基礎知識

「ひらけ、カカオ。」明治が取り組む、カカオハスクのアップサイクルとは?

2023/07/31

株式会社 明治(以下、(株) 明治)は、「ひらけ、カカオ。」をスローガンに、明治の知恵でカカオ農家さんの負担を増やすことなく、カカオの付加価値を増大させることを目指し、新たなチャレンジを進めています。今回は「ひらけ、カカオ。」についてと、取り組みの一つである、"カカオハスクのアップサイクル"を中心にお話していきます。

「ひらけ、カカオ。」とは?

2022年3月「明治 2022 Newアクション発表会 - 001サステナブルアクション(カカオ)」にて、「ひらけ、カカオ。」について3つの進化を軸に、今後の取り組みを発表しました。
1つ目は、「ホールカカオ活用への進化」です。カカオから新たな栄養価値を研究開発し、製品としてお客さまに届けていきます。
2つ目は、「バリューチェーンそのものの進化」です。(株) 明治だけでは達成できないことを他業種のパートナー企業と力を合わせ、アップサイクルなどの新しい分野に挑戦していきます。今回取り上げるカカオ豆の種皮である"カカオハスク"を活用したアップサイクルがその一例です。
そして、3つ目が「情報発信の進化」です。デジタルテクノロジーを活用することで、今まで離れていたカカオ生産地や農家とお客さまと距離を縮めていきます。

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チョコレートではない新素材

ここでは1つ目のホールカカオの活用への進化について、少しだけご紹介します。(株) 明治では、カカオをチョコレートの主原料としてではなく、独自の技術でカカオの新素材を開発しています。例えば、新たに開発されたカカオフラバノールエキスです。チョコレートのイメージとは異なる、鮮やかな赤色をしているこのエキスは、「カカフル」という商品として、2023年2月8日にクラウドファンディングの1つであるMakuakeで受注販売しました。カカオというフルーツの新しい愉しみ方ができる、甘酸っぱい味わいを特徴に持つカカフルは、多くの人にカカオの新しい体験を届けました。(Makuakeでの販売は終了しました。)

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カカオハスクのアップサイクル

2つ目のバリューチェーンそのものの進化では、カカオを食べ物としてだけではなく、非食品分野での活用にも挑戦しています。カカオハスクはチョコレートの製造工程で分離され、チョコレートには使われていません。(株) 明治ではカカオ豆の1割程度にあたるこの部分を有効活用することで付加価値化したいという想いがあります。そのため、現在、社外パートナーのみなさまと協力し、カカオハスクのアップサイクルに取り組んでいます。

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カカオハスクを活用したアップサイクルとは?

カカオ豆がチョコレートの主原料ということは知られていても、「カカオハスク」についてはあまりよく知らない人が多いのではないでしょうか。ここでは先ほど触れたカカオハスクのアップサイクルについて、詳しくお話していきたいと思います。

カカオハスクとは?

「カカオハスク」とは、カカオ豆の種皮のことで、シェルとも呼ばれています。カカオハスクは繊維質で固く、チョコレートに加えると口当たりや風味が悪くなるため、チョコレート製造の途中で取り除かれます。カカオハスクを取り除いた、カカオニブと呼ばれる部分がチョコレートの製造で使用されているのです。企業によって使用用途は異なりますが、取り除かれたカカオハスクは、飼料や肥料、燃料に使用することがあります。

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カカオハスクのアップサイクルで何ができるの?

「アップサイクル」とは、本来使用することのない素材に新たな価値を付与して、全く別の製品へと生まれ変わらせることで、創造的再利用とも呼ばれています。(株) 明治では、カカオハスクのアップサイクルを通じて、様々なものづくりに取り組んでいます。例えば、カカオハスクを使用したコースター、お皿、花瓶、などの日用品や雑貨で、カカオの香りも愉しむこともできます。さらにはカカオハスクを使って、大きな演説台もつくることができます。このように、カカオ豆の有効活用できていなかった部分のアップサイクルから、魅力的な製品を生み出していきたいと考えています。

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どうやってカカオハスクをアップサイクルしているの?~fabula株式会社~

(株) 明治では、様々なパートナーさんとアップサイクルに取り組んでいます。今回はfabulaさんとの取り組みから、どのようにカカオハスクがアップサイクルされ、新たな製品に生まれ変わるのかをお見せしたいと思います。

fabula株式会社

fabula 株式会社は、2021年10月に創業した東京大学発のベンチャー企業です。食品廃棄物などを原料として、100%天然由来の新素材を作る技術を保有しています。「ゴミから感動をつくる」をステイトメントに、雑貨から建築材料まで幅広い製品を展開しております。そんなfabulaさんに、今回カカオハスクのアップサイクルにご協力いただいております。

fabulaさんのアップサイクルでできること

fabulaさんは規格外の農作物や加工時に出る端材などから新素材を作る技術を持っており、カカオハスクのアップサイクルにも活かされています。カカオハスクを乾燥、粉砕し、その粉末を熱圧縮することで新たなものに成形していきます。
fabulaさんで作られたカカオハスクのアップサイクル製品は、すべて自然由来のもので作られているため生分解性があり、本当に不要になった際は土に還すことができるので、地球に優しい製品になっています。

カカオハスクのボード!?~製造現場をレポート~

そろそろ、実際にどのようにカカオハスクをアップサイクルしているのか気になってきませんか?今回はfabulaさんの製造現場を特別に見学させていただいたので、その様子をレポートしたいと思います!

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fabula Inc.

カカオハスクを粉砕

まずはカカオハスクをとても細かい状態に粉砕します。この粉砕機は、コンクリートも粉砕できるほどのパワーがあります。

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fabula Inc.

粉砕したカカオハスクは、こちら。カカオハスクがサラサラとした粉末に大変身。

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fabula Inc.

乾燥機で保存

粉末にすると湿気を吸いやすいので、乾燥機の中で吸湿防止のため保管します。

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fabula Inc.

熱圧縮で成形

金型に粉砕したカカオハスクを入れ、熱と圧力を加えて成形していきます。

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fabula Inc.

完成

成形して、完成したものがこちら!カカオハスクでできた新素材です。こちらは強度が高いので、将来的には建材などへの使用も期待されています。

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fabula Inc.

「ひらけ、カカオ。」の挑戦

(株) 明治が食品だけではなく、カカオハスクのアップサイクルに挑戦していることを初めて知った方も多かったかもしれません。実はご紹介したfabulaさんのように、現在様々なパートナーさんと一緒にアップサイクルをすすめています。(株) 明治では、今回ご紹介したfabulaさんのカカオハスクを活用した新素材をあるものに使用し、大きなチャレンジにも取り組んでいます。次のアップサイクルの記事もお楽しみに!