
ホットチョコレートとココアドリンクは、どちらもカカオを使用した人気の飲み物ですが、その味わいや作り方には大きな違いがあります。特に、ホットチョコレートはココアドリンクよりもコクがありリッチな味わいが特徴です。 この記事では、その二つの違いについて詳しく掘り下げます。
ホットチョコレートとココアドリンクの「違い」とは
・原料の違い
ホットチョコレートはチョコレートに牛乳や水を加えて作る飲み物です。一方、ココアドリンクは、ココアパウダー(カカオ豆をすりつぶしたカカオマスからココアバターという脂肪分を除いた固形分)に牛乳や水、砂糖を加えて作ります。(下図はイメージです)
・原料の製法の違いによる、味や香りの違い
ホットチョコレートとココアドリンクは、どちらもカカオ豆を原料にしている点は同じですが、その製法が異なります。
ココアパウダーは、アルカリ処理でカカオ特有の酸味を中和する場合があり(ダッチプロセスとも呼ばれる)、その結果、カカオ本来の香味とは異なる重厚感のある味わいになることがあります。またココアバターを搾る際、高温高圧のプレス機にかけられるため、カカオ本来の香りが熱によって飛んだり変化したりします。
一方、そのような処理をせず、カカオ豆をローストしてすり潰したカカオマスに、砂糖などを配合して作るチョコレートは、カカオ本来の香りが感じられ香りの種類やボリュームも豊かです。そしてチョコレートには、カカオ豆が持つ風味のひとつである酸味もあるため、抑揚のある風味を楽しめます。
・口当たりの違い
このように、ホットチョコレートとココアドリンクはそれぞれの原料が異なるため味や口当たりは違います。その違いについて詳しく見てみましょう。
チョコレートの原料となるカカオ豆の脂肪分(ココアバター)は約55%。カカオ豆をすり潰してできるカカオマスから、ココアバターを一部搾ったココアパウダーの脂肪分は12~22%程度です。チョコレートは商品によって異なりますが、油分は40%前後であることが多いです。

ホットチョコレートはココアバターの贅沢なコクが愉しめる一方、ココアドリンクは、チョコレートより脂肪分が少ないため少し軽めの風味で、サラッとした口当たりです。また、調整ココアはお湯や牛乳に溶けやすいようにさまざまな加工が施されています。
・栄養成分の違い
ホットチョコレートとココアドリンクのどちらもカカオポリフェノールなど、体に良いといわれている成分を摂ることができます。尚、ポリフェノールはココアの製造工程で減ることがあるので、ポリフェノールを摂りたいのであれば、カカオポリフェノール含有量の表記がある原料(チョコレート、ココア)を使うことが大切です。
ホットチョコレートとココアの歴史と語源
次にそれぞれの歴史や言葉について紹介します。
マヤ文明ではカカオ豆の飲料が飲まれていた
ココア、チョコレートの原料であるカカオ豆は、5300年前にエクアドルで飲まれていました。その後、メソアメリカ文明でも紀元前2000年前後から栽培されていたとされています。ユカタン半島で栄えたマヤ文明では紀元400年ころからチョコレートの飲用が始まったとされています。またアステカ文明(15~16世紀)では、カカオ豆をすりつぶして水にとかし、すりつぶしたトウモロコシ、唐辛子などと混ぜたカカワトル(チョコラトル、ショコラトルとも言われる)が飲まれていたという文献が残っています。
一杯飲めば何も食べなくても1日過ごせるほど栄養価が高いとされましたが、非常に高価だったため特権階級のみに許された楽しみでした。当時は甘味がなく苦い飲み物で、また、水を加えていたので温かい飲み物ではありませんでしたが、カカオ豆をすりつぶしたこの飲み物がチョコレートドリンクの起源といえるでしょう。
アステカからカカオ豆を使った飲み物がスペインへ、そしてヨーロッパ各地へ
1521年、スペイン人のエルナン・コルテスが中米のアステカ王国を征服し、カカワトルをスペインに持ち帰りました。カカワトルは、薬用効果の高い飲みものとして広まりました。当初、水にとかすというアステカと同じ飲み方がされていましたが、苦くて飲みにくく、次第に砂糖を加え、温めるという飲み方が普及します。
しばらくは門外不出でしたが、17世紀になると、スペイン宮廷につかえていた商人によってイタリアへ、またスペイン王女アンヌが嫁いだフランスへと、ヨーロッパ諸国へも伝わっていきました。

19世紀、新たな製法・圧搾機開発で飲みやすいココアになる
カカオは油脂分が多くとけにくいため、分離しないようにでんぷんなどを入れてホットチョコレートにしていましたが、1828年、オランダで画期的な技術が生まれました。
世界的に有名なココアブランドの創始者、C.J.バンホーテンが、カカオ豆の発酵過程で生まれる酸を中和するために、豆をアルカリ処理するダッチプロセスと、カカオ豆から油を搾り出し、カカオから低脂肪のココアケーキを取り出す圧搾機を発明したのです。ココアケーキは粉末状にされ、湯と混ざりやすいココアパウダーができました。これらは現代でも使われている製法です。
日本における呼び方の違い
一般的には「ホット ココア」はココアパウダーから作られ、「ホット チョコレート」はチョコレートから作られるとされています。ただ、実は「ココア」と「ホット チョコレート」の用語の厳密な区分はありません。文献によっては、ココアに牛乳などを加えて作る飲み物をチョコレートドリンクと説明するものがあるほか、お店やブランドによっては、ココアパウダーを使ったものをホットチョコレートとして提供しているケースもあります。
実際に作って飲んでみよう。自宅で簡単レシピ
ホットチョコレートとココアドリンクの基本がわかったところで、簡単に手作りできるホットチョコレートのレシピをご紹介します。

本格ホットチョコレートの作り方(チョコ+牛乳)
【基本の作り方】
お好みの板チョコを使って濃厚「ホットチョコレート」鍋も不要の、電子レンジで作る簡単な方法です。ポイントは「乳化」です。しっかりと混ぜでツヤのある乳化状態にすれば、なめらかな舌触りに。温度が40℃以下にならないように、冷めたら電子レンジで温めながら作りましょう。おすすめはミルクチョコレートより、カカオの香味の豊かなダークチョコレート。香りのよいもの選んでくださいね。
【材料】
板チョコ 34g
牛乳 90~140ml
1.カップに牛乳を入れ、電子レンジで温める
2.別のカップに砕いたチョコレートを入れる。とけやすいように細かく砕く
3.2に1の牛乳少量(20ml)を加え、混ざりやすくするために30~60秒そのままおいておく
4.ツヤが出るまでよく混ぜて、「乳化」させる。カップの側面にチョコレートのツブツブが見えたら、乳化できていないので、レンジで温め直して40℃以上にし、さらによくかき混ぜる
5.さらに牛乳少量(20ml)加え混ぜる
6.残りの牛乳50~100mlを加えて、好みの濃度に調整し、よくかき混ぜる
まとめ
似ているようで実は全く違うホットチョコレートとココアドリンク。皆さんはどちらがお好きですか?それぞれの特徴を知ると魅力が見えてきます。
ココアドリンクも良いですが、ホットチョコレートはよりコクがあり濃厚な味わいが魅力です。好きな板チョコレートでアレンジが広がるホットチョコレートを、ぜひ思い思いの工夫で楽しんでみてください!
チョコレートを「飲む」という新たな愉しみ方を研究し、発信している「のむチョコ研究部」では、さまざまなチョコレートの飲み方を紹介しています。お気に入りの飲み方を見つけてくださいね。









