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チョコレートが白くなる?ブルーム現象の原因や防ぐ方法、おいしい再利用法まで

2023/04/28

チョコレートが白くなる?ブルーム現象の原因や防ぐ方法、おいしい再利用法まで

チョコレートを保存しているうちに表面が白く見えたり、斑点状のものができたりすることがあります。これはブルーム現象といい、温度や湿度の変化が主な原因です。この記事では、チョコレートの表面が白く見えるブルーム現象が起こる原因や防ぐ方法、ブルーム現象が起こったチョコレートの対処法について記述します。

チョコレートが白くなる?ブルーム現象とは

チョコレートは温度や湿度の変化に弱く、保存環境が適切でないとチョコレートの表面に白い粉のようなものがふいたり、斑点状のものができたりすることがあります。これはブルームまたはブルーミングとも呼ばれる現象で、カビとは異なるため口にしても問題はありませんが、風味が損なわれて口どけが悪くなってしまいます。
ブルーム現象は、チョコレートの成分であるココアバターと砂糖が大きく関係しています。

チョコレートが白くなるブルーム現象の種類

生チョコなど水分が多いチョコレートの保管が不適切だとカビが生えることがありますが、そうではない場合、チョコレートが白く見えているのはブルーム現象が原因です。その種類は2つありますが、チョコレートの油分であるココアバターが原因の「ファットブルーム」と、砂糖が原因の「シュガーブルーム」について、特徴と原因を説明します。

ファットブルーム

チョコレートの油分、ココアバターには6つの結晶型があります。チョコレートは、ココアバターの結晶が安定しているⅤ型で統一している場合のみ、正常に固まり、艶がある良い仕上がりとなります。しかし、チョコレートが25℃くらいでとけ始め再び冷やされると、ココアバターの結晶が粗大化し、表面が白く見える状態になります。ファットブルームは、保存環境の温度が適切でなかったり、製作過程でのテンパリングという温度調節が不十分だったりする場合に起こりやすいです。

シュガーブルーム

シュガーブルームは、砂糖が原因のブルーム現象です。冷蔵庫で保存していたチョコレートを暖かい場所に移すと、温度差によりチョコレートの表面が結露します。この時に、チョコレートに含まれる砂糖が結露により発生した水分へとけ出し、さらに水分が蒸発すると、砂糖がチョコレートの表面で結晶化して白くなります。

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チョコレートが白くなるブルーム現象

2つのブルーム現象は、それぞれの特徴で見分けることができます。チョコレートにドライヤーの熱風を軽く当てるなどチョコレートの表面を温めて、白く見えるものが消えればファットブルームです。ココアバターが原因のファットブルームは、温度が上がるととけるココアバターの性質により判定ができます。消えずにざらざらしていたらシュガーブルームです。

チョコレートが白くなるブルーム現象の対処法

ここからは、ブルーム現象が起きたチョコレートの対処法を説明します。表面が白く見えるチョコレートを食べても良いのか、おいしく食べるにはどうすれば良いかを紹介します。

そのままでも食べれる

既述のように、ブルーム現象はチョコレートの油分であるココアバターの結晶が粗大化したり、チョコレートに含まれる砂糖が再結晶化したりしたものなので、そのままでも食べることができます。食べても健康上の問題はありません。但し、風味が損なわれて口あたりも悪くなってしまうことがあります。

テンパリングを行う

ファットブルームはココアバターの結晶の変化が原因です。よって、板チョコレートの場合は、チョコレートの温度調整作業(テンパリング)により、チョコレート中のココアバターを安定結晶にし、状態を戻すことができます。テンパリングの流れは次の通りです。
1. 細かく刻んだ板チョコレートをボウルに入れ、50~55℃くらいの湯煎でとかす。静かに混ぜながらチョコレートの温度も50~55℃くらいにする。
2. チョコレートがとけたら、そのボウルを水の入ったボウルに当て、とけたチョコレートを攪拌しながら27~29℃まで冷やす。
3. 再びチョコレートのボウルを少し湯煎に当てる。すぐに湯煎から外して攪拌する作業を繰り返し、31~32℃まで温度を上げる。※ミルクチョコレートやホワイトチョコレートの場合は1~2℃低めに調整する。
このテンパリングをすることで、ココアバターが安定結晶となります。正しくテンパリングしたチョコレートを固めると艶のある状態になります。尚、シュガーブルームは砂糖が再結晶化したものなので状態を戻すことはできません。

チョコレートドリンクにする

ブルームしていても細かく刻んでドリンクとして活用できます。例えば、刻んだ板チョコレートを温めた牛乳と混ぜてホットチョコレートにしたり、そのままココアやコーヒーに加えたりトッピングのように使うことも可能です。
また、刻んだ板チョコレートは湯煎にかけなくても、耐熱容器に入れて電子レンジで手軽にとかすことができますので、とかしたチョコレートにいちごなどのフルーツをディップして楽しむこともできます。

チョコレートが白くなるブルーム現象を防ぐ方法

最後にチョコレートのブルーム現象を防ぐ方法を紹介します。ブルーム現象を防ぐには直射日光を避け、温度や湿度の変化が少ない場所に保存することが大切です。さらに、冷蔵庫での保存のポイントもみていきましょう。

直射日光が当たる場所や高温多湿になる場所に置かない

チョコレートは温度や湿度の変化に弱いので、直射日光が当たる場所や高温多湿になるところには置かないようにしましょう。温度変化という点では、一度やわらかくなってしまったチョコレートを急激に冷やさないことも大切です。

開封後は早めに食べる

チョコレートの保存には、まずチョコレートの性質を知っておくことが大切です。ココアバターがとけたり、結露したりしないよう、温度や湿度の変化が起こらない適切な環境で保存することが重要です。記載された賞味期限に関わらず、開封後は早めに食べることが推奨されています。

白くなるブルーム現象を防いでチョコレートをおいしく食べよう

チョコレートが白く見えるのは、主に温度や湿度変化によって起こったブルーム現象によるものです。食べても問題はありませんが、チョコレートの風味や口あたりは損なわれるため、上手に保存してブルームを防ぎたいですね。ブルーム現象を防ぐには、直射日光を避け、温度や湿度を適切に管理することが大切。チョコレートの種類の応じて正しい保存方法を取り入れ、チョコレートのおいしさを楽しみましょう。