第1回『牛乳・乳製品の栄養素って、すごい!』牛乳・乳製品に含まれる栄養素がどれくらいあって、どんな働きを持っているのか、ご存知ですか?牛乳・乳製品は、子どもたちだけでなく、おとなの健康にも役立つこと、ご存知ですか?牛乳・乳製品のこと、もっともっと。/【監修】東北大学大学院農学研究科 名誉教授 齋藤 忠夫先生:農学博士。東北大学大学院農学研究科・生物産業創生科学専攻・動物資源化学分野 名誉教授。アジア乳酸菌学会連合(AFSLAB)会長・日本国代表理事。日本酪農科学会(JDSA)会長・顧問。日本農芸化学会フェローを歴任。日本酪農科学会賞(1998)、日本畜産学会賞(2002)、日本学術振興会科研費優秀審査委員賞(2008)、国際酪農連盟日本委員会第3回光岡賞(2012)を受賞。東北大学農学部卒・農学研究科博士課程修了、米国プランダイス大学生化学部博士研究員(1987-1988年)。畜産食品科学、応用微生物学、糖鎖生物工学が専門。

牛乳・乳製品と栄養素の働き

カルシウムだけじゃない!牛乳は栄養素の宝庫

牛乳といえばカルシウムを思い浮かべますが、それだけではなく「たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミン」がバランスよく含まれています。食品としての牛乳は私たちの生命活動や健康維持に大切な役割を果たしています。

たんぱく質、脂質、炭水化物は、私たちの体をつくる基本的な3大栄養素であり、活動するためのエネルギー源などになります。

その働きを助け、さまざまな体の機能を調節しているのがミネラルとビタミン。この五つを合わせて5大栄養素といいます。たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンがそろって、私たちの生命活動は維持され、健康な生活を続けることができます。

私たちは毎日の食事から、5大栄養素を上手にとりいれる必要があります。牛乳は、私たちが必要とするそれらの栄養素の非常に優れた供給源です。

さらに近年の研究で、免疫力を高めて病気になりにくい体をつくる、病原菌の感染を防ぐ、血圧を改善するなど、牛乳のさまざまな働き(生体調整機能)が明らかにされています。

牛乳(200mlあたり)の栄養成分とその含有量/出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

牛乳の優れた栄養バランス

牛乳コップ1杯(200ml)あたりの栄養充足率/出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

左の図は、成人女性の1日の食事摂取基準に対する牛乳コップ1杯の「栄養充足率」を示しています。カルシウムは約35%、ビタミンB2とビタミンB12は共に25%と高い数値を示しており、これらの栄養素についてはコップ1杯で1日に摂りたい量のそれぞれ3分の1と4分の1を摂取可能であることが分かります。牛乳は、成長期に必要となる栄養素を豊富に含み、幼児や児童、若者などに適した食品です。現代人に増えている生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)は、カロリー摂取過多(食べ過ぎ)と運動不足による肥満が原因です。肥満の解消には、摂取カロリーを減らすことが不可欠ですが、牛乳は少ないカロリーでバランス良く栄養素をとることができる栄養素密度の高い食品で、健康的なダイエットをサポートできます。