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生チョコレートは材料2つでできる⁉賞味期限や保管方法、レシピも紹介

生チョコレートは材料2つでできる⁉賞味期限や保管方法、レシピも紹介

口にした途端にとろける生チョコレートは、皆さんも大好きなチョコレートのひとつではないでしょうか。日本国内ではポピュラーと言える生チョコレートですが、その規格が日本独自のものということはあまり知られていません。本記事では、生チョコレートの定義や賞味期限、保管方法を解説、さらに自分で作れる生チョコレートのレシピ紹介もします。

生チョコレートの定義

生チョコレートの特徴はなんといってもそのなめらかな口どけ。これは、日本国内で定められている規格が関係しています。まずは、生チョコレートの定義や規格について解説します。

生チョコレートとは冷やし固めたガナッシュのこと

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生チョコレートを知るために欠かせないのがガナッシュの知識。ガナッシュは、チョコレートに温めた生クリームを加えて混ぜ、しっかりと乳化させてなめらかなクリーム状に仕上げたものです。これを金属製の四角い枠の中などに流し、冷やし固めた後、一口サイズに切り分けます。やわらかいガナッシュは切りづらいため、プロの職人たちは細い刃がたくさん並んだギッターという機械(上記写真)でカットします。ボンボンショコラのようにチョコレートでコーティングせず、表面に粉糖やココアパウダーをまぶして仕上げるのが生チョコレート。つまり、生チョコレートはガナッシュそのものを楽しむお菓子といえるでしょう。フルーツのピューレやお酒、抹茶などを加えることもあります。

※関連ページ:ガナッシュとは?生チョコやトリュフとの違いや分離する原因と対処方法

生チョコレートは日本独自の規格をクリアしたもの

ガナッシュなら何でも生チョコレートかというと、そうではありません。日本では、消費者の商品選びの目安となるチョコレートの規格基準を定めた「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」が、業界の自主ルールとして規定されています。生チョコレートに関する基準は次の通りです。
チョコレート生地にクリームを含む含水可食物を練り込んだもののうち、チョコレートが全重量の60%以上であって、クリームが全重量の10%以上、かつ水分(クリームに含有されるものを含む)が全重量の10%以上であるチョコレートは生チョコレートとなります。これを全重量の60%以上、かつ、チョコレート生地の重量が全重量の40%以上であるチョコレート加工品については商品名などに生チョコレートと表示できます。
このような基準を満たすものが商品名などに生チョコレートと表示できますが、種類別名称には生チョコレートとは表示できません。チョコレート生地を全重量の60%以上使用している場合は、種類別名称は「チョコレート」となります。

※関連ページ:チョコレートの分類はいくつある?原材料や製造方法でみる違いと特徴

生チョコレートの歴史

人々に愛され、親しまれている生チョコレート。次に、生チョコレートがいつどこで誕生したのか、また日本国内においての広がりなど、その歴史について解説していきます。

スイス生まれの生チョコレート

実は生チョコレートはスイス生まれ。「パヴェ・ド・ジュネーブ(ジュネーブの石畳)」は1930年代にスイス・ジュネーブのチョコレートメーカーによって作られたと言われています。また、石畳のような形状に、表面の粉糖が雪を連想させることから「パヴェ・グラッセ(冷たい石畳)」とも呼ばれています。スイスでも人気のチョコレートのひとつで、今では多くのチョコレート店で販売されています。ヨーロッパでの一般的な名称は「パヴェ・オ・ショコラ(石畳チョコレート)」です。

日本における生チョコレートの歴史

一方、日本の生チョコレート史はどうでしょうか。1988年、スイス菓子を扱う神奈川県平塚市の洋菓子店が生チョコレートを開発したと言われています。その後1995年には北海道のチョコレートメーカーが生チョコレートの通年販売を開始、この頃から、量産された商品が全国的に広がり、人気が高まっていったと言えそうです。スイスでの誕生から約60年後、今では抹茶やいちごなど種類豊富なフレーバーが揃うのも日本ならではの進化です。

生チョコレートを美味しく食べるポイント

先ほど解説した規格にあるとおり、水分を多く含む生チョコレートは賞味期限が短く、繊細な商品とされています。美味しく食べるための賞味期限や保管方法、おすすめの食べ方を紹介します。

短い賞味期限に注意する

チョコレートの保存期間に影響する要素のひとつが水分です。例えば、水分がほとんど含まれない板チョコレートは1~2年など長期保存が可能ですが、生チョコレートは水分を多く含み、なおかつ外側をチョコレートコーティングしていないこともあり、賞味期限はあまり長くありません。商品の配合や製法、包装形態、保存環境等により異なりますが、短いもので数日程度、平均的には14日~21日程度の賞味期限で販売している店舗が多いようです。美味しさのためにも賞味期限に関わらず早めに食べましょう。

正しい保管方法で品質を保つ

生チョコレートは水分が多い配合ゆえ、なめらかな口どけが楽しめる商品。外側は粉糖やココアパウダーのみの仕上げのため、保管する際にもちょっとした工夫が必要です。美味しく食べるためには、ケーキのように繊細なお菓子として扱うのがおすすめ。ここでは保管のポイントを紹介します。
温度が高い部屋に置くととけてしまい、またクリームを使っているため品質的にも影響が出ます。必ず冷蔵庫(10℃以下)で保管しましょう。次に重要なのは匂い対策。生チョコレートは匂いが付きやすいため、チャック付き袋に入れて冷蔵庫へ。これにより保管中の生チョコレートの乾燥も防ぐことができます。

口の中でゆっくりとかして食べる

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香りは常温で気化しやすい分子。温めることでより多くの香気成分を感じることができます。生チョコレートも口の中でゆっくりととかし、味や香りが広がるまで待つのがおすすめです。
また、コーヒーや紅茶はもちろん、シャンパンやウイスキーのロックなど冷たい飲み物とも好相性なのが生チョコレートの魅力。通常、口の中が冷たいとチョコレートの口どけは悪くなりますが、口どけの良いチョコレートは、冷たい飲み物と一緒でも美味しく味わうことができます。どんな飲み物に合わせようかな?と考えるひとときも楽しいですね。

【レシピ】生チョコレートの作り方

手作りすることも可能な生チョコレート。基本的な配合として、チョコレート:生クリームは3:1~1:1と覚えておくと便利です。
チョコレートのカカオ分が高い場合は、同じ生クリーム量でも固めの生チョコになりやすいので、チョコレート1:生クリーム1を基本とし、カカオ分が高い場合や、やわらかめがお好みであれば生クリームを少し増やしてください。
また、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートは生クリームが多いと固まりづらくなりますので、チョコレートと生クリームは2:1~3:1を参考としてください。
ここでは簡単レシピをご紹介します。(※家庭用レシピとして、先ほど紹介した生チョコと明記して販売するための規約とは異なる配合をご紹介しています。)

<材料>11×11cmの型1台分
ダークチョコレート(カカオ分60~70%くらい)100g
生クリーム100cc
ココアパウダー 適量

<作り方>
1.チョコレートは細かく刻んでボウルに入れておく。バットにオーブンシートを敷く。
2.生クリームを鍋に入れ、中火にかけ沸騰直前まで温める。刻んだチョコレートを入れたボウルに一気に注ぎ、湯気が出なくなるまで待ち、泡立て器で混ぜ合わせる。チョコレートが完全に溶けてなめらかなクリーム状になるまで混ぜる。
3.準備したバットに2を流し入れ、表面を平らにして冷蔵庫で1~2時間冷やし固める。
4.バットからはずしてオーブンシートをはがす。温めた包丁で周囲を切り落として整え、好みの大きさに切る。
5.バットに茶こしでココアをふり、4を入れる。茶こしで上からも全面にココアをまぶす。

生チョコレートの幸せな口どけを堪能しよう

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口に入れた瞬間、優しくとろける生チョコレートは、私たちに幸せをくれる魅力的なお菓子。いろいろなフレーバーの生チョコレートを食べ比べたり、手作りを楽しんだり、また飲み物との組み合わせを楽しむのもいいですね。ぜひお気に入りの生チョコレートを見つけてください。