おいしい食べ方

のむチョコレシピ本とは?

のむチョコレシピ本とは?

2025年11月6日に発刊された「CHOCOLATE;the DRINK チョコレートは飲み物です。」は、その名のとおり飲み物としてのチョコレートを紹介した本。(株)明治がこれまで手掛けてきた“飲むチョコレート”=“のむチョコ”の普及活動を通して得た知見やレシピなど、新しいチョコレートの魅力をより広く知ってもらうために出版されました。

チョコレートドリンクに特化したレシピ本とは?

2025年11月6日に発刊された「CHOCOLATE;the DRINK チョコレートは飲み物です。」は、その名のとおり飲み物としてのチョコレートを紹介した本。(株)明治がこれまで手掛けてきた“飲むチョコレート”=“のむチョコ”の普及活動を通して得た知見やレシピなど、新しいチョコレートの魅力をより広く知ってもらうために出版されました。
今回は、この本に携わった同社のグローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部CXSグループ 須田彩歌さんにお話を伺いました。

チョコレートドリンク普及のきっかけや背景

チョコレート菓子のレシピ本は本屋さんでたくさん見かけますが、チョコレートドリンクだけの本は珍しい気がします。40以上のレシピが掲載されたこの本を出そうと思った理由は何でしょうか?チョコレートドリンクの普及活動について須田さんに話を伺うと、まず二つの大きなハードルについて語ってくれました。「一つ目は、チョコレートドリンクを作る手間がかかる、難しいなどのイメージ。そして二つ目は、チョコレートが“飲める”と知られていないことが挙げられます。チョコレートの飲み物は日本であまり普及していないので、チョコレート市場をより活性化するために2022年から取り組み始めました。」

カカオの歴史は5300年といわれ、そのなかで固形のチョコレートが誕生したのは、実は180年ほど前のこと。大半が飲み物としての歴史と考えると、私たちは意外とチョコレートについて知らないのかも、と改めて感じました。

須田さんは、チョコレート検定上級者の有志と、著名なショコラティエ・土屋公二氏やチョコレートジャーナリストの方と共に2022年に「のむチョコ研究部」を発足。ドリンクとしてのチョコレートのレシピを考えるほか、様々な場所でポップアップやセミナーなどを行い、のむチョコの情報発信を行ってきました。その活動の中で、特別なタイミングだけではなく、日常的にチョコレートを飲める場所をもっと増やしていきたい、と考えるようになりました。そこで、バーテンダーの方々を巻き込んだチョコレートカクテルレシピプロジェクトを実施。チョコレートを愉しむ新たなシーンへの挑戦に、300名以上から474ものレシピ応募がありした。

今回、チョコレートの新たなシーンへの門出の節目として、今まで作りためてきたレシピと、未来に向けた先進的なレシピをまとめ、のむチョコを深堀する書籍を出版することになりました。

(株式会社明治 グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部CXSグループ 須田彩歌さん)

のむチョコの魅力って?食べるチョコとの違いは?

飲むのも食べるのも同じでは?と考えている方もいるかも多いかもしれません。次に、その違いや、魅力について伺いました。

のむチョコならではの魅力は?

食べるチョコレート(固形のチョコレート)は、そのまま食べることを前提とした完成品。須田さんいわく「ドリンクは自由。自分好みにカスタマイズできるのが魅力なんです。」とのこと。一体どういうことなのでしょう?

「もう少しビターなほうがいいな、とか、ミルク感を強めたい、と思っても、固形のチョコレートはカスタマイズがなかなかできません。一方、のむチョコは、使うチョコレートを選んだりブレンドしたり、自分好みにカスタマイズ可能です。液体も水で作るとすっきり、牛乳で作るとこってりした仕上がりに。その日の気分に合わせて仕上げることが可能です。」とのこと。

気分に合わせてちょい足しアレンジができるのも、のむチョコの魅力。例えば、ホッとしたいときは甘味のある香りで癒されるシナモンをプラスしたり、シャキッとしたいときは爽やかな香りとピリッとした刺激のこしょうを加えたりするなど・・。チョコレートと相性の良いスパイスを少量加えることで香りや味わいにも奥行きが出ます。そのほか、フルーツやリキュールをプラスすると、のむチョコがよりリッチな味わいへと変身します。

また、須田さんはシーンの広がりについても教えてくれました。「チョコレートはドリンクにすることで、愉しむシーンが格段に増えます。」

固形のチョコレートは、おやつの時間や食後のタイミングなど、ある程度食べるシーンが限られますが、飲み物にすることでより自由に愉しめるようになるそうです。例えば、おやつや食事を食べながら、のむチョコを飲むなどペアリングの要素も愉しめるほか、ビターなのむチョコは、コーヒーや紅茶に置き換えて仕事や勉強中のお供など日常のシーンにとけこむことができるのが魅力とのこと。確かにそう言われてみると、朝食の時にパンとのむチョコ、おやつタイムならクッキーと・・など、いろいろ試してみたくなります。このレシピ本では、95%カカオ分のチョコレートで作ったのむチョコに、バター系のクッキーやクロワッサンを合わせて、バターの香りとカカオの香りを愉しむといった具体的なペアリングも紹介されています。これは早速実践してみたいですね!

でも、本当に飲み物と食べ物としてのチョコレートは違いが出るのか、より詳しい理由を須田さんに質問してみました。

食べるチョコレートとの違いは?

非常に興味深いのは、固形と液体ではチョコレートの香味の感じ方が違うということ。きちんとした違い、理由があるんですね。

固形チョコレートの場合、ココアバターに風味の成分が包まれるように固まっているため、体温でココアバターがとけるごとに味や香りが口の中にゆっくり広がります。一方、液体チョコレートの場合、砂糖や乳原料由来・カカオ由来の水溶性成分が液体にとけ込んでいる状態なので、口に入れた瞬間に味や香りが広がります。須田さんいわく「固形は味や香りの要素にゆっくり向き合える特長があり、液体はひと口飲んでパッと感じられるインパクトがあり、トップにボリューム感を感じやすい」そうです。

なるほど、同じチョコレートでも状態が異なると明確な違いが生まれるんですね。

どんな読者向けの本?

のむチョコの魅力を理解したところで、でも、チョコレートドリンクに特化した本となるとターゲットが限られるのかな?という疑問もふと感じました。このレシピ本の対象者はどんな方々でしょうか?

「チョコレートが好き、お菓子作りが好きな方々はもちろん、コーヒーやお酒など嗜好品が好きな方々、こだわり派の方にもぴったりです。」と須田さんは語ります。チョコ好き、甘いもの好きだけではない、というのが意外に感じましたが、その理由を聞いて納得。「カカオ分の高いビターチョコレートと水で作るのむチョコは、ブラックコーヒーみたいに飲めるんです。なので、コーヒー派にも受け入れられるし、お酒好きな方には、カクテルという接点でのむチョコを愉しんでもらえると思います。」さらに、「チョコレートドリンク=温かい、甘い、くどいという固定概念を崩したいんです。」と須田さんは付け加えました。今回の本を見ると、冷たいドリンク、和の素材やスパイス、フルーツを取り入れたり、他の発酵食品と組み合わせたりしたレシピまで様々。これらが簡単に作れるのであれば、その人により、また気分により、いろいろ愉しめそうな気がします。

実際に作ってみよう!日常での愉しみ方ヒント

のむチョコの魅力を知ったうえで、早速実践してみたいですよね。須田さんが冒頭でお話しされた二つのハードルのうちのひとつ、「作る手間がかかる、難しい」というイメージを覆すマシンがあるとのことです。

簡単にできる作り方

チョコレートを刻んで、鍋で牛乳などと合わせて温めて・・・というのはひと手間。洗い物も出ますし、焦がしてしまったり、ざらつきが出たり・・と失敗した経験をお持ちの方もいるかもしれません。(株)明治は、家電メーカー(ウィナーズ株式会社)と協業し、のむチョコ専用プログラムを搭載したチョコレートドリンクメーカーを開発しました。材料を入れてボタンを押して、あとは3~5分待つだけ。加熱しすぎたり、攪拌不足もしくは混ぜすぎなどもなく、温度制御や最適な攪拌を自動で行ってくれます。

作り方はとても簡単。お好みの液体(水や牛乳など)100mlと、お好みのチョコレート20~35gをチョコレートドリンクメーカーにセットしてボタンを押すだけ。これなら朝の忙しい時間帯でも、コーヒーマシンのボタンを押す感覚でチョコレートドリンクが楽しめそうです。

ちなみに、専用のマシンがない場合は、100円ショップなどでも見かけるミルクフォーマーでも作れます。詳しくはぜひレシピ本で確認してみてください!

どんなシーンで愉しめる?

今回、須田さんにお話を伺ったなかでとても印象的だったのが、のむチョコと食べ物とのペアリングです。

例えば、焼き芋や干し芋とのむチョコの組み合わせ。素材の味わいを愉しむおやつに合わせるのむチョコには、カカオ本来の香味が愉しめる「明治 ザ・カカオ」を使いますが、ナッティ(ナッツのよう)な風味のダークチョコレートをベースに、フルーティなダークチョコレートをブレンドするというこだわり。須田さんたちは、少しずつチョコレートのブレンドを変えて工夫しながら、焼き芋・干し芋の風味に合う最適なのむチョコの配合を検討したそう。合わせるフードによってチョコレートの種類を変えてみるというのは興味深いアレンジ!非常に奥が深い世界です。
ドリンクにすると、カカオの個性や%による違いが際立つとのことで、選ぶチョコレートによって好きなアレンジができるのが魅力、と須田さんは語ります。

もうひとつ須田さんから、のむチョコに使うチョコレートの選び方のポイントを伺いました。「①質の良いチョコレートを選ぶこと。②香料が入っていないチョコレートを選ぶこと。チョコレートは味や香りを一気に感じやすいので、良い香りが目立ちやすい反面、悪い香りも目出ちやすいという特徴があります。雑味が少ないチョコレートを選ぶことがおいしいのむチョコ作りへの近道です。また香料を使っているチョコレートは、固形のチョコレートでよいバランスになるように仕上げているので、水が入るとバランスが崩れることがあります。」
選ぶチョコレートにより、飲み物の仕上がりも変わってくるとなると、よりいろいろ試してみたくなります。カカオの品種や産地、濃度(%)によっても個性が愉しめそうです。

また、のむチョコは苦味を感じづらいので、少し苦いと感じるくらいのチョコレートを選ぶのがおすすめとか。もし作ってみて苦ければ、ハチミツや砂糖を足す、甘いスイーツと合わせてブラックコーヒー感覚で飲んでみる、など、のむチョコならではのアレンジが楽しそうです。

朝食やおやつの時間に、いつものコーヒーや紅茶をのむチョコに置き換える、などまずはできるタイミングから取り入れてみたいですね。

まとめ

コーヒーや紅茶とはまた違うカカオの香り。須田さんは「カカオの香りは癒し。その魅力が存分に味わえるのがのむチョコです。」とお話してくれました。チョコレートをマシンにセットして、その間にパンを焼いて・・など、朝から心地良い香りで気分も良く元気が出そう。寒い季節なら体も温まりますね。

レシピ本「CHOCOLATE;the DRINK チョコレートは飲み物です。」とチョコレートドリンクメーカーのお得なセット販売もあるとのこと。自分用に、また贈り物などにもいかがでしょうか。ぜひチェックしてみてください。

平田早苗
平田早苗

管理栄養士、スイーツプランナー、ショコラコンシェルジュ®

大学卒業後、洋菓子関連の会社に入社し販売や商品開発に携わる。
その後2007年に独立、商品企画開発や店舗開発等のマーケティング、経営面でのアドバイスなど、スイーツやチョコレートのコンサルタントとして幅広く活動。2008年以降、サロン・デュ・ショコラ・パリをはじめ、世界各国のスイーツやチョコレート市場の調査を行うほか、カカオ産地も訪問。
ウイスキーとチョコレートが好きで、カルチャースクー等でショコラとウイスキーのマリアージュセミナーを多数実施。ウイスキー専門誌「ウイスキーガロア」のテイスターを務めるほか、日本で初となるスピリッツのコンペティションTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)の審査員も務める。

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