基礎知識

希少なホワイトカカオとは?産地からチョコレートの味わいまで解説

希少なホワイトカカオとは?産地からチョコレートの味わいまで解説

エクアドルでは5300年前に食用として摂取されていたことがわかっているカカオ。それを原産とし、古代メキシコに伝わったとされています。本記事でご紹介するホワイトカカオは、メキシコなどを原産とし、カカオ豆の全体量の0.002%と言われている希少なものです。そんなホワイトカカオを使用したチョコレートを食べられる機会が、ここ日本でもあるというのは嬉しい事実。この記事では、ホワイトカカオについて解説するとともに、ホワイトカカオを贅沢に使った明治の限定商品も紹介します。

ホワイトカカオの基礎知識

ホワイトカカオを使ったチョコレートは、その希少性から店頭で見かける機会も少なく、一般的に知られていない事実が多くあります。まずはホワイトカカオの基礎知識を紹介します。

幻のカカオと呼ばれるホワイトカカオ

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通常のカカオの種子(カカオ豆)は中身が紫色なのに対し、ホワイトカカオの種子はその名の通り白色です。写真のように、1つのカカオのポッドの中に、紫と白のカカオ豆が混在する品種はあり、そのことをホワイトカカオと呼んでいることもしばしばあります。しかし、全てのカカオ豆が白色という品種は非常に少なく希少です。そのため世界のチョコレート好きの間では"幻のカカオ"とも評されています。

ホワイトカカオの産地

ホワイトカカオは、生産量が少ないクリオロ種というカカオ品種の一種。そのクリオロ種の古代からの栽培地域とされるのがメソアメリカと呼ばれた中米地域(メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、ベリーズあたり)です。ここはオルメカ、マヤ、アステカ文明が栄えた地でもあり、紀元前からカカオの利用が行われていました。現在、メキシコ以外にもインドネシアやペルーもホワイトカカオの主な生産地とされています。

ホワイトカカオの風味

通常、カカオ豆にはアントシアニン色素が含まれますが、ホワイトカカオはその色素が極めて少ないため白色を呈し、苦味や渋味、雑味が少なくクリアな風味が特徴です。また、カカオが持つナッティな香味に加え、クリーミーな味わいもあります。これは、ミルクや生クリームなどに含まれるラクトン類という成分が、他の品種や産地より豊富に含まれているためです。このように、産地や品種、また発酵方法など様々な要素で味や香りが変わるのは、カカオの奥深さといえるでしょう。

ホワイトカカオの希少性

ホワイトカカオは、カカオの3品種(クリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種)の中でも一番栽培量の少ないクリオロ種の一種。クリオロ種は病虫害に対する抵抗力が弱く、栽培が困難なため栽培量は0.5%程度で、絶滅の危機に瀕していると言っても過言ではありません。そのクリオロ種の中でも、ホワイトカカオとなるとさらに量が少なく希少。なんと、ホワイトカカオはカカオ生産の全体量の約0.002%と言われています。それ故、"幻のカカオ"と評されることも多いのです。

※関連ページ:カカオ豆の原産地はどこ?品種別の特徴、収穫からチョコレートになるまでを紹介

明治のホワイトカカオに関する取り組み

明治はチョコレートのエキスパートとして、ホワイトカカオの中でも100%白豆という非常に希少なホワイトカカオの品種を守り育て、持続可能な栽培をしていくために様々な取り組みをしています。この項では、カカオ農園を支援するメイジ・カカオ・サポートや、明治とホワイトカカオとの出会い、ホワイトカカオに関する取り組みについて解説します。

SDGsのためのメイジ・カカオ・サポート

チョコレートの主原料であるカカオ豆をいかに持続的かつ安定的に確保するかが世界的に課題になっています。一方、カカオ農家を取り巻く環境には、栽培技術に関する知識が不足している、必要な苗木や肥料が手に入りにくいなどの難しい問題があり、その問題を解決していく必要があります。そこで、明治が2006年から取り組んでいるのが、カカオ農家の支援活動「メイジ・カカオ・サポート」です。明治社員が世界各国の産地に赴き、現地農家に発酵法の指導や苗木の無償配布を行うほか、井戸や学校備品の整備など住民に対する生活支援を行っています。明治が考えるSDGsを達成し、カカオ豆生産を持続可能なものにするためにこのような活動を続けています。

明治とホワイトカカオの出会い

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2005年、明治の研究所に「カカオ基礎研究グループ」が立ち上がります。それまでは、商社などから入手したカカオ豆サンプルを評価し、現地確認を経て購入、そこからチョコレート作りを行っていました。しかしこのグループの設立によって、豆からチョコレートを作る機運が高まり、頻繁にカカオ産地を訪問するようになります。南米を訪れた際、メキシコでホワイトカカオを栽培する農家がいると知ったのが、明治とホワイトカカオの出会い。その後、希少なホワイトカカオをより多くのお客様にお届けしたいという思いから、メイジ・カカオ・サポートの一環として2016年からメキシコ南部でホワイトカカオの栽培に乗り出しました。

世界一のホワイトカカオ農園づくり

立地や土壌調査により場所を選定し、メキシコ南部チアパス州・タパチュラに開設した農園は、ホワイトカカオのみを安定して栽培するという世界でも稀な取り組みです。一般的にカカオ産地では、各農家が栽培、収穫したカカオ豆を仲買人や農協などが収集したりするため、異なる他の品種の木が近くに植わっていて交配してしまうなど管理が難しく、白い豆だけを入手することは不可能です。そのため市場では、紫と白の豆が混在した品種もホワイトカカオと呼ばれて扱われていることもしばしばあります。しかし、この明治専用農園では、100%白豆のホワイトカカオの苗木のみを厳選して接木で増やし、安定的に白豆だけを生産する単一品種の栽培が実現しました。実はこのカカオ、メキシコ政府の調査により、古代から受け継がれ、選抜された品種であることがわかっています。明治では、収量の改善や病虫害に対する耐性の向上など、地域のカカオ農家をサポートし、メキシコ政府認定の貴重な品種の保全にも取り組んでいます。

独自の発酵コントロール導入

品種が良くても発酵が悪いとカカオ豆の質は悪くなるため、発酵のコントロールも重要になります。つまり、カカオ豆の品質は品種と発酵の両方に左右されると言えます。カカオ豆は、カカオポッド(カカオの実)から取り出した後、パルプと共に木箱に入れたりバナナの葉で覆ったりして数日置くと、パルプの水分や糖分をエサに、酵母、乳酸菌、酢酸菌などの微生物が複雑に働いて発酵が進みます。明治では社員が現地に赴き、様々な発酵について研究、ホワイトカカオのための特別な条件を設定しています。この独自の発酵法により、ホワイトカカオが持つナッティでクリーミーな特徴に加えて、赤い果実のような風味を表現することに成功しました。

メキシコホワイトカカオを使用した明治のチョコレートを紹介

厳選された素材を使用し、製造工程にもこだわって作られた明治ザ・チョコレート。その中で限定商品として販売される、メキシコホワイトカカオを使用したチョコレートを紹介します。

明治ザ・チョコレート「メキシコホワイトカカオ」

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明治ザ・チョコレート「メキシコホワイトカカオ」は、メキシコの明治専用農園で作られたホワイトカカオのみを使用した板チョコレート。苦味や渋味は少なく、ナッティな香味とクリーミーな旨味に、独自発酵により引き出されたフルーティーさが広がります。カカオの原種に極めて近いとされるホワイトカカオ、その香りや味わいを存分に楽しめる一品です。

※期間限定・数量限定発売/2022年1月11日発売
オンラインストア(Amazon、ロハコ、楽天)、サロン・デュ・ショコラ 2022(伊勢丹新宿店)、バレンタインチョコレート博覧会2022(阪急うめだ本店)

明治ザ・チョコレート「AROMA TRICK ホワイトカカオ ガナッシュ」

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こちらは、メキシコ産ホワイトカカオを使用した水ガナッシュと、2種類のソースのハーモニーを味わう商品。ソースの1つは、カカオパルプジュース(カカオの果肉)を煮詰めた爽やかな酸味のパルプソース。もう1つは、古代メキシコより愛されている、スパイス入りカカオドリンクにインスピレーションを得たスパイシーソース。シナモンとアーモンドの香りが広がります。これら2種のソースと、メキシコ産ホワイトカカオのクリーミーでコクのある味わいの調和に、なめらかな食感が魅力のチョコレート。古代アステカで太陽神の象徴とされたメキシコひまわりや、カカオポッドをモチーフにした形にも注目し、見た目や香り、食感など五感で味わってみてください。

※期間限定・数量限定発売
サロン・デュ・ショコラ 2022店頭/〈PART1〉一般会期: 2022年1月20日(木)~25日(火)6日間 各日午前10時~午後8時サロン・デュ・ショコラ 2022オンラインストア/~2月2日(水)午後6時

ホワイトカカオのチョコレートを堪能して

ホワイトカカオの希少性と豊かな味わいは、世界中のチョコレートファンを魅了しています。遥か遠いメキシコの地で、日本のメーカーがホワイトカカオを育てている取り組みも嬉しいですね。ぜひ一度、幻のカカオの味と香りを体験してみてください。