健康のためのかしこい食べ方がわかる!食の栄養バランスチェック

栄養コラム どんな食品にどんな栄養があるの?『栄養素のはたらき「ひとくち」解説

食品にはいろいろな栄養素が含まれていて、それぞれの食品に含まれる栄養素の割合は異なります。
栄養素の体内でのはたらきは3つに分けられます。

①主にエネルギーのもとになる
炭水化物、脂質、たんぱく質
②主に体をつくるもとになる
たんぱく質、脂質、無機質(ミネラル)
③主に体の調子を整えるもとになる
ビタミン、無機質(ミネラル)

エネルギーは、私たちの生活のあらゆる場面で必要です。寝ている時も使っています。
摂取するエネルギーや栄養素が少ないと、体の機能が低下して疲れたり病気になりやすくなります。また体は毎日入れ替わっているので、まずは食事をきちんと摂る習慣をつけましょう。
ここでは、それぞれの栄養素のはたらきや、どんな食品に含まれるのかを簡単にご説明します。

たんぱく質

筋肉など体の組織をつくる

多数のアミノ酸が連結したものです。体内に取り入れられるとアミノ酸に分解されて多彩な働きをし、筋肉や皮膚、毛髪、爪、臓器などの材料になったり、ホルモンや免疫に関係する物質になったりします。肉や魚介類、卵、乳製品などの動物性たんぱく質と、穀類や豆類などの植物性たんぱく質の両方をバランスよく摂りましょう。

たんぱく質が含まれる食材
米、卵、肉、魚、牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆、豆腐、納豆など

脂質

ほどよく摂ろう。摂りすぎ注意!

たんぱく質や炭水化物よりも効率のよいエネルギー源で、ホルモンや細胞膜などを構成したり、ビタミンA、D、Eなど脂溶性ビタミンの吸収を助けます。血液中には脂肪酸、中性脂肪、コレステロール、リン脂質の4つの脂質が含まれています。油分が極端に不足すると、抜け毛やカサカサ肌の原因になりますので気をつけましょう。

脂質が含まれる食材
植物油、肉、魚、バター、ゴマ、アボカド、くるみなど

炭水化物

分解されて体と脳のエネルギーに!

人間の体の主要なエネルギー源で、炭水化物が体内で分解されてできたブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源になっています。一般的に日本人は、炭水化物から摂取エネルギーの60%前後を得ています。主に米、小麦、いも類、とうもろこしなどに含まれ、またビタミンB1と一緒に摂ると、効率よくエネルギーにすることができます。

炭水化物が含まれる食材
ごはん、パン、とうもろこし、かぼちゃ、さつまいも、さといも、バナナなど

食物繊維

整腸効果や生活習慣病予防に役立つ

食物繊維には、大きく分けて水に溶ける水溶性と水に溶けにくい不溶性があります。消化・吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。

食物繊維が含まれる食材①
〈不溶性食物繊維〉野菜、きのこ類、穀類、豆類、イモ類など
食物繊維が含まれる食材②
〈水溶性食物繊維〉果物、海藻類、こんにゃく、野菜、豆類、胚芽類など

カリウム

不足すると血圧が高くなることも

細胞内液に多く含まれ、ナトリウムと拮抗(きっこう)して働いています。主に筋肉や神経の働きを調節し、不足すると血圧が高くなったり、脱力感を感じたりします。緑黄色野菜や海藻、果物などに多く含まれていますが、茹でたり煮たりすると溶け出してしまうので、スープなどにして煮汁ごと食べるのもよいでしょう。

カリウムが含まれる食材
昆布、納豆、すいか、バナナ、アボカド、いちごなど

カルシウム

骨や歯の健康に大切!

丈夫な骨や歯をつくるために必要なカルシウム。筋肉や神経の活動にも関わり、成長期の子どもや妊娠中・授乳期の女性には、特に多くのカルシウムが必要です。カルシウム不足は、腰痛や肩こりの原因になったり、ひどい時には骨粗鬆症を引き起こしたりします。ビタミンDを一緒に摂ると吸収を助けてくれます。牛乳や乳製品に含まれるカルシウムは吸収率が高いのが特徴です。

カルシウムが含まれる食材
牛乳、小魚、チーズ、ヨーグルト、豆腐、納豆、小松菜など

スポーツをする人や貧血気味の女性には欠かせない

鉄は主に体のあちこちに酸素を運びます。不足すると体が酸欠状態になり、ひどくなると鉄欠乏性貧血を起こします。ビタミンCは鉄の吸収を助けるので、ぜひ一緒に摂るといいですね。また、鉄には肉などに含まれるヘム鉄と、海藻や野菜、大豆に含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄のほうが吸収率は上です。

鉄が含まれる食材
豚レバー、あさり、ひじき、納豆、ほうれん草、切干大根など

亜鉛

味覚を正常に保ち皮膚や粘膜の健康を助ける

亜鉛は味覚を正常に保つために働き、また皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。体の中では主に骨・肝臓・腎臓・筋肉に存在していて、新陳代謝に必要な反応に関係する多種類の酵素をつくる成分となるほか、たんぱく質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写に関わっています。高齢者の亜鉛不足は、床ずれの回復が遅れたり免疫力の低下につながるといわれています。

亜鉛が含まれる食材
かき、うなぎ、赤身の肉など

ビタミンA

目や粘膜を丈夫に!

視力を正常に保ち、皮膚や粘膜を丈夫にする働きがあり、免疫力とも密接に関係しています。ビタミンAには動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜に含まれるカロテンがあります。カロテンは体内に吸収されてからビタミンAに変わり、油と一緒に摂るとより吸収されやすくなります。

ビタミンAが含まれる食材
鶏レバー、うなぎ、かぼちゃ、モロヘイヤ、アスパラガス、納豆、柿、ほうれん草など

ビタミンB1

疲れやすい人はきちんと摂ろう

ビタミンB1は炭水化物をエネルギーにかえるビタミンです。脳の働きのためには炭水化物とともにビタミンB1が必要になります。不足すると疲労しやすくなり、脚気などを引き起こします。ビタミンB1は胚芽米や玄米に豊富。その他、豚肉にも多く含まれています。

ビタミンB<sub>1</sub>が含まれる食材
豚ヒレ肉、玄米ごはん、そば、ライ麦パンなど

ビタミンB2

肌や髪などによい美容ビタミン

ビタミンB2は不足すると、口内炎や口角炎、舌炎ができやすくなります。また目の充血や肌荒れ、髪の毛が傷んだりもします。成長期の子どもや、運動・肉体労働でエネルギーをたくさん使う人は、特に多くのビタミンB2が必要です。レバーやうなぎ、さば、さんま、納豆などに多く含まれていて、牛乳や乳製品、卵も効率のよい摂取源です。日光に当たるとこわれやすいので、保存には注意が必要です。

ビタミンB<sub>2</sub>が含まれる食材
豚肉、牛レバー、魚、牛乳、チーズ、納豆、卵など

ビタミンC

若々しさを保つ抗酸化成分

体の老化や生活習慣病を防ぐのに役立つと考えられ、また骨や皮膚の主要な成分であるコラーゲンの生成も促進します。タバコを吸う人、ストレスの多い人、免疫力の低下が気になる人はビタミンCの消耗が激しいので、緑黄色野菜や柑橘類などで多めに摂取しましょう。熱に弱く、茹でる・煮るより炒めるほうが損失は少なくてすみます。なるべく短時間で調理し、温めなおしは避けるようにしましょう。

ビタミンCが含まれる食材
菜の花、ブロッコリー、ネーブルオレンジ、柿、レモン、ほうれん草、パプリカ、れんこんなど

ビタミンD

骨を丈夫にする働きを持つ

カルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する重要な役割があり、健康な骨を維持するために欠かせないビタミンで、免疫機能を調整する働きもあります。また、日光に当たると体内で合成されます。

ビタミンDが含まれる食材
サケ、サバ、まぐろ、牛レバー、チーズ、卵黄、きのこ類など

ビタミンE

血行促進やホルモンバランスを整える

ビタミンEは抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防いで体を守る働きがあり、体内の細胞膜の酸化による老化や、血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化など、生活習慣病や老化と関連する疾患を予防することが期待されています。ビタミンEは、ビタミンC、ビタミンAと一緒に「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれており、それぞれを豊富に含む食品を一緒に摂ると効果的です。

ビタミンEが含まれる食材
アーモンドなどのナッツ類、植物油、西洋かぼちゃ、アボカド、うなぎ、たらこなど

食塩

健康のためには控えめが◎

ミネラルの一種で、カリウムとともに細胞膜の浸透圧を調節し、細胞内外の水分や物質の交換をコントロールする私たちの生活に欠かせない栄養素です。ただし、日本人の通常の食生活では摂りすぎる傾向があります。加工食品や調味料の塩分にも注意しましょう。

食塩が含まれる食材
みそ、しょうゆ、梅干しなど