基礎知識

クーベルチュールと板チョコレートとの違いとは?特徴や分類についても知ろう

クーベルチュールと板チョコレートとの違いとは?特徴や分類についても知ろう

クーベルチュールの言葉の意味

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日本語ではクーベルチュールと呼ばれていますが、正しくはフランス語で「couverture(クヴェールチュール)」といい、毛布や覆うものを意味します。英語だと「カバー」のことなので、つまりクーヴェルチュールは「カバーするためのチョコレート」を指します。

クーベルチュールとは

クーベルチュールは製菓用として使うのに適した特性のチョコレートです。この項では、クーベルチュールとはどのようなものなのか解説していきます。

チョコレートやチョコレート菓子の材料

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クーベルチュールはチョコレートやチョコレート菓子の材料となるもので、主にパティシェやショコラティエなどプロの人たちが使うことが多い製菓用材料です。以前は大きな板状のものが主流で削る手間がかかりましたが、今は小さなコイン型やダイス形などもあり、計量してそのまま使用することができます。容量は1kg、2kg、5㎏が一般的です。また、最近は消費者向けの製菓材料店などで手に入るようになり、100g、200gなど家庭で使用しやすい小売りサイズの製品もあります。

ココアバターの含有量が多い

クーベルチュールの大きな特徴は、ココアバターの含有量が多いためチョコレートの粘性が低く、何かを薄くコーティングすることができるという性質です。例えば、ボンボンショコラのうちエンローバータイプと呼ばれるチョコレートにはクーベルチュールが適しています。他には、ケーキの表面を覆ったり、ビスケットやドライフルーツをコーティングしたり、パフェなどデザートの飾りつけにも使う場合があります。

クーベルチュールと板チョコレートの違い

クーベルチュールと一般的な板チョコレートは成分の違いがあり、クーベルチュールには国際的な規格も存在します。ここでは、クーベルチュールの成分をさらに詳しく見ていきます。

国際規格(CODEX)

CODEX(コーデックス)は、世界的に通用する食品の国際規格です。ここではクーベルチュールについて、ココアバターが31%以上、無脂カカオ固形分2.5%以上でその合計である総カカオ分が35%以上になるものと定義しています。国際的にはこの条件をクリアしているものをクーベルチュールと呼ぶことができます。但し、日本ではクーベルチュールという名称についての規格がなく、日本独自の規格基準「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」においてもクーベルチュールに関する規約はありません。

カカオ分「カカオ固形分+ココアバター」

クーベルチュールは、カカオ分35%~100%近いものまで様々なタイプがあります。この「カカオ分」というのは、カカオ固形分(カカオマスやココアパウダーなど)とココアバターの合算です。さらに、もとからカカオ豆に含まれているココアバター以外にも、後からココアバターを追加(追油)することで、チョコレートのなめらかさが増し、流動性が高くなります。後から追油するココアバターは7~14%程度です。

クーベルチュール≠高級チョコレート

日本では、クーベルチュールが高い価格で販売されていることから、高級チョコレートと思われていることがあります。ただ、クーベルチュール≠高級チョコレートではありません。実際は、ココアバターの価格が高いため、ココアバターを多く追油する製品や、植物油脂を使わずにココアバターを用いた製品は価格が高くなる傾向があります。また最近では、カカオ豆の品種や産地にこだわるものもありますので、それが価格に影響しているケースもあります。

クーベルチュールチョコレートの分類

チョコレートは原材料の配合によって主にダーク、ミルク、ホワイトに分けられます。ここではダークとミルクのクーベルチュールについて紹介します。

ダーククーベルチュール

ダーククーベルチュールは、スイートやビターと呼ばれることもあります。カカオ分以外のほとんどが砂糖のため、カカオの風味をシンプルに味わえるタイプです。
例えばカカオ分60%の場合は、残りの約40%が砂糖、70%カカオの場合は残り約30%が砂糖ですので、高カカオ分製品のほうが苦味が強くなる傾向があります。(製品によりレシチンや香料が1%未満入ります。)作業性としては、カカオ分55~60%のものが扱いやすく、70%を超えると固まる力が強くなり作業が難しく感じるでしょう。
クーベルチュールの多くは、品種や産地が異なるカカオ豆をブレンドして作られています。様々な種類を組み合わせることにより、複雑で奥深い味わいに繋がります。つまり、カカオの選定とそのブレンドによってメーカーごとの特徴や製品ごとの個性が出るというわけです。
一方で、近年はシングルビーンと呼ばれる、単一の国やエリアのカカオ豆で作るクーベルチュールもあり、産地ごとの個性を商品作りのアクセントにすることもできます。

ミルククーベルチュール

ミルククーベルチュールは乳製品を加えたクーベルチュールです。使用されるのは全粉乳や脱脂粉乳など粉末状の乳です。粉乳が入るとチョコレートの粘度が上がるため、追油分のココアバターを増やして流動性を高めます。乳製品特有のコクがあり、風味も色合いもやさしくなります。

味わいの特徴やバリエーション

そのほか、コーヒーやキャラメル、ベリーなどフレーバーのあるものや、オーガニックにこだわった製品など、豊富な種類のクーベルチュールがあります。メーカーごとに味わいなどの特徴は異なり、どのような用途に使うかによりたくさんの種類の中から選ぶことが可能です。

<まとめ>クーベルチュールの特徴を知ってチョコレートの違いを楽しもう

クーベルチュールは、製菓用原料として扱う際に重視されるなめらかさや作業のしやすさがあるほか、そのまま食べてもおいしいチョコレートです。もちろん家庭でのチョコレート作りにもぴったりですので、様々な使い方を楽しんでみてくださいね。

※関連ページ:チョコレートの分類はいくつある?原材料や製造方法でみる違いと特徴