第1回『牛乳・乳製品の栄養素って、すごい!』

牛乳の豊富なカルシウム

カルシウムのはたらき

「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)には、私たちが必要とするミネラルとして「13種類」が定められています(※)。

骨や歯の形成、神経伝達、血液の生成、体内のイオンの浸透圧調節など、様々な機能をうまくコントロールし、スムースに働くようにするには、ミネラルは欠かせません。

そのうち牛乳に多く含まれているのは、カルシウム、カリウム、リン、ナトリウム、マグネシウムおよび亜鉛です。

とくに、カルシウムはとても重要な役割を果たします。

カルシウムは骨の主成分で、全身のカルシウムの99%が骨や歯に含まれています。骨の成長には材料であるカルシウムの十分な摂取が必要です。また骨の入れ替わり(新陳代謝)は一生続きますので、食事からのカルシウムの供給を続けることが肝心です。

また、カルシウムは、心臓、筋肉や神経の働きを調節したり、血液の凝固やホルモンの生成など、生命活動を支える重要な働きもしています。そのため体内では細胞中や血液中のカルシウム濃度は厳密に制御されています。カルシウムが不足すると骨から取り出して、筋肉や神経の活動に使います。慢性的にカルシウム不足が続くと、骨量が減少するだけでなく、骨から取り出された過剰のカルシウムが血管内壁に沈着し、動脈硬化を促進します。その結果、血管の老化を速め、高血圧や糖尿病などの一因ともなるのです。

※「食事摂取基準」に定められたミネラルは、マグネシウム、カルシウム、リン、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、ナトリウムおよびカリウムの13種類です。

日本人はカルシウム不足 牛乳・乳製品で改善を

日本は食生活が豊かな国ですが、「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、日本人のカルシウム摂取量はほとんどの世代で、慢性的な不足状態が続いています。

カルシウムの骨への蓄積がもっとも盛んな成長期(10歳代)以降、各世代において推奨摂取量を満たしていないのが現状です。日本人のカルシウム不足の背景として、食生活の洋風化によって、昔から食べてきた小魚や海藻の摂取量が減ったこと、また水が軟水であり、多くの農作物のカルシウム含量の低いことなどが指摘されています。現在、牛乳や乳製品は、日本人にとって重要なカルシウム源となっています。

カルシウムを上手にとるならやっぱり牛乳が最適

カルシウムを豊富に含む食品について消化吸収率を比較すると、牛乳が約40%、小魚が約33%、野菜が約19%となっており、牛乳が優れています。牛乳に含まれるカゼインや乳糖に、カルシウムの吸収を助ける働きがあることが、消化吸収率の高い理由の1つです。

また、牛乳にはミネラルの1つ、リンが含まれています。丈夫な骨をつくるには、カルシウムとリンの比率が重要ですが、牛乳には理想的とされる約1:1の比率で含まれています。カルシウムは体内で作ることができないので、毎日の食事から継続して摂取する必要がありますが、牛乳や乳製品は手軽で効率良くカルシウムを摂取できる優れた食品です。

ヨーグルトやチーズなどの乳製品では、発酵過程で乳酸菌の作り出す乳酸とカルシウムが結合することで、より消化吸収率が高まっています。