重厚な見た目と上品な味わいのザッハトルテは、チョコレートケーキの一種ですが、他のチョコレートケーキとは作り方や味が少し異なります。本記事では、ザッハトルテの特徴や歴史を解説。ザッハトルテをよりおいしく食べる方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ザッハトルテとは
ザッハトルテは、オーストリア・ウィーン発祥のチョコレートケーキです。濃厚なチョコレートにアプリコットジャムの酸味がアクセントになっているのが特徴で、多くの人たちから愛されてきました。ここでは、ザッハトルテについて紹介します。
あんずジャムが入ったチョコレートケーキ
オーストリア宰相、メッテルニヒのお屋敷に仕えたフランツ・ザッハが1832年に考案した菓子。チョコレートのスポンジの上にアプリコット(あんず)ジャムを塗り、表面全体をチョコレートの糖衣(フォンダン)でコーティングしています。誕生以来、世界中にファンが多い菓子でウィーンの銘菓となっています。
今もなお引き継がれるザッハトルテの歴史
フランツ・ザッハの名前が付いたザッハトルテ。後にフランツ・ザッハの息子のエドワードが、1876年にホテル・ザッハを開業します。ザッハトルテは、このホテルのカフェの看板商品となり今も初代と変わらないレシピで作られています。
ザッハトルテをめぐる争い
ザッハトルテをめぐるホテル・ザッハとデメルとの争いには諸説ありますが、1934年から30年近く続いたと言われます。デメルがホテル・ザッハとのライセンス契約により、ザッハトルテを作るようになりましたが、後にホテル・ザッハがその差し止めを求めて裁判で争うことになりました。長い論争の末、デメルからザッハトルテの販売権を奪うことはできず、双方ともそのお菓子を作っても良いがオリジナル・ザッハトルテの名称はホテル・ザッハの専用に、デメルでは単にザッハトルテとして売るようにとの判決が下りました。
ザッハトルテにはチョコレートのエンブレムが付いていて、ホテル・ザッハ版は円形、デメル版は三角形のエンブレムとなっています。
ザッハトルテの特徴
ザッハトルテはチョコレートケーキの一種ですが、一般的な他のチョコレートケーキとは大きな違いがあります。ザッハトルテと他のチョコレートケーキの違いをチェックしていきましょう。
ザッハトルテは、あんずジャムを使用している
ザッハトルテの特徴のひとつがあんずジャム。ブランドにより量や使い方は異なりますが、主にチョコレート生地の表面全体に塗ったり、2枚の間にサンドしたりして使われています。重厚で甘味のあるチョコレートケーキですが、このあんずジャムの酸味が風味のアクセントになっています。
他のチョコレートケーキには、チョコレートと相性の良いラズベリーのジャムなどを塗ることもありますが、ザッハトルテに使われるのはあんずジャムのみで、それ以外を使うことはありません。
ザッハトルテは、生地の作り方が異なる
ブラウニーやフォンダンショコラ、ガトーショコラなどいろいろなチョコレートケーキがあり、それぞれ生地の作り方が異なります。ザッハトルテの生地は、バターを泡立て器ですり混ぜ、そこに砂糖や卵黄、チョコレートを加えます。メレンゲ、小麦粉等を混ぜて焼き上げる、いわゆるバターケーキの製法です。他のチョコレートケーキにはココアパウダーを入れたり、ブラウニーのようにクルミなどのナッツを加えたりする場合もありますが、基本的にザッハトルテはチョコレート風味のシンプルな生地です。
ザッハトルテは、チョコレートフォンダンでコーティングしている
フォンダン(fondant)とは、砂糖、水、水あめなどを煮詰めたシロップを、少し冷ましてから練り合わせて砂糖の微細結晶を生成させ、白いペースト状にしたもの。ザッハトルテでは、チョコレートを加えたフォンダンを作り、チョコレート生地の表面をコーティングしています。チョコレートの糖衣で覆うのがザッハトルテならではの仕上げ方。シャリシャリとした独特の食感が加わり、この菓子の大きな特徴になっています。
ザッハトルテをよりおいしく食べる方法
そのままでも十分おいしいザッハトルテですが、よりおいしく食べる方法があります。簡単にできるので、ぜひ試してみてくださいね。
無糖の生クリームを添える
本場ウィーンでは、甘いザッハトルテには砂糖を入れずに泡立てた生クリームを添えて供されます。ザッハトルテのどっしりと重厚なチョコレートの風味や、甘みを引き立ててくれる組み合わせです。
<まとめ>ケーキの王様ザッハトルテをおいしく食べよう
濃厚なチョコレートと甘酸っぱく爽やかなあんずジャムの組み合わせがおいしいザッハトルテは、歴史などいろいろな背景も含めてストーリーのある伝統的なスイーツです。店舗によって、あんずジャムの量や塗り方、チョコレート生地の風味などが異なるので、自分好みのザッハトルテを見つけてみましょう。