基礎知識

トリュフチョコレート、名前の由来やレシピなど。手作りする時のチョコレートのとかし方のポイントもご紹介。

トリュフチョコレート、名前の由来やレシピなど。手作りする時のチョコレートのとかし方のポイントもご紹介。

トリュフといえば世界三大珍味とされるきのこの一種。しかしチョコレート菓子のトリュフは、ガナッシュを丸めた球形のひと口サイズのチョコレートのことを言います。本記事では、トリュフの詳しい解説や、チョコレートのとかし方などの知識を解説します。

トリュフチョコレート(トリュフ)とは

ひと口サイズのチョコレートのことをボンボンショコラと総称しますが、トリュフはその中に含まれる代表的な種類のひとつです。1895年に、イタリアに隣接したフランス南東部のサヴォア地方のパティシエによって作られたのが始まりとされています。
チョコレートをベースに加温した生クリームを混ぜ合わせて乳化させ、なめらかなクリーム状に仕上げた「ガナッシュ」を、丸く絞り出して、冷やし固めた後にココアパウダーや粉糖をまぶしたり、チョコレートでコーティングしたりしたものをトリュフと言います。また、プレーンな味わいのほか、ガナッシュにシャンパンや日本酒などのアルコールや、キャラメルなどを加えたトリュフもあり、様々な種類が販売されています。センター(中身)となるガナッシュに、どんなコーティングを施して仕上げるかにより、見た目が異なります。例えばガナッシュにそのままココアパウダーをまぶせば茶色い仕上がりになり、粉糖をかけると白く仕上がります。粉糖に抹茶やいちごのパウダーを混ぜることで、緑色やピンク色のトリュフにすることもできます。ガナッシュをチョコレートでコーティングする場合は、ビターやミルク、ホワイトなどチョコレートの種類を変えるほか、金網の上を転がしてチョコレートの角を出すものもあり、様々なバリエーションを作ることが可能です。

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名前の由来は?

高級食材のきのこの一種、トリュフ。トリュフは西洋松露と呼ばれ、フォアグラ、キャビアと並んで世界三大珍味とされています。美食家として知られるブリア=サヴァランはトリュフを「黒いダイヤモンド」と称しました。トリュフには白や灰色、黒などいろいろな種類があり、ガナッシュを丸めた球状のチョコレートが黒いトリュフに形や色が似ていることが、その名前の由来となっています。

ボンボンショコラとの違いは?

既述のとおり、ボンボンショコラとはひと口サイズのチョコレートの総称です。ボンボンはフランスでひと口サイズの砂糖菓子を意味します。ボンボンショコラは、一般的には、センター(中身)となるものをシェルやチョコレートで覆ったもので、形は四角、長方形、三角、球形など様々です。中身となるのはガナッシュ、ナッツを使ったプラリネ、ジャンドゥーヤのほか、キャラメル、マジパンなどいろいろな素材が使われます。そのうち、トリュフはガナッシュを中身として丸く仕上げたもので、ボンボンショコラという広いカテゴリーのうちの一種です。

トリュフチョコレートの種類と選び方

トリュフはガナッシュを中心としたシンプルなチョコレート。選び方のポイントは、中身の味わいと仕上げの組み合わせです。例えば、トリュフ・ナチュール(truffe nature)はガナッシュを丸めて固め、とかしたチョコレートでコーティングしてココアをまぶしたもの。洋酒入りが多いですが、ブランドによっては洋酒を使用していない商品もあります。ブール・ド・ネージュ(boule de neige)は雪の玉という意味のフランス語で、ホワイトチョコレートをベースに作ったガナッシュを丸く絞り、ホワイトチョコレートで覆ったトリュフです。トリュフの基本は球形ですが、楕円形にして粉糖で仕上げたものは「トリュフ・ミュスカディーヌ(truffe muscadine)」と言います。muscade(ナツメグのフランス語)の形に似ていることから由来しています。

基本のトリュフの作り方

基本の作り方

<材料>
1個約13~15gのトリュフ12~15個分
・クーベルチュール(ミルクチョコレート) 110g
・生クリーム 60g
・コアントロー 10g(ラム酒やブランデーなど他の洋酒でも)
(コーティング用)
・クーベルチュール(ダークチョコレート)100g
・ココア(無糖) 適量

<作り方>
①ミルクチョコレートを細かく刻む。鍋に生クリームを入れ、加熱して沸騰直前に火からおろす。生クリームの中に刻んだミルクチョコレートに加え、木べらかホイッパーで混ぜて全体を均一にする。
②ボウルに移し、洋酒を加えて混ぜる。ラップをかけ、冷蔵庫に入れて休ませる。
③バットなどにクッキングシートを敷く。絞り袋に丸口金(1㎝程度)を付け、②を入れてシートの上に1個13~15g程度に絞り出す。冷蔵庫で1時間ほど冷やし、手のひらで丸めてから再度冷蔵庫で冷やす。
④テンパリングしたチョコレートを少量手のひらに取り、③の冷やしたチョコレートの周りに付ける。
⑤網の上に置いて、少し固まりかける頃にトリュフフォークで転がし、表面に角を付ける。
(もしくは、④でチョコレートコーティングしたあと、表面が少し固まってからココアを広げたバットの中を転がし、全体にまぶして仕上げても良い。)

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<テンパリングの方法>
①刻んだチョコレートをボウルに入れ、50~55℃くらいの湯煎でとかす。静かに混ぜながらチョコレートの温度も50~55℃くらいにする。水が入るとボソボソした口どけの悪いチョコレートになるので注意。
②チョコレートがとけたら、チョコレートを入れたボウルを水の入ったボウルに当て、とけたチョコレートを攪拌しながら、27~29℃まで冷やす。
③再び、チョコレートのボウルを湯煎に2~3秒当てる。すぐに湯煎から外し、攪拌して温度を上げる作業を繰り返す。31~32℃にしたら、スプーンやへらで少量のチョコレートをすくい、試験的に冷やし固める。数分間置いて固まればテンパリング完了。
※ミルクチョコレートやホワイトチョコレートの場合は、②、③に記載の温度よりも1~2℃低めに調整する。

チョコレートのとかし方

テンパリングという工程では、上記のように、湯煎によりチョコレートをとかす必要がありますが、チョコレートをとかす方法は他にもあります。電子レンジを使うと、火を使わずに簡単にチョコレートがとかせます。50g程度のチョコレートの場合、耐熱容器に刻んだチョコレートを入れ、ラップをかけずに500Wで1分半加熱し、一度取り出してかき混ぜます。この段階ではまだ固まりがあるため、さらに20秒加熱しかき混ぜます。状態により20秒の加熱をもう1~2回行うと50℃くらいにとけたなめらかなチョコレートになります。一気に加熱すると全体の温度が均一にならず、チョコレートが焦げてしまうこともあるため、少しずつ加熱して混ぜながらとかすのがポイントです。(チョコレートの量を増やす場合は、加熱時間を調整してください。)ところで、チョコレートを「とかす」際、「溶かす」「融かす」のどちらが正しい漢字だと思いますか?実は、チョコレートの場合は「融かす」が正しい表記です。砂糖や塩が水にとける場合は、物質が液体に溶け込んで「溶解」するため「溶ける」と書きますが、チョコレートの場合は固体が液体になる意味を持つ「融解」のため、「融ける」という字を使います。本記事では読みやすいように「とける」とひらがな表記をしていますが、チョコレートの物性がわかると、溶けると融けるの違いもなるほど・・と納得できますよね。

アレンジレシピ

先ほど紹介した基本のトリュフをベースにアレンジする方法をいくつか紹介します。

アレンジ例①:粉の種類を変えてみる
・ココアパウダーの代わりに粉糖をまぶす。
・粉糖に抹茶を混ぜてからまぶす。
・ココアパウダーにシナモンなどのスパイスを加えて混ぜ、トリュフにまぶす。

アレンジ例②:ナッツやフルーツを使う
・細かく刻んだアーモンド、ピスタチオなどのナッツや、クランベリー、オレンジピールなどのドライフルーツを、コーティングのチョコレートが固まりかける時にまぶす。
(ナッツやドライフルーツを使う場合は、早めに食べるとその食感が楽しめるでしょう。)

アレンジ例③:お酒の種類を変える、スパイスを加える
・チョコレートと相性が良いのは、ラム酒、ブランデー、ウイスキーなど、「ブラウンスピリッツ」とも呼ばれる樽熟成した洋酒です。また、オレンジを原料にするコアントローやグランマルニエ、さくらんぼの洋酒・キルシュなどもチョコレートと良く合います。ホワイトチョコレートにそうしたフルーツ系の洋酒を合わせると爽やかな仕上がりになります。
・ガナッシュを作る際にシナモン、クローブ、ペッパー、ナツメグなどお好みのスパイスを加えると、個性的な風味のトリュフが楽しめます。

トリュフの日持ちはどれくらい?

トリュフはガナッシュの配合、洋酒の有無、コーティングの種類などにより様々な種類があり、水分活性が異なるため、賞味期限は一概に言うことができませんが、数日程度と短いものから3週間~4週間くらいの賞味期限を付けている商品もあります。ブランド側がすすめる賞味期限や保管条件などを守り、風味がおいしいうちに食べきるようにしましょう。

トリュフフォークなど、周辺の関連道具の説明

トリュフを作る際に使われる道具で、チョコレートフォークとも呼ばれます。先端がリング(輪っか)状のもの、スパイラル(渦巻状)のもの、フォークのように3~5本の歯があるものなどいくつかの種類があります。丸めたガナッシュを、このフォークにのせ、テンパリングしたチョコレートの中にくぐらせて、すくい出す作業に使います。

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まとめ:

いろいろなショコラティエやパティスリーで見かけることのあるトリュフ。名前の由来やボンボンショコラとの関係など、ちょっとした知識があるとさらに楽しめるのではないでしょうか。家庭でも比較的作りやすいチョコレート菓子ですので、自分のおやつやプレゼントにもおすすめ。使うチョコレートの種類でオリジナリティあるトリュフが作れます。また、お店によってガナッシュやコーティングの種類も様々あるので、いろいろ比較し、ぜひお気に入りの一品を見つけてください。