新生児(赤ちゃん)のしゃっくりが止まらないと、「どうすればよいのか?」「病気ではないのか?」と不安になる方も多いでしょう。
この記事では、新生児(赤ちゃん)のしゃっくりが出る原因や止め方、しゃっくりを止める際の注意点について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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しゃっくりは、横隔膜の痙攣によって引き起こされます。横隔膜とは肺の下にあり、呼吸を助ける役割をしているドーム状の筋肉です。この横隔膜が痙攣すると、息を素早く吸い込むと同時に、喉にある声帯が急に閉じてしまいます。
この閉じられた声帯を空気が通過することで、「ヒック」という特徴的な音が出てしまうのです。これは大人も赤ちゃんも同じメカニズムですが、赤ちゃん、特に新生児は横隔膜の動きが未熟なため、しゃっくりが出やすくなります。
赤ちゃんのしゃっくりは、胎児の頃から始まります。胎動とは異なり、胎児しゃっくりはお腹がリズミカルにぴくっ、ぴくっと動くのを感じることができます。
初めて感じたときには、痙攣しているのではないかと心配になったママもいるのではないでしょうか。胎児しゃっくりは、赤ちゃんの横隔膜が発達する過程で、呼吸の練習をしていると考えられており、成長している証の一つといえます。
なぜ新生児の赤ちゃんは頻繁にしゃっくりをするのでしょうか。主な原因を3つご紹介します。
生まれたばかりの赤ちゃんは、身体のあらゆる機能が発達の途中です。横隔膜の動きをコントロールする神経も未熟なため、大人なら何でもないような少しの刺激でも横隔膜が痙攣しやすく、しゃっくりにつながります。
成長とともに身体機能が発達してくると、しゃっくりの回数は自然と減っていきます。
赤ちゃんの月齢ごとの発育・発達については、こちらも参考にしてください。
関連記事:ほほえみクラブ 赤ちゃんの発育と発達<0ヵ月〜11ヵ月>
赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むときに、一緒に空気を飲み込んでしまうことがよくあります。そうすると胃が空気でパンパンに膨らみ、すぐ上にある横隔膜を直接押し上げて刺激するため、しゃっくりが誘発されます。
特に、お腹が空いていて勢いよく飲んだあとや、哺乳瓶での授乳は空気を飲み込みやすくなる傾向があります。
体温調節機能が未熟な赤ちゃんは、周囲の温度変化に非常に敏感です。
例えば、おしっこやうんちで濡れたおむつを長時間そのままにしておくと、その部分から体温が奪われて体が冷えてしまいます。
また、汗をかいたあとにそのままにしておいたり、暖かい部屋から少し涼しい場所に移動したりといった急激な温度変化も、うまく対応できず体が冷えてしまうことがあります。
こうして体が冷えると、筋肉が収縮し、それが横隔膜への刺激となってしゃっくりが誘引されやすくなります。
赤ちゃんのしゃっくりは、よくある生理現象です。もし気になるようであれば、以下の対処法で様子をみていきましょう。
赤ちゃんのしゃっくりは自然に止まることがほとんどです。実際、しゃっくりをしている赤ちゃん自身は、特に苦しさを感じていないことが多いといわれています。
赤ちゃん自身がけろっとしているようなら、基本的には何もしなくても自然にしゃっくりが止まるのを待ちましょう。赤ちゃんがしゃっくりをしているからといって、「すぐに止めなければ」と焦る必要はありません。多くの場合は数分から数十分程度でおさまります。
ただし、しゃっくりによって腹圧がかかり、母乳やミルクを吐き戻しやすくなるため、顔を横に向かせてあげましょう。
授乳後にしゃっくりが出やすい場合は、胃のなかにたまった空気が原因かもしれません。授乳が終わったら、赤ちゃんの背中を優しくトントンと叩いたり、下から上へさすったりして、げっぷをさせてあげましょう。
上手にげっぷをさせてあげることで、胃の圧迫が和らぎ横隔膜への刺激が減って、しゃっくりが止まりやすくなります。授乳後だけでなく、しゃっくりが続いているときにも、げっぷを促してみるとよいでしょう。
げっぷのさせ方にはいくつかコツがあります。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
授乳のたびにしゃっくりを繰り返す場合は、授乳時の姿勢を見直してみるのも効果的です。空気を飲み込みにくくする工夫をしてみましょう。
●母乳の場合
赤ちゃんが乳首を浅くくわえていると、空気を飲み込みやすくなります。抱き方などを工夫し、乳輪まで深くしっかりとくわえさせてあげることが大切です。
乳首を浅くくわえてしまうことは、母乳がうまく吸えない、乳頭に傷がつきやすくなるなどのトラブルにもつながります。おっぱいを深くくわえさせる方法がわからない場合は、かかりつけの産婦人科や近くの助産院に相談してみましょう。
●ミルクの場合
ミルク授乳の場合は、母乳と違って赤ちゃんの頭が下がりすぎないように、上半身を少し起こした姿勢で授乳することを意識しましょう。
この姿勢を保つことで、空気の飲み込みを少なくすることが期待できます。また、授乳時は、哺乳瓶のゴム乳首の先端が常にミルクで満たされている状態を保ちましょう。余計な空気を吸うのを防ぐことができます。
身体の冷えは横隔膜の収縮を促すため、しゃっくりの原因となります。まずは赤ちゃんの体が冷えていないかチェックしてみましょう。
おむつが濡れていたらすぐに交換し、汗で肌着が湿っている場合は着替えさせてあげることが大切です。おくるみで包んであげたり、大人の手で赤ちゃんの足や背中をそっと温めてあげたりすると、おさまることがあります。
また、室温や湿度が快適かどうかも確認し、必要であれば調整してください。体を温めることで筋肉の緊張がほぐれ、しゃっくりも落ち着きやすくなります。
参照元:社会福祉法人康和会 久我山病院/『赤ちゃんのしゃっくり』~止め方があるの?!~
しゃっくりは、横隔膜の神経が興奮することで起こります。そのため、赤ちゃんを抱っこして安心させてあげることで、気持ちが落ち着き、しゃっくりも自然と止まりやすくなります。
抱っこする際は、ママやパパ自身がゆったりした気持ちで縦抱きにして背中を優しくなでたり、左右にゆっくり揺れたりしながら、赤ちゃんをリラックスさせてあげましょう。
赤ちゃんのしゃっくりを止めようとして、間違った方法を試してしまうのは危険です。以下の方法は絶対に避けましょう。
赤ちゃんをびっくりさせて、しゃっくりを止めようとするのは絶対におこなわないようにしましょう。
しゃっくりを止める方法として知られている「びっくりさせる」という方法は、大きな音を立てたり、急に体を揺さぶったりするため、赤ちゃんが過度に驚いてしまいます。それにより、呼吸が一時的に止まったり、体調不良を引き起こしたりする危険性もあるのです。
また、激しく揺さぶることは脳に損傷を与えてしまう揺さぶられ症候群につながるリスクもあり、大変危険です。同様に、水を飲ませる、鼻をつまむといった大人向けの方法も、赤ちゃんには危険をともない、思わぬ事故につながるためおこなってはいけません。
参照元:日本小児科学会/赤ちゃんを揺さぶらないで 乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を予防しましょう。
しゃっくりを止めるために、赤ちゃんをうつぶせ寝にするのも絶対にやめましょう。
うつぶせ寝は、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めることが知られており、窒息の危険性もあります。赤ちゃんの安全が最優先です。
参照元:日本小児科学会/政府広報オンライン/赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント
ほとんどの赤ちゃんのしゃっくりは生理的なもので心配いりませんが、他の症状をともなう場合は注意が必要です。まれに病気のサインである可能性もあるため、以下のような様子が見られる場合は、かかりつけの小児科や産婦人科に相談しましょう。
ママやパパの「いつもと何か違う」という直感は非常に重要です。少しでも不安なことがあれば、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の保健師に相談しましょう。
新生児のしゃっくりは、赤ちゃんの体が一生懸命成長している証拠でもあります。頻繁にしゃっくりをすると心配になってしまう気持ちはよく分かりますが、ほとんどは一時的なものです。
まずは「大丈夫だよ」と、ママやパパ自身も焦らず落ち着くことが大切です。もし、心配であれば、今回ご紹介した対処法を試しながら、赤ちゃんの様子を優しく見守りましょう。成長とともに、授乳やげっぷもどんどん上手になり、しゃっくりも自然と減っていきます。
育児にはさまざまな不安がつきものですが、一つひとつ向き合いながら、赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。ミルク選びもその大切な一歩です。
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