基礎知識

ココアとはカカオの別称? ホットチョコレートとの違い・おいしい作り方も紹介

ココアとはカカオの別称? ホットチョコレートとの違い・おいしい作り方も紹介

普段何気なく飲んでいるココアですが、この記事ではココアの基礎知識、ホットチョコレートとの違いや、カカオ豆の飲み物がココアになるまでの歴史などを詳しく解説します。ココアやホットチョコレートのおいしい作り方も紹介していますので、ひと手間かけたココアのおいしさを体験してくださいね。

ココアとは

ココアとはカカオの別称

ココア(Cocoa)とカカオ(Cacao)、響きは似ているけれど、違うもの?と思ってしまいますよね。カカオはメソアメリカ(メキシコの南半分からグアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラスの西半分一帯でマヤ文化、アステカ文化などが栄えた地)文明に起源をもつ言葉で、カカオの木の学名は「テオブロマ・カカオ」です。カカオがヨーロッパに渡ったときに、訛ってココアになったと言われています。厳密な定義はないのですが、原料の豆を表すときや加工度の低いもの(カカオマスなど)はカカオ、原料のカカオを加工したもの(ココアバター、ココアパウダー)はココアとされることが多いです。

純ココアと調整ココアの違い

チョコレートの規格基準を定めた規約上では、一般にココアと呼ばれるものには、ココアパウダーと調整ココアパウダーの2種類あります。「純ココア」や「ピュアココア」と呼ばれるものは、ココアバターが全重量の22%以上、水分が7%以下の「ココアパウダー」で、バニラ系香料以外のものを含まないものに限定されています。洋菓子の原料にも用いられます。調整ココアとは、純ココアに糖類、乳製品、麦芽、ナッツなどを加えて手軽に飲みやすくしたものです。

ココアの製造工程

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ココアは一般的に図のような工程を経て、製造されます。カカオ豆から取り出したカカオニブ(胚乳部)は、マイルドな味、深みのある色を出すためにアルカリ処理が行われますが、この処理をしないココアもあります。

カカオ豆の飲み物からココアになるまでの歴史

次にカカオ豆の飲み物からココアになるまでの歴史について紹介します。

マヤ文明ではカカオ豆の飲料が飲まれていた

ココアの原料であるカカオ豆は、メソアメリカ文明で紀元前から栽培されていたとされています。ユカタン半島で栄えたマヤ文明では紀元400年ころからチョコレートの飲用が始まったとされています。またアステカ文明(15~16世紀)では、カカオ豆をすりつぶして水にとかし、すりつぶしたトウモロコシ、唐辛子などと混ぜたカカワトル(チョコラトル、ショコラトルとも言われる)が飲まれていたという文献が残っています。一杯飲めば何も食べなくても1日過ごせるほど栄養価が高いとされましたが、非常に高価だったため特権階級のみに許された楽しみでした。

アステカからカカオ豆を使った飲み物がスペインへ、そしてヨーロッパ各地へ

1521年、スペイン人のエルナン・コルテスが中米のアステカ王国を征服し、カカワトルをスペインに持ち帰りました。カカワトルは、薬用効果の高い飲みものとして広まりました。当初、水にとかすというアステカと同じ飲み方がされていましたが、苦くて飲みにくく、次第に砂糖を加え、温めるという飲み方が普及します。しばらくは門外不出でしたが、17世紀になると、スペイン宮廷につかえていた商人によってイタリアへ、またスペイン王女アンヌが嫁いだフランスへと、ヨーロッパ諸国へも伝わっていきました。

19世紀、新たな製法・圧搾機開発で飲みやすいココアになる

カカオはとけにくいため、分離しないようにでんぷんなどを入れてホットチョコレートにしていましたが、1828年、オランダで画期的な技術が生まれました。世界的に有名なココアブランドの創始者、C.J.バンホーテンが、カカオ豆の発酵過程で生まれる酸を中和するために、豆をアルカリ処理するダッチプロセスと、カカオ豆から油を搾り出し、カカオから低脂肪のココアケーキを取り出す圧搾機を発明したのです。ココアケーキは粉末状にされ、湯と混ざりやすいココアパウダーができました。これらは現代でも使われている製法です。

ココアとホットチョコレートの違い

アステカから伝わったカカワトルがホットチョコレートとしてヨーロッパで飲まれるようになり、19世紀にはココアが誕生、とここまでは歴史を振り返ってみました。ここではココアとホットチョコレート、それぞれの成分や製造工程の違いをご紹介します。

ベースになる材料の違い

ココアには、カカオニブをすりつぶしたカカオマスからココアバターを絞り出し、残ったココアケーキを粉末状にしたココアパウダーが使われます。基本的には、チョコレートで作ったものをチョコレートドリンク、ココアパウダーで作ったものをココアと呼びますが、厳密な区分がないため、ココアパウダーで作られたものも、ホットチョコレートと呼ばれることがあります。

ベース原料のココアバター含有量の違い

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ココアと、チョコレートを使ったホットチョコレートとの大きな違いは、ココアバターの含有量です。カカオ豆には約55%のココアバターが含まれており、ココアバターを取り除き、脂肪分約22%という低脂肪分のココアケーキを粉末にしたのがココアです。チョコレートはカカオバターが含まれるカカオマスに、さらにカカオバターを加えています。ココアバターの少ないココアはさらっとした飲み心地で、ホットチョコレートはよりコクを楽しめます。

ベース原料の製法による違い

ココアパウダーは、ココアバターを搾る際、高温高圧のプレス機にかけられるため、カカオ本来の香りが熱によって薄れますが、アルカリ処理でカカオ特有の酸味を中和(ダッチプロセス)することで、重厚感のある味わいに仕上がっています。一方、チョコレートは、カカオ本来の酸味や香りが残り、抑揚のある風味を楽しめます。

ココアとホットチョコレートの作り方

お湯でとくだけの調整ココアは手軽ですが、練って加熱することでなめらかな舌触りになる純ココアもおすすめです。ここからは、純ココアを使ったココアと、ホットチョコレートの作り方をご紹介します。

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【基本の作り方】ひと手間でおいしくなる「純ココア」

調整ココアなら熱湯を注ぐだけですが、純ココアは少し手間をかけると、おいしさが格段に上がります。軽く練って加熱することで、口当たりがよりなめらかになるのです。生クリームやシナモンをトッピングしてアレンジもできます。
1.カップにお湯を注ぎ、温めておく
2.鍋にココアパウダー小さじ2、砂糖小さじ4、少量のお湯を加えてペースト状になるまで練る
3.別の鍋で牛乳200mlを温め、少量ずつ2の鍋に注ぎ、その都度よく混ぜる
4.鍋を火にかけ、吹きこぼれないように軽く沸騰させながら2~3分加熱する
5.1のカップに注ぐ

【基本の作り方】お好みの板チョコを使って濃厚「ホットチョコレート」

鍋も不要の、電子レンジで作る簡単な方法です。ポイントは「乳化」です。しっかりと混ぜでツヤのある乳化状態にすれば、なめらかな舌触りに。温度が40℃以下にならないように、冷めたら電子レンジで温めながら作りましょう。おすすめはミルクチョコレートより、カカオの香味の豊かなダークチョコレート。香りのよいもの選んでくださいね。
【材料】
板チョコ 34g
牛乳 90~140ml

1.カップに牛乳を入れ、電子レンジで温める
2.別のカップに砕いたチョコレートを入れる。とけやすいように細かく砕く
3.2に1の牛乳少量(20ml)を加え、混ざりやすくするために30~60秒そのままおいておく
4.ツヤが出るまでよく混ぜて、「乳化」させる。カップの側面にチョコレートのツブツブが見えたら、乳化できていないので、レンジで温め直して40℃以上にし、さらによくかき混ぜる
5.さらに牛乳少量(20ml)加え混ぜる
6.残りの牛乳50~100mlを加えて、好みの濃度に調整し、よくかき混ぜる

ココアとホットチョコレート、どちらがお好き? 違いを楽しんで!

ちょっとした手間とコツでなめらかに仕上がるココア。お気に入りの板チョコを使ってレンジでできる、濃厚な味わいかつバリエーション豊かなホットチョコレート。香りや味わいの違いを楽しんでみてください。また、牛乳の代わりに豆乳やアーモンドミルク、お湯などと合わせたアレンジで自分好みの飲み方を見つけてみてください。