チョコレート製品に記載されているチョコレート、準チョコレートなどの定義は、含まれているカカオ分などの割合によって定められています。この記事では、チョコレートや準チョコレート、それぞれのチョコレート生地を使ったチョコレート菓子の定義や味の違い、準チョコレートが作られる理由やおすすめの選び方を紹介します。
チョコレート・準チョコレート・チョコレート生地の定義
日頃何気なく食べているチョコレート。実は、日本のチョコレート類は、全国チョコレート業公正取引協議会が運用する「チョコレート類の表示に関する公正競争規約(以下、規約)」により定義が定められています。
規約では、消費者が商品を選択するための目安になる「種類別名称」を、チョコレート、準チョコレート、チョコレート菓子、準チョコレート菓子、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー、調整ココアパウダーの9種類に分類しています。(下図参照)
参考:全国チョコレート業公正取引協議会HP
https://www.chocokoutori.org/cont3/13.html
そのうち、チョコレート、準チョコレート、チョコレート菓子、準チョコレート菓子の4種類が「チョコレート製品」で、チョコレート生地の種類と使用量によって分類されています。
「チョコレート生地」は、含まれているカカオ分などによりチョコレート生地と準チョコレート生地の2種類に、細かく分けると全部で5種類になります。(下図参照)
参考:全国チョコレート業公正取引協議会HP
https://www.chocokoutori.org/cont3/13.html
その中でも、本記事ではチョコレートと準チョコレートそれぞれの定義について解説するほか、準チョコレートと間違いやすい「純チョコレート」についても紹介します。
チョコレート
ドロドロにとけたチョコレートや原料として固まっている状態を「チョコレート生地」といいます。生地に使用するカカオやココアバター、水といった原材料の比率により分類されます。カカオ分21%以上、ココアバターが18%以上、水分が3%以下で、カカオ分、もしくはカカオ分と乳固形分(そのうち、乳脂肪分は3%以上)の合計が35%以上のものが「チョコレート生地」となります。このチョコレート生地単独か、全体の60%以上使用した加工品のことを「チョコレート」と呼びます。
尚、カカオ分とは、カカオマスやココアパウダー、ココアバターなどカカオ由来原料の水分を除いた合計量を指します。
準チョコレート
一方、カカオの比率が低く設定されているのが「準チョコレート生地」です。水分3%以下という点はチョコレート生地と同じですが、ココアバターは全重量の3%以上、カカオ分は全重量の15%以上、脂肪分が全重量の18%以上の基本タイプ、もしくはカカオ分が全重量の7%以上(うちココアバター3%以上)と乳固形分が全重量の12.5%以上(そのうち、乳脂肪分は2%以上)、脂肪分が全重量の18%以上の準ミルクチョコレート生地と定義されていて、カカオの風味はチョコレート生地よりも弱くなります。この準チョコレート生地単独か、全体の60%以上使用した加工品を「準チョコレート」といいます。植物油脂を含む製品も多くあります。
チョコレート菓子・準チョコレート菓子
次に、ビスケットやウエハースなどと組み合わせて作られる菓子について解説します。
他の食材とチョコレート生地の組み合わせで、チョコレート生地が全体の60%未満のチョコレート加工品を「チョコレート菓子」と呼びます。準チョコレート生地を使用すると、同じく60%未満の加工品は「準チョコレート菓子」となります。
純チョコレート
同じ響きですが準チョコレートと全く異なるのが「純チョコレート」です。厳密な基準を全て満たしたチョコレートだけが、純チョコレート、ピュアチョコレートと表示できます。
カカオ成分はココアバターだけ、またはココアバターとカカオマスだけ。脂肪分はココアバターと乳脂肪だけ、糖類はショ糖のみで全重量の55%以下の使用量、乳化剤はレシチンのみで全重量の0.5%以下、レシチンとバニラ系香料以外の添加物は使用不可、といった定義があります。これらの厳格な基準を満たしているのが純チョコレートです。
チョコレート・準チョコレートの味の違い
これまで定義を解説してきましたが、チョコレートと準チョコレートの味の違いも気になるところ。それぞれの味の特徴を紹介します。
チョコレートはカカオの風味が感じられる
チョコレートと準チョコレートの大きな違いは、生地に配合するカカオ分の比率です。チョコレートはカカオマスやココアバターがしっかり配合されており、カカオ本来の風味を楽しむことができます。準チョコレートは、チョコレートほどカカオマスやココアバターを配合していないため、足りないカカオの風味をココアパウダーで風味を補ったり、ココアバターをそれ以外の植物油脂に代替したりして作ります。
尚、一般的に、カカオ分が高くなるほど甘味は減る傾向です。
準チョコレートが作られる理由
チョコレートはカカオマス、ココアバター、砂糖、乳製品などが主原料。その中でも、カカオ由来のカカオマスとココアバターは価格が高い原材料です。準チョコレートはカカオ分の比率が低いため、原材料コストを抑えて作ることができます。カカオの風味は劣るものの、コスト面と風味のバランスを考えて作られているのが準チョコレートです。準チョコレートにより安価に提供できる商品が増えることで、幅広くチョコレートを楽しむことができるといえるでしょう。また、準チョコレートには別のメリットもあります。ココアバターの代替に植物油脂を使うことで融点を調整することができ、例えば冷たいアイスのコーティングなどに適した物性になります。アイスで冷えた口内でもとけやすくなるようコントロールされています。
チョコレート製品の選び方
それぞれの味や特徴を理解してチョコレート製品を選べばより楽しめるはず。おすすめのチョコレート製品の選び方を紹介します。
カカオの風味で選ぶ
カカオの風味をしっかり味わいたいなら、カカオ分が高いチョコレートを選びましょう。パッケージに記載されている「カカオ分○%」は、カカオマス、ココアバターなどカカオ由来原料の合算。数字が大きいほどカカオ由来原料が多いことになります。
また、表示がない場合でも、準チョコレートよりチョコレートのほうが定められているカカオ分比率が高いため、そういう観点で製品を選ぶのもひとつの選択です。
コスパに注目して選ぶ
準チョコレートはカカオ分が少なく、原材料コストを抑えて作れるのが特徴。クッキーやウエハースに準チョコレートを組み合わせた菓子などに使われていることもあり、コンビニやスーパーなどで目にしたことがある方もいると思います。カカオの風味よりも、手軽に買える安価な菓子を楽しみたい、という時には準チョコレートを選んではいかがでしょうか。
チョコレートと準チョコレートのちがいを理解して、チョコレート選びのヒントにしよう
原材料の配合に変化をつけることで様々な製品が作れるチョコレート。実は細かく定義が定められ、商品化されているのです。商品を選ぶ時に商品表示をチェックすれば、どんなチョコレートなのかを知ることができます。チョコレートと準チョコレートの違いを理解して、チョコレート選びのヒントにしてみてくださいね。