チョコレートにはフルーツがよく使われ、様々な商品が専門店やスーパーなどの店頭に並んでいます。フルーツを使ったチョコレートとして代表的な「オランジェット」についての解説や、おすすめブランドを紹介します。
チョコレートによく使われるフルーツは?
チョコレートと相性が良く、組み合わせるフルーツはいろいろあります。代表的なものとしては、イチゴやラズベリーなどのベリー系や、オレンジ、レモンなどの柑橘系、バナナ、マンゴー、パッションフルーツなどのトロピカルフルーツ系などです。
チョコレートの原材料となるカカオ豆まで遡ると、カカオ豆の周囲はパルプという白い果肉に覆われており、それを発酵させることでチョコレート特有の香味がつくられます。チョコレートは甘くてほろ苦いイメージをお持ちの方もいると思いますが、実は果実で、カカオ豆にも元々「酸味」が含まれており、発酵過程で生まれる「酸味」もあるため、フルーツと合わせやすいといえるでしょう。チョコレートには、フルーティと表現される風味があり、赤い果実(ベリー系)や黄色い果実(柑橘系)、バナナやパインなどトロピカルフルーツ系など様々。チョコレートが持つ甘味と酸味、苦味、香ばしさなどのバランスが、フルーツとの相性の良さに繋がっていると思われます。
フルーツの加工法とチョコレートの種類について
フルーツの加工法には、生、ピューレ、ドライフルーツ、シロップ漬け、フリーズドライ(ホール)、フリーズドライ(パウダー)などがあります。商品によりフルーツの種類やその加工法を選定し、チョコレートと組み合わせて作ります。ひとつずつ、実際の例と共にご紹介します。
生のフルーツを使う例としては、チョコバナナがあります。生のバナナにチョコレートをかけたものです。日本ではお祭りの屋台などで見かけますが、ベルギーのチョコレート専門店では、バナナではなくイチゴにチョコレートをかけてパリっと固めた商品も見かけることがあります。また、フランスのショコラティエでは、タブレット(板チョコレート)の中にフレッシュなイチゴをとじこめた商品があり、発売された際には話題になりました。
次にピューレは、フルーツを生のまま、もしくは加熱してすり潰し、裏ごししたもので、それを使うチョコレートの代表はボンボンショコラです。ボンボンショコラは、一般的にはセンター(中身)となるものをシェルやチョコレートで覆いますが、このセンターのガナッシュにピューレを加えることがあります。イチゴやラズベリーなどベリー系のピューレ、オレンジやレモンなど柑橘系のピューレはチョコレートとの相性が良く、フルーツ系のボンボンショコラはチョコレート専門店で良く見かける商品です。
ドライフルーツは、収穫時の形そのままに乾燥させたもので、代表的なものにレーズンがあります。天日乾燥するほか、砂糖や洋酒に漬け込んでから乾燥させる場合もあります。オレンジやレモンを皮付きのまま輪切りにスライスし、シロップを含ませながら時間をかけて柔らかく加工したシロップ漬けもあります。輪切りスライスや、柑橘の皮の部分だけをシロップ漬けしたもの、そしてそれを細くきったものなど、形状は様々です。これらにチョコレートをコーティングしたり、トッピングしたりするなどの使い方があります。コーティング例としては、レーズンをチョコレートがけしたものや、オレンジピールにチョコレートをかけた「オランジェット」、レモンピールにチョコがけしたものなどです。トッピングに使う代表例としては、「マンディアン」のようにドライフルーツをトッピングしたチョコレートがあります。
フリーズドライは凍結乾燥のことで、マイナス30~40℃で急速凍結した後、減圧して真空にすることで水分を昇華させ、乾燥させる方法です。色や香り、味、形状を保持したまま水分2%程度以下の乾燥食品になるため、物理的・化学的変化をうけにくい特徴があります。使い方としては、イチゴやラズベリーのようにホールのままチョコレートでコーティングしたり、また、細かいパウダー状のフリーズドライは、ガナッシュや板チョコレートに混ぜたり、チョコレートの飾りに使ったりする場合があります。
フルーツを使ったチョコレートの定番
チョコレートとフルーツは相性が良く、いろいろな使い方があることがわかったところで、「定番、王道と言えるフルーツ系チョコレート」についてご紹介します。
定番、王道と言えるのが「イチゴのチョコ」ではないでしょうか。フリーズドライのホールイチゴにチョコレートを含侵した(しみ込ませた)ものは、スーパーなどでも比較的手軽に買える商品として多く見かけるようになりました。コーティングするチョコレートも、ビター、ミルク、ホワイト、中には抹茶チョコレートをかけたものまであり、種類が広がっています。
次に、もう1つフルーツ系チョコレートの定番、王道と言えるのが、オレンジピールにチョコレートをコーティングした「オランジェット」です。オランジェットについては、後ほど詳しく解説します。
フルーツを使ったチョコレートのトレンド
様々な種類があるフルーツ系チョコレート。最近はどんな商品が人気なのでしょうか?
柑橘系のチョコレートが人気
百貨店のバレンタイン催事で、柑橘系のチョコレートだけを集めたコーナーができるなど、最近、関心を集めているのが柑橘系のチョコレートです。
人気の理由としてはいくつか考えられます。オレンジのみならずレモンや柚子など様々な種類の柑橘類があること、また、これまでお菓子作りに使われることが多かったスペイン産オレンジなど海外産のものだけではなく、国内で栽培される柑橘など種類が増え、選ぶ楽しみがあることなどが挙げられます。その他に、コーティングするチョコレートの種類(ビター、ミルク、ホワイトチョコレート)によっても見た目や味が変わる、輪切りか細切りかによって食感の違いがある、アーモンドなどのナッツやカカオニブをトッピングするブランドもあり、いろいろな種類の中から自分好みの柑橘チョコを選べるなど、比較する楽しみがあることが人気の背景にあるのではないでしょうか。
そうした柑橘系のチョコレート中でポピュラーな、「オランジェット」についてご紹介します。
フルーツを使ったチョコレート、オランジェットおすすめ3選
フルーツ系のチョコレートの概要について把握したところで、今回は最近人気があるオランジェットにフォーカスし、おすすめブランドと商品をご紹介します。いくつか食べ比べて違いを味わうのも楽しいですね。
「オランジェット」って?
オランジェットは、オレンジの皮を細長く切って砂糖漬けしたものをチョコレートでコーティングしたものです。細切りだけではなく、輪切りのオレンジにチョコレートをかけたものもあります。専門店に行くと、店によって様々な形やチョコレートのコーティングなどに工夫をした商品に出会えます。オランジェットはフランス語で「orangette」と書きます。「orange(オレンジ)」「orangeat(オレンジピール、砂糖漬けオレンジの外皮)」からもわかるように、オランジェットはオレンジを使ったものを指しますが、最近は、オレンジ以外の柑橘類を使った商品が様々あります。例えば、レモンやグレープフルーツ、柚子のピールを使ったものなど、バリエーションが増えてきています。
ラ・メゾン・デュ・ショコラのオランジェット
2週間かけて砂糖漬けしたオレンジピールをダークチョコレートでコーティング。外側はパリっとした食感ながら、内側にはフルーツの柔らかさと味わいが閉じ込められ、甘味と苦味のバランスと共に食感のアクセントを楽しめるオランジェットです。
昔ながらの定番を、ショコラティエ、ニコラ・クロワゾーが、果実本来の風味とダークチョコレートの組み合わせをしっかりと味わえるコンフィズリーに仕上げています。
ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマのオランジェット
ショコラティエが手掛けるオランジェットは、チョコレートもオレンジピールにもこだわった一品。主役のオレンジピールは、スペイン産のオレンジをシロップで煮込んだものを使用し、粒状のアーモンドを少量まぶしてから、ビターチョコレートでコーティングしています。味や香りに加えて、歯ごたえも楽しめる、工夫をこらしたオランジェットです。
オレンジのほど良い苦味と酸味、フレッシュ感のある香りに、ビターチョコレートのシャープな香りが好相性。爽やかな後味を楽しむことができます。
ショコラティエ パレ ド オール ブランのオランジェット
ホワイトチョコレートのBEAN to BAR専門店、ショコラティエ パレ ド オール ブランの「オランジュブランシュ ブラン」は、カカオバターの搾油から手掛ける自家製ホワイトチョコレートでコーティングしています。スペイン・ヴァレンシア産のオレンジピールを工房で味を調えた後、自家製ホワイトチョコレートをかけて粒状のアーモンドを一緒にまぶしています。青山店の工房で作るホワイトチョコレートは甘すぎず、カカオの香りとコクのある味わいが爽やかなオレンジピールの香りを引き立てています。
(※現在は写真左のホワイトチョコレートコーティングのみ販売中)
meijiのオランジェット(パウチ)
蜜漬けオレンジピールをビターチョコで包み込んだ商品。食べるとオレンジピールの香りや程よい苦味、果肉感と共に、ビターチョコレートの味わいが楽しめます。便利なチャック付きの袋に入っているのでバッグに入れて携帯にも便利。手でつまみやすく、ひと口サイズでちょっと食べたい時にもぴったりのオランジェットです。
オランジェットの作り方
オランジェットを手作りしてみたい、という方には、市販の砂糖漬けオレンジピールを使うのが簡単でおすすめです。
<材料>
ビターチョコレート 適量
砂糖漬けオレンジピール オレンジ1個分
ココア 適量
<作り方>
①チョコレートは細かく刻んでボウルに入れる。50~55℃くらいの湯煎にかけ、ゴムべらで混ぜながらチョコレートをとかす。水気が入らないように注意してテンパリングをする。
②オレンジピールは6~7㎜程度の幅に切る。(もしシロップなどでベタついている場合は、キッチンペーパーなどで軽く汁気を取る。)
③とけたチョコレートに②のオレンジピールをつけ、オーブンペーパーの上にのせる。
④冷蔵庫で1時間ほど冷やし固めて、お好みでココアをまぶす。
※③でチョコレートをつける際、オレンジピールの全体もしくは半分など、お好みでチョコレートの量を調整してください。
ビターチョコレートとオレンジピールの相性は良いですが、お好みでミルクチョコレートやホワイトチョコレートでも試してみてください。
まとめ
多種多様な柑橘類のチョコレートをはじめ、数多くのフルーツ系チョコレートが販売されています。好きな人も多いフルーツチョコレートは、プレゼントにも喜ばれますね。コーヒーや紅茶などの飲み物との相性も良いので、ティータイムのお供にもぴったりです。
使われているのはどんなチョコレートなのか、また、フルーツがどのように加工されているのかなど予備知識があると、商品を選ぶ時のヒントになるはず。見た目や食感、味が異なるフルーツチョコレートの中から、ぜひお気に入りの一品を見つけてみてください。