カカオをカルチャーに。

2023/01/13

サロン・デュ・ショコラ パリ2022レポート

今年で第27回目の開催となった、世界最大規模のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ パリ」。本記事では、活況を呈していた今年の様子をレポートします!

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サロン・デュ・ショコラとは?

毎年10月末頃に5日間、パリのポルト・ド・ヴェルサイユ(Porte de Versailles)駅の見本市会場で行われるチョコレートの祭典、「サロン・デュ・ショコラ パリ」。今年で27回目の開催となりました。今回、数年ぶりに会場がホール5に戻り、2フロアで2万㎡弱という広さに合計200ほどのブース出展がありました。文字通りチョコレートの一大イベントで、フランスを中心に世界各国、地域から様々なチョコレートブランドやカカオの生産者、その他の菓子等を扱うブランドが一堂に集結。小さな子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでチョコレートファンが多く集まり、大変な賑わいでした。5日間のうち、満員電車のように混雑した日もあり、コロナ禍前のような活況を呈していました。

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サロン・デュ・ショコラ パリの概要

今年(2022年)の開催は10月28日(金)~11月1日(火)までの5日間。入場料は大人が15ユーロ(約2200円)、子どもが7ユーロ(約1030円)です。数年前からファミリーパックのチケットなども設けられました(大人、子ども各2人、計4人で40ユーロ、約5880円)。また、会期前日の10月27日(木)夜には前夜祭が行われ、こちらもチケットを購入すれば入場することが可能です(30ユーロ、約4400円)。いち早くチョコレートの祭典を見たい!というファンが多く訪れ、前夜祭から賑わっていました。
会場では、思い思いにブースを回りチョコレートを試食したり購入したりするほか、シェフのセミナーやステージでのプログラムなどを楽しむことができます。また今年は、いくつものコンクールが招致されていましたので、ショコラティエやパティシエの戦いに足を止め、熱心に見ている人々もいました。

日本のサロン・デュ・ショコラとの違いは?

日本でも東京や京都など各地で実施されているサロン・デュ・ショコラ。略して「サロショ」とも呼ばれます。日本のバレンタインイベントと思う方もいるかもしれませんが、実はパリ発祥のチョコレートの祭典。1995年にショコラに情熱を傾ける2人の実業家がスタートさせました。
日本とパリのサロショの違いのひとつは出展者です。日本では、国内のショコラティエやチョコレートメーカー、BEAN to BARブランドに、フランスやベルギーなど外国のブランドが加わり、百貨店の催事場などでブースを展開しています。高級ブランドも多く、パリの会場のブランドラインナップとはだいぶ異なります。パリの会場にはチョコレートメーカーやショコラティエに加え、カカオ生産国からのブース出展も多いのが特徴。
そしてもうひとつは会場で楽しめるコンテンツの違いです。広い会場内にはいくつものセミナースペースやステージがあり、会期中は毎日、来場者が参加できるプログラムがいろいろあります。チョコレートを食べたり買ったりするだけではなく、さまざまな形でチョコレートやお菓子を楽しめるコンテンツがあるのがパリの特徴といえるでしょう。

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今年のサロン・デュ・ショコラ パリ

少しずつ出展者の顔ぶれが変わりながらも、多くのチョコレートファンで大変な熱気に包まれていた2022年のサロン・デュ・ショコラ パリ。今年の傾向を紹介します。

毎年楽しい、チョコレートのアート

2022年は目を引くチョコレートのオブジェが4つありました。最も大きかったのは、フランソワ・ドービネが手掛けた"Cristalline de cacao"。高さ4mほどのカカオバターの結晶を模した作品で、約150㎏のチョコレートを使用。製作には4週間もかかったそうです。また、ジャン・リュック・デクルーゾーが3/4スケールで再現したブガッティ・グランプリ35型(1920年代の伝説的レーシングカー)も、チョコレートでできているとは思えない作品。250㎏のチョコレートを使い200時間ほどかけて製作された車は、細部まで精密に表現されていました。幅1.5m×高さ1mのマーメイドや、大きなウサギのオブジェを飾っていたブースがあったほか、開催前日の前夜祭でステージを飾ったチョコレートのドレスも展示されていました。

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フランスでもBEAN to BARが増加

今年、1階に「VILLAGE BEAN TO BAR FRANCE」という、フランスのBEAN to BARブランドを集めたコーナーができていたのは要注目。この数年、BEAN to BARが増えている傾向がありましたが、サロン・デュ・ショコラの中でコーナーができていたのは、そのトレンドを表していると思います。2階に出展するショコラティエの中にもBEAN to BARを訴求するブランドが多く見られ、中にはベネズエラの希少なチュアオの豆を収穫年の違いで比較するタブレットなど、マニア向けとも言える商品もありました。板チョコレートやボンボンショコラ等のほか、カカオパルプのジャムや飲料等の加工品を扱うブランドもあり、カカオ関連商品がさらに広がっている様子が窺えます。

今年の顔ぶれ~どんなブースが出展しているの?~

チョコレートメーカー、ショコラティエ、他にはヌガーやカヌレなど菓子類を扱う店、スパイスの専門店、書籍等のブースもあり、多種多様なブランドが並ぶサロン・デュ・ショコラ パリ。メインとなるのは2階で、様々な国や地域から150弱のブースが出展。また、いろいろなプログラムが行われるメインステージのほかに複数のセミナースペースやコンクール会場等も設置されました。1階には「ワールドチョコレートマスターズ」の大きなスペースと、カカオ生産国からの出展やB to B(業務用)コーナーで50以上の参加があり、2フロアの合計は約200ブース。出展者全体の約65%がフランス国内の企業やブランドで、その他スイス、ベルギー、ハンガリー、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ諸国からの出展が多いのが特徴です。
また、コートジボワール、ガーナ、ウガンダなどのアフリカ、メキシコ、ブラジル、エクアドルなど中南米などからカカオ生産者やBEAN to BARブランドが出展し、今年はハワイのBEAN to BARも参加していました。日本からは過去に多くの企業が出ていましたが今年は1社のみの参加でした。
顕著な傾向としては、パリの市内では普段は買うことのできない地方店や、新しいブランドが増えている一方、過去に参加していた著名な高級ショコラティエがさらに減少しています。

ビオやフェアトレードなど

ビオ(オーガニック)やフェアトレードのカカオ豆やその他原材料を使ったチョコレートなど、環境や生産者の生活に配慮していることを謳う商品ブースには常に人だかりができていました。また、「SUGAR FREE」(砂糖不使用)を謳う商品も見られ、グルメ的なチョコレートを求める客層がいる一方で、異なる観点からチョコレートを選択する客層がいることも垣間見えます。

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クマの形とアドベントカレンダー

今年、あちこちで見かけたのはクマの形のチョコレート。ギモーヴ(マシュマロ)が入っているクマ型チョコレートもありました。サロン・デュ・ショコラ パリには家族連れも多く、子ども向けに人気なのかなと思いつつも、ショコラティエが手掛ける商品は味や見た目は本格的。(といっても結構甘いですが。)大人にも子どもにも喜ばれそうな商品です。
また、10月末のこの時期、クリスマスには少し早いですがアドベントカレンダーを手掛けるブランドも年々増えていると感じました。アドベントカレンダーは、クリスマスまでの日にちをカウントダウンするドイツ発祥のカレンダー。ショコラティエにより様々なデザインがあり、見ているだけでも楽しくなりますが、1日に1つ、フタを開けながらいろいろなチョコレートを食べられるのはなんともワクワクする仕掛け!日本のバレンタインと違って、クリスマスにチョコレートを贈る欧米の習慣が感じられる商品です。

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あちこちでコンクールが開催

今年のサロン・デュ・ショコラ パリの大きな特徴は、会場内に招致したコンクール等が多かったこと。チョコレート職人の世界大会「World Chocolate Masters」の国際決勝大会や、フランス菓子職人組合(Confédération Nationale des Artisans Pâtissiers Chocolatiers)が主催する「Trophée de la Pâtisserie Française」(フランスの菓子賞)、パティシエ16チームが4日間にわたって競い合う「Mondial des Art Sucrés」など、いくつもの大会が招致されました。
2022年「World Chocolate Masters」では、日本代表の田中二朗氏(株式会社パティスリーカルヴァ)が、大会の7つの課題(#SHARE、#WOW、#TASTE、#BONBON、#TRANSFORM、#DESIGN)において最も高い点数を獲得した選手に与えられるベストカテゴリーアワードを3部門(#SHARE、#TASTE、#BONBON)で受賞しました。また、田中シェフは総合7位入賞も果たしています。
会場内には大きな声援が飛び交う場面もあり、臨場感や熱気などリアルイベントならではの良さがあると感じました。こうしたコンクールなどの催しは、来場者を増やすことに繋がっていると思われます。

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チョコレート好きにはたまらない場所

小さな子どもから大人まで、皆が笑顔で幸せな気持ちになれるチョコレート。単に商品を買うだけではなく、チョコレートのオブジェを見たり、コンクールやセミナーなどの催しで職人の様子を間近に感じたりするほか、カカオ生産国から来ている生産者と直接交流することなどもパリのサロン・デュ・ショコラの魅力。ここに来れば、数多くのチョコレートや菓子と出会える、まさにチョコレート好きには夢のような場所といえるでしょう。

撮影・テキスト:平田早苗

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このコラムは私が書きました。

プロフィール:平田早苗 / 管理栄養士、スイーツプランナー、ショコラコンシェルジュ®

大学卒業後、洋菓子関連の会社に入社し販売や商品開発に携わる。その後2007年に独立、様々な商品企画開発や店舗改善、経営のアドバイスなど、スイーツやチョコレートのコンサルタントとして幅広く活動。2008年以降、毎年サロン・デュ・ショコラ・パリの視察や、世界各国のスイーツ、チョコレート市場の調査を行う。
ウイスキーとチョコレートが好きで、カルチャースクール等でショコラとウイスキーのマリアージュセミナーを多数実施、ウイスキー専門誌「ウイスキーガロア」のテイスターを務めるほか、日本で初となるスピリッツのコンペティションTWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)の審査員も務める。
http://www.potluck-i.com/

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