さまざまな分野で
才能をみせた、万能の天才
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レオナルド・ダ・ヴィンチって
どんな人?
レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリアのルネサンス期を代表する芸術家です。名前の「ダ・ヴィンチ」とはヴィンチ村出身であることを意味しています。
レオナルドの父と母は身分のちがいがあったため結こんはしておらず、小さなころは母のもとで自然とたわむれ自由に育ち、学校教育は受けていませんでした。自然現象に興味を持ち、するどい観察眼と物や情景をえがき出す力を身につけました。のちに父に引き取られ、当時のフィレンツェで有名だったヴェロッキオという芸術家に弟子入り。ここで才能を開花させ、さらに成長していきます。
絵画だけでなく、音楽、建築、設計、工学、解ぼう学、地質学、天文学とあらゆる分野の知識を積み重ね、多方面で一流となっていきます。あきることなく興味を持ったことをつきつめて考え、のめりこむレオナルド。そんな研究熱心な性格は、数多く残されていた研究ノートからもわかります。当時材料に木材や布などしか利用できず軽くてじょうぶな機体を作れなかったため、飛ばすことのむずかしかったヘリコプターの図案スケッチや、メガネや望遠鏡を作るための光、凸面鏡についても非常にこまかく記されていました。
そして、もっとも評価されている美術分野では有名な「最後の晩餐」、「モナ・リザ」などをえがきました。現代でも人気がおとろえることなく、モナ・リザが保管されているフランスのルーヴル美術館にはたくさんの人がおとずれています。「モナ・リザのモデルはだれなのか」「写真もない時代にこんなにも立体的にえがかれているのは、一体どういう手法だったのか」と多くのなぞが残っており、それが人々の関心を引きつけ、はなさないポイントなのかもしれません。
レオナルドは健康に気をつかい、食事も野菜を中心にしていたといわれています。好物だったといわれているのはミネストラ。ミネストラは、野菜や豆や肉汁などを使ったのう厚なスープです。現代では、トマトとたくさんの野菜を使った赤いスープの「ミネストローネ」がありますが、レオナルドが生きていた当時、トマトはまだヨーロッパに入ってきておらず、現代のわたしたちが思いうかべるトマトの「ミネストローネ」はありませんでした。
他にもレオナルドの好物だったといわれているものに、牛にゅう70%、羊にゅう30%を使用したチーズ「モンテボーレ」があります。レオナルドが司会を務める結こん式のために用意したともいわれています。
トマトはアメリカ大陸で食べられていました。レオナルドの後の時代にヨーロッパに入り始めたものの、有毒とみられ食用に使われなかったトマト。それがどうしてイタリア料理の定番食材になったのでしょう。
1600年代後半、イタリアでは貧しい人たちが何も食べられずに死んでしまうきびしい状態となりました。「どうせ死んでしまうなら」と思い切ってトマトを食べてみた人がいて、そうすると毒でもなかったし意外にもおいしかった、というのが食用の始まりといわれています。その後1700年代ごろからはとう明の野菜スープであったミネストローネに「トマト」が加わり、その他のイタリア料理にもトマトが使われるようになっていきました。
- トマトの栄養について
- トマトはビタミンA、ビタミンCを豊富にふくみ、目やはだの健康にいいといわれています。また、トマトの赤色を出す成分「リコピン」は、たくさんありすぎると体の細ぼうをきずつける「活性こう素」の働きをおさえる力があるといわれています。
レオナルドは肉や魚を食べず、野菜中心の生活をするベジタリアンだったという説があります。ですが、レオナルドの有名な作品である「最後の晩餐」では近年の研究によりウナギのグリルがえがかれているとわかりました。実際、レオナルドが食料品を買ったときのレシートに「ウナギ」の記録も残されているので、ベジタリアンではなかったのでは?ともいわれています。
ただ、食に関するメモがたくさん残っており、そこには健康に気をつかう、レオナルドの食に対する考え方がしっかりと記されていました。
- レオナルド・ダ・ヴィンチの食の考え方
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健康でありたいと思うなら、つぎの養生法*を守りましょう
食よくがなければ食べてはいけません
よくかむようにしましょう
口にするものはどんなものであってもよくにこまれたものであっても、素ぼくな料理であっても薬を服用するのは教養がない証こですおこらないように気をつけて、悲しい心地からにげるように食事を終えて席を立ったなら、しばらくそのままでいましょう
昼ねはしないようにしましょう
ワインは水でうすめて少しずつ飲むようにしましょう
食間、空ふく時にワインは飲まないようにトイレをがまんしたりせず、また、長すぎもしないように運動するならちょっとしたものにしましょうねるときは、おなかを天井に向けず、頭は下げないように夜に体をしっかりおおいましょう
頭を休め、幸せな気分でいるようにしましょうよく望に支配されないようにして、これらの養生法を守りましょう
出典:レオナルド・ダ・ヴィンチ著『アトランティコ手稿』(1515年)
*養生法:健康を保ち、健康を管理して長生きするための方法のこと
トマトを使ったレシピを
見てみよう!
- チーズがとろけるミネストローネ
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レオナルドの好物「とう明な野菜スープ」にトマトを入れたら、こんなにおいしくなりました。
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