牛乳には、ビタミンCは少ないものの、そのほかのほとんどのビタミン(脂溶性ビタミンのA・D・E・K、水溶性ビタミンのB1・B2・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・B12など)が含まれています。
とくに豊富なのが、ビタミンA(レチノール)とB2です。
ビタミンAは、活性酸素の発生を抑え、細胞の老化を防ぐ働きがあり、アンチ・エイジングには欠かせません。不足すると、視力の低下や肌のかさつき、抜け毛などが起こりやすくなります。また、免疫機能を高め、感染症などを予防する働きがあることもわかっています。
また、ビタミンB2には、細胞の再生や脂質などの代謝を促進する働きがあります。皮ふや髪、肌などを健康的に保つ「美容ビタミン」としても知られています。また、脂質をエネルギーに変換するので、肥満の予防・解消には不可欠のビタミンです。
ビタミンAとB2は、レバーやウナギなどにも多く含まれていますが、毎日続けて摂取する必要性を考えると、手軽に飲むことができる牛乳は優れた補給源だといえます。
また、ビタミンは、数種類の相互作用により高い機能を発揮します。多くのビタミンを含む牛乳は、この点でも優れた食品です。
牛乳の主要たんぱく質であるカゼインは、体内の消化の過程で分解されると、カゼインホスホペプチド(CPP)という物質を生成します。CPPは、牛乳やほかの食品に含まれるカルシウムなどのミネラルと結びつきやすく、その結果、ミネラル全体の吸収率を高める働きをします。
鉄分は、赤身の肉やレバー、大豆、プルーンなどの食品に多く含まれていますが、あまり吸収率がよくありません(動物性食品のヘム鉄で20%程度、植物性食品の非ヘム鉄では数%)。
しかし、牛乳と一緒にそうした食品をとると、CPPの働きによって、鉄分の吸収率が高まります。牛乳そのものには鉄分がほとんど含まれていませんが、ほかの食品の鉄分吸収を助ける不思議ともいえる働きをするのです。
CPPは、鉄分にかぎらず、マグネシウムなど多くのミネラルと結びついて吸収を助けます。
不足しがちな栄養素を上手にバランスよく摂取するために、ぜひ毎日の食卓に牛乳を取り入れましょう。