基礎知識

チョコレートの分類・種類は?原材料や製造方法でみる違いと特徴

2021/11/12

チョコレートの分類・種類は?原材料や製造方法でみる違いと特徴

チョコレートの分類・種類は、見た目、味わい、香りなどによりさまざまな違いがあり、原材料や製造方法で異なります。 普段、何気なく目にしているチョレートはどのように製造され、どのような分類・種類があるのでしょうか。 チョコレートの分類と表示規約、製造方法で異なるチョコレートの特徴をご紹介します。

チョコレートの分類・種類一覧

★原材料の違いによるチョコレートの分類

1.ダークチョコレート
2.ミルクチョコレート
3.ホワイトチョコレート

★チョコレート生地の違いによるチョコレートの分類

1.チョコレート生地
・基本タイプ
・カカオ分の代わりに乳製品を使用
・ミルクチョコレート生地

2.準チョコレート生地
・基本タイプ
・準ミルクチョコレート生地

★チョコレート製品の種類

1. チョコレート
2. 準チョコレート
3. チョコレート菓子
4. 準チョコレート菓子
5. カカオマス
6. ココアバター
7. ココアケーキ
8. ココアパウダー(ココア)
9. 調整ココアパウダー(調整ココア)

★原材料や製造方法の違いによるいろいろなチョコレートの種類

・チョコレートバー(板チョコレート)
・ボンボンショコラ
・トリュフ
・ガナッシュ
・生チョコレート
・ジャンドゥーヤ

原材料の違いによるチョコレートの分類

チョコレートとは、カカオ豆を発酵、乾燥し、ローストなどの製造工程を経てすりつぶしたカカオマスにココアバター、砂糖、乳製品などの主原料を配合した食品です。
チョコレートの分類は、基本的にこの主原料の配合でとらえられています。ここでは、チョコレートの主な分類と特徴を見ていきましょう。

1.ダークチョコレート

ダークチョコレートはカカオマス、ココアバター、砂糖、レシチン、香料などで作られたチョコレートです。カカオマスが40〜60%以上あり乳製品が入っていないため、カカオ独特の苦味と渋味、香りがあるのが特徴です。スイートチョコレートやビターチョコレートと呼ばれることもあります。
さまざまな健康効果があることで注目されている高カカオチョコレートもダークチョコレートの一つで、一般的にカカオ分が70%以上のものを指します。

2.ミルクチョコレート

ミルクチョコレートの原料は、ダークチョコレートの原料+乳製品です。ミルクチョコレートは、砂糖の甘味と乳製品のマイルドさがカカオの美味しさを引き立ててくれるため食べやすいでしょう。
ミルクチョコレートに使われている乳製品には全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダーなど乾燥させたものが使用されています。

3.ホワイトチョコレート

ホワイトチョコレートは、ココアバター、乳製品、砂糖、レシチン、香料などで作られたチョコレートです。カカオマスを使用していないホワイトチョコレートは、見た目もクリーム色でチョコレートと大きく違うように見えます。
しかし、カカオ豆の主成分であるココアバターを原料としているため、チョコレートの一つに分類されています。

チョコレートの表示規約とは

チョコレートの商品表示に関わる配合は、製造者が自由に決めているわけではありません。
チョコレート業界の日本のガイドラインにあたる"チョコレート類の表示に関する公正競争規約"で定められています。
この規約は業界の公正な競争を確保するとともに、チョコレートを購入する消費者が安心して選べるようにすることを目的としており、チョコレートの生地や製品に関する日本の定義、禁止されている不当表示、必要な表示事項、表示する文字の大きさ......と細かく決められています。
ここでは、規約で定められている「チョコレート生地」と「チョコレート製品」の定義について見てみましょう。

チョコレート生地の違いによるチョコレートの分類

チョコレート生地は、製造・加工する前のとけたチョコレートや原料として固まっている状態のチョコレートを指します。
原材料に含まれる成分の比率により、チョコレート生地か、準チョコレート生地か、それ以外のものかに分類されます。
チョコレートと準チョコレートの違いは、使用するカカオ、ココアバターなどの原材料の比率によって変わります。

1.チョコレート生地

「チョコレート生地」というためには、ココアバターが18%以上、水分が3%以下で、カカオ分と乳固形分の合計が35%以上であることが原則です。

チョコレート生地の基本タイプ

チョコレート生地の基本タイプは、カカオ分が35%以上(うち、ココアバターが18%以上)のものを指します。

カカオ分の代わりに乳製品を使用

カカオ分の代わりに乳製品を使用したタイプでは、カカオ分が21%以上(うち、ココアバターが18%以上)で、乳固形分がカカオ分と合わせて35%以上(うち乳脂肪が3%以上)のものを指します。

ミルクチョコレート生地

ミルクチョコレート生地は、カカオ分が21%以上(うち、ココアバターが18%以上)で、乳固形分が14%以上(うち乳脂肪が3%以上)のものを指します。

2.準チョコレート生地

「準チョコレート生地」は、「チョコレート生地」よりもカカオ分の比率が低く設定されているため、カカオの風味は乏しくなります。

準チョコレート生地の基本タイプ

準チョコレート生地の基本タイプは、カカオ分が15%以上(うち、ココアバターが3%以上)、脂肪分が18%以上のものを指します。

準ミルクチョコレート生地

準ミルクチョコレート生地は、カカオ分が7%以上(うち、ココアバターが3%以上)、脂肪分が18%以上、乳固形分が12.5%以上のものを指します。

チョコレート製品の種類

チョコレート製品は、種類別名称として以下の9種類に分類しています。

1.チョコレート

チョコレートは、「チョコレート生地」のみのものか、「チョコレート生地」の比率が全体の60%の加工品を指します。

2.準チョコレート

準チョコレートは、「準チョコレート生地」のみのものか、「準チョコレート生地」の比率が全体の60%の加工品を指します。

3.チョコレート菓子

チョコレート菓子は、他の食材と組み合わせて作られる菓子で「チョコレート生地」の比率が60%未満のチョコレート加工品を指します。

4.準チョコレート菓子

準チョコレート菓子は、他の食材と組み合わせて作られる菓子で「準チョコレート生地」の比率が60%未満のチョコレート加工品を指します。

なお、チョコレート加工品とは、チョコレート生地・準チョコレート生地と、ビスケット、ナッツなどの食物を組み合わせたものをいいます。チョコレート生地が60%未満の場合に「チョコレート菓子」と呼べるかどうかは、製品特性から細かく定められています。

5.カカオマス

カカオマスは、カカオ豆をローストしてすりつぶしたものを指します。

6.ココアバター

ココアバターは、カカオ豆の中の油脂のこと。通常、カカオ豆の中には約55%含まれています。

7.ココアケーキ

ココアケーキは、カカオマスからココアバターを一定量取り除いて固形のブロック状にしたものを指します。

8.ココアパウダー(ココア)

ココアパウダーは、ココアケーキを粉砕して粉末状にしたもので、水分7%以下のものを指します。

9.調整ココアパウダー(調整ココア)

調整ココアパウダーは、ココアパウダーに糖類、乳製品、麦芽、ナッツなどを加えて、手軽に飲みやすくしたもの。

原材料や製造方法の違いによるチョコレートの種類

原材料だけではなく、配合成分の比率でも名称が異なるチョコレートは、原材料や製造方法の違いでもさまざまな種類にわかれます。ここでは代表的なチョコレートの種類と特徴を紹介します。

チョコレートバー(板チョコレート)

日本では板チョコレート、英語圏ではチョコレートバー、フランスではタブレットとして親しまれているスタンダードなチョコレートです。テンパリング(調温)したチョコレート生地をモールドと呼ばれる型に流して冷却するシンプルな製法で、平たい板のようなモールドを使用します。
チョコレートバーの表面は、形状によって香りや口当たり、味わいが微妙に変わります。凹凸面が異なるチョコレートバーであれば、ひとつのチョコレートでいろいろな香味を楽しめます。

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ボンボンショコラ

ボンボンショコラは、一口サイズのチョコレートの総称でポピュラーなものです。ボンボンショコラはシェルと呼ばれるチョコレートにセンターを流しこむタイプ、センターに上からチョコレートコーティングするエンローバータイプなどがあります。
センターの種類によって多種多様なチョコレート製品を作れるのが特徴で、見た目も味わいも全く違うものが楽しめます。

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トリュフ

球体のフォルムが特徴的なトリュフは、見た目が世界三大珍味のきのこ・トリュフと似ていることからその名前がつきました。ボンボンショコラの一種で、ボンボンショコラのうち球状のものを指します。
トリュフのなかにはチョコレート生地やココアパウダーなどでコーティングされた外側と、なめらかなガナッシュの口どけの二層構造を楽しめるものもあります。

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ガナッシュ

ガナッシュは、チョコレートをベースに加温した生クリームを混ぜ合わせたもので、クリーム状の食感が特徴です。刻んだチョコレートに生クリームを混ぜあわせていくため、乳化させてなめらかに仕上げていくことがポイントです。
また、ガナッシュはボンボンショコラのセンターやケーキ、生チョコレートの材料に使われる重要な素材の一つ。タルトやフォンダンショコラなどにも応用されているだけではなく、バターやリキュールを足してアレンジすることも可能です。

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生チョコレート

生チョコレートは、一般的にガナッシュを冷却して固形化したあとに四角くきりわけられたチョコレートです。口どけの良さはチョコレートの中でもトップクラスで、フレッシュな味わいが楽しめます。
日本では、規約により生チョコレートの基準が定められており、チョコレート生地が全重量の60%以上、かつクリームが全重量の10%以上、かつクリーム分を含む水分が全重量の10%以上であるチョコレートとされています。

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ジャンドゥーヤ

ジャンドゥーヤは、ローストした香ばしいヘーゼルナッツやアーモンドに砂糖を加えてペーストし、チョコレートと混ぜあわせてつくります。ボンボンショコラのセンター(中身)にもなり、またそのものを固めた商品としても楽しめます。栄養価の高いナッツ類を贅沢に使用したジャンドゥーヤは、風味豊かな味わいが特徴です。

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チョコレートの分類・種類を理解して選ぶ楽しみを広げよう

チョコレートの分類・種類や特徴の違いを知ることにより、今までなんとなく選んでいたチョコレート製品も名称や原材料を見てから選ぶ楽しみが増えるはずです。ぜひ、自分好みのチョコレートを見つけてみてください。