゃんはあまり空気を飲み込まないので、ゲップもあまり出ないことが多く、「うちの子、ゲップがへた」と感じるママもいます。 また、「よく吐きます」という心配も多いですが、おっぱいやミルクのあと、口の端からちょっと出る、寝かせたときにゲップといっしょに出る、おむつ替えのときにおなかに触れたら出る、というのなら大きな心配はありません。しゃっくりも成長と共に少なくなっていきます。

生理現象

「鼻がぶーぶーいう」「眠っているとき呼吸が速い」「手足がピクピクする」「泣いた後やおっぱいを飲んだ後、ぜいぜいする」「しょっちゅういきむ」などもよくある心配ですが、どれもこの時期の赤ちゃんに多い、生理的な現象です。

また、「新生児黄疸」も多くの赤ちゃんに見られる生理的現象です。生後1週間から10日くらいで消えるものですが、母乳の赤ちゃんの場合はもう少し長く続くこともあります。1ヵ月健診の際に、小児科医に相談するとよいでしょう。

体の機能

新生児期の赤ちゃんは、体温調節もじょうずではないので、室温は赤ちゃんに負担がかからないよう調節し、ウイルスや菌など病原体に対する抵抗力も弱いので、大人が家庭に病原体を持ち込まないよう気をつけます。風邪やウイルス対策には「帰宅したら手を洗う」が効果的。哺乳びんを用いるときは消毒をきちんとしましょう。

ママの体も大切に

多くの赤ちゃんは、まだ昼夜の区別がつきません。おなかがすけば泣き、おむつが濡れれば泣き、この頃のママは常に睡眠不足。カーテンの開け閉めだけで目を覚ます赤ちゃんに、ママもパパも神経質になることも。この時期の赤ちゃんはだいたいこんなペースなので、気負わず接してあげてください。

赤ちゃんが眠っているときは、ママもできるだけ体を休めましょう。もちろん、パパなど家族の協力も不可欠です。遠慮なく、周りの人の力を借りてください

ママ自身の体も十分いたわることが必要な時期です。産後の回復が思わしくない、体調がどうもよくないというときは、1ヵ月健診を待たずに産婦人科を受診してください。体も心も、つらい時は1人で抱え込まないで

地域の保健センターや保健所の、保健師・助産師による訪問指導を活用して、育児の不安解消に役立てましょう。

ご指導いただいた先生

  • 東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター教授
    (小児科教授兼任)
    齋藤加代子先生