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チョコレートの味の情報まとめ。よりおいしく味わう方法も解説します

チョコレートの味の情報まとめ。よりおいしく味わう方法も解説します

チョコレートは甘いお菓子という印象を持つ方が多いかもしれませんが、実は幅広い香りや味があります。チョコレート独特の風味を形づくるものはなんなのでしょうか。また、チョコレートはどのように味わうのが良いのでしょうか。
ここでは、チョコレートの味わいを作るもの、その原料などを解説します。より深く味わう方法も解説するのでぜひ参考にしてください。

チョコレートの味わいを作るもの

何気なく食べているチョコレート。
「香り」と「味」は混同して使われがちですが、ここではその2 つを分け、チョコレートの味や香りについて掘り下げて解説します。

香り

香りとは鼻で感じるものを指し、英語ではアロマ(aroma)と言います。発酵、乾燥したカカオ豆は、ローストすることでチョコレート特有の香り成分を発生させます。ローストで生じる香気成分は、例えばフルーティ調、フローラル調、スパイス調、ナッティ調、スモーキー調など様々で、1000 種類以上あると言われています。つまり「チョコレートの香り」という単体の成分はなく、多くの香気成分が複雑に絡み合って生まれている香りなのです。
カカオ豆の産地(品種)の選定や発酵方法、またローストする際の温度や時間などの条件設定により、香りを含めた豆の個性を引き出すのが作り手の腕の見せ所です。

味は舌で感じるものを指し、英語だとテイスト(taste)と言います。甘味・酸味・苦味・塩味・旨味の5 つを五味といい、1 つの味蕾で五味を感知できることがわかっています。チョコレートはカカオ豆を中心に砂糖などを加えるため甘味はもちろんありますが、それ以外にカカオ豆由来の苦味や酸味、また旨味を感じる場合もあります。また、生理学的には渋味や辛味などは刺激であり五味には含まれませんが、おいしさを感じるうえではこの 2 つも含めて味とみなしています。

チョコレートの味を作る原料

私たちが日頃から慣れ親しんでいるチョコレートは、大きく分けてダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートの3 つです。使われる原料の配合により様々な味わいが生み出され、それぞれ特徴のあるチョコレートとなります。

カカオ

チョコレート作りに欠かすことができない主原料がカカオ豆です。カカオ豆の胚乳部をカカオニブと呼びますが、このニブをすりつぶしたカカオマスにココアバターや砂糖、乳製品などを加えて作るのがチョコレートです。
カカオの品種や栽培方法、収穫後の工程により香りや味は異なります。よって、どんなカカオを使用するか、またそれらをブレンドするのか単一の味わいを生かすのかにより、仕上がるチョコレートの特徴は変わります。
もうひとつ重要な原料が、カカオに含まれるココアバターという油脂です。ココアバターは体温より少し低い融点を持ち、チョコレートを口に入れるととける口どけや、香味がさっと口の中に広がるなどチョコレート特有のおいしさに繋がる重要な役割を担っています。
商品に%の表記があるのを見かけることがありますが、これはカカオマスやココアパウダー、ココアバターなどカカオ由来原料の割合を示したものです。カカオ分が多いほうが甘味は減る傾向にありますが、配合や製造条件等により変わるため、商品選びの目安として捉えるのが良いでしょう。

砂糖

古くはメソアメリカで飲み物とされていたカカオ。当時は甘味がなく、苦くてスパイシーな飲み物で精力剤としても飲用されていました。16 世紀にスペインに広まり、砂糖を加えた飲み物に変わっていったのです。砂糖を加えることで、カカオの苦味や渋味が程よく中和され、よりマイルドな味わいになりました。飛躍的にチョコレートの風味をおいしくした砂糖は、それ以来欠かせない原料となったのです。
砂糖には、グラニュー糖、上白糖、三温糖、黒糖など種類がありますが、一般的なチョコレート製造にはグラニュー糖が用いられます。ただ、作り手が求める味わいのために、メープルシュガー、ココナッツシュガーなどを使って風味のアクセントにする場合もあります。

粉乳

ミルクチョコレートやホワイトチョコレートには乳製品が入っています。カカオを中心としたチョコレートに乳製品が入ることで、よりまろやかな味わいになります。
液体の乳製品をチョコレートに加えることはできないため、粉末にした「粉乳」が用いられます。牛乳をそのまま乾燥させる「全粉乳」や、脱脂乳を乾燥させる「脱脂粉乳」などがあり、チョコレートには主に全粉乳が使われます。乳製品も産地により風味が異なるため、どこの粉乳を使うかは最終製品のチョコレートの特徴に影響を及ぼします。

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その他の副原料

カカオ、砂糖、粉乳のほかに、チョコレートに様々な香味を与えているのが副原料です。例えば、アーモンドやピスタチオなどのナッツ類や、いちご、オレンジなどのフルーツ類、抹茶などのお茶やスパイスなども加わり、市場には多種多様な味わいのチョコレートが数え切れないほど存在します。ベースをダーク、ミルク、ホワイトのどれにするか、そしてそこに副原料が組み合わさることで、チョコレートの味は無限に広がると言えるでしょう。
その他に、チョコレートの香りづけとして香料を加えることもあります。カカオとも相性が良いバニラや、その他フルーツや花などの香料を、目指すチョコレートの風味によって選び、適切な量が加えられます。香料の成分はppm(100 万分の1 の意、1ppm で0.0001%)の単位というごく微量で配合されています。
また、おいしさに直接働きかけるものではありませんが、チョコレート製造で大きな役割を果たしているのがレシチンです。レシチンは乳化剤と呼ばれる物質の一種で、水と油を混ざるようにする機能があります。ココアバターをはじめとする油脂、カカオ固形分や砂糖、粉乳など他の親水性の材料が良く混ざるようにするために乳化剤が加えられています。チョコレートの粒子の安定や粘度を下げる、ブルーミングを遅らせるなどチョコレートの品質安定のために加えられていて、結果的においしさに繋がっています。チョコレートに使用する乳化剤は、日本では主に大豆からとられた大豆レシチンが用いられます。

チョコレートをより味わう方法

味をみること、試食することをテイスティングと言います。
ただ食べるだけではなく、五感を働かせて味や香りを感じ取るのがポイントです。次にテイスティングについて詳しく説明します。

テイスティングによい環境

正しくテイスティングを行うためには、環境を整えることが重要です。下記のような環境で行うことにより、テイスティングに集中でき、五感を発揮することができます。

・うるさくないところ。
・匂いがないところ。
・明るすぎたり暗すぎたりせず、白~黄色の照明で行う。
・温度(18~20°Cくらい)、湿度(50%以下)、満腹時を避けなるべく同じ時間に行う。
・体調が良い日を選ぶ。
・香水を付けない、香りの強い飲食物や刺激物を控える。

テイスティングの手順

1.気持ちを落ち着ける~集中し、落ち着いた気持ちで始めましょう。
2.香りを嗅ぐ(嗅覚)~まず鼻からの香りを感じ取ります。
3.色・艶などを見る(視覚)~カカオ産地や品種、配合により色合いは異なります。
4.音を聴く(聴覚)~割った時の音や割れ方の違いも見ます。
5.味をみる(触覚・味覚)~口の中でゆっくりとかし、味わいを感じます。
6.余韻を感じる(味覚・嗅覚)~徐々に口の中に広がる香りや味、後に残る余韻を感じます。

香りは鼻の付け根の裏側辺りにある嗅上皮(きゅうじょうひ)と呼ばれる部分で感じますが、鼻の穴を通って感じる「たち香」と、食べ物を飲み込んだ時に感じる喉から鼻へ抜ける「口中香」「あと香」と呼ばれるものがあります。よって、上記の手順2で嗅ぐ香りと、手順5や6で感じる香りの違いを嗅ぎ分けると、そのチョコレートの特徴をより正確に把握することができます。また、香りは常温で気化しやすく温めることでより感じやすくなります。チョコレートを口の中で噛んで飲み込むのではなく、ゆっくりとかして味わうことで、様々な香りを感じ取れるでしょう。

チョコレートの味の評価方法

チョコレートの評価は評価者やその目的により異なります。主に、見た目(色や艶)や香りの種類や強度、味(甘味・酸味・苦味・渋味)の強さなどを評価することが多いです。その他にコクやかたさなどを加える場合もあります。
(株) 明治では、チョコレート香味評価のために独自の「フレーバーホイール」を開発し、用いています。香りを化学物質ではなく、身近な物の香りに例えて表現する評価方法で、一般の方へ香りのイメージをわかりやすく伝えられるといった特長があります。中心が大分類、外側に向かうにつれて、中分類、小分類となり、小分類は最も身近で具体的なものが並んでいます。

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㈱ 明治 開発:チョコレートフレーバーホイール

まとめ:チョコレートの味わい方を知ってより楽しもう

なんとなく口にしていたチョコレートも、本格的なテイスティングを行うと新しい発見があるはずです。香りや味を分けて捉えるのが最初は難しいと思いますが、日頃から感じたことを言葉にしてみると徐々にそのコツが掴め、おいしさを感じて表現する楽しさが感じられるでしょう。
明治『ザ・チョコレート』は、個性が様々なカカオを世界中から厳選し、それぞれ異なる香りや味が楽しめるチョコレート。違いがはっきりしているので、テイスティングの実践にもぴったりです。ぜひこの商品でチョコレートの風味の広がりを体験してみてください。
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