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白いホワイトカカオミルクを明治が開発!メキシコ産カカオの新しい展開とは?

こんにちは。チョコレートジャーナリストの市川歩美です。
先日、メキシコでカカオのプランテーションを営むホルヘさんが来日しました。明治のみなさんが、ホルヘさんを囲んで情報交換会を開く、ということでしたので、私も取材を兼ねて伺いました。この記事では、当日の様子をご紹介します。

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この会は、メキシコホワイトカカオで作った明治の新しいチョコレートやドリンクやガナッシュを、来日したホルヘさんに味わっていただく、貴重な機会でもあります。

メキシコホワイトカカオとは?

明治はメキシコのカカオ産地と長年関わり、農園の支援を行いながら、チョコレートやカカオ製品を作っています。なかでも明治専用の契約農園のカカオ豆を使った「メキシコホワイトカカオ」シリーズは、チョコレート・カカオファン、プロまでもが注目するもの。メキシコにある明治専用農園で作られた「ホワイトカカオ」を使ったチョコレートのシリーズです。
メキシコホワイトカカオは、カットすると中が白いのが特徴。苦味や渋みが少なく、ナッティな香味とクリーミー。独自の発酵によるフルーティーさがあります。
メキシコホワイトカカオが育つ農園は、ホルヘさんが運営しているのです。

ホワイトカカオミルクって?

まず、この日、参加者全員で味わったのは「ホワイトカカオミルク」です。
「ホワイトカカオミルクって?」と思われる方が多いことでしょう。
私は、昨年秋「サロン・デュ・ショコラオフィシャルムック」執筆のため、すでに取材時に出会っているのですが、とにかくびっくり!カカオを使った白いドリンクなのです。白いけど、どうなっているの?と、知りたいことだらけになりました。
ホワイトカカオミルクは、メキシコホワイトカカオから作った、プラントベースミルクです。

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上の写真は、「ホワイトカカオミルク」を味わったときの、ホルヘさんとルーシーさん(ホルヘさんの奥さま)です。おいしい笑顔!とてもおいしい、と何度もおっしゃっていたのが印象的でした。
緑茶を思わせるような風味がありますが、少し甘みを足すと飲みやすく、ポリフェノールがとれることもあって、思わずごくごく。私が「アイスクリームやソルベにしてもよさそうですね」というと、ルーシーさんが深く頷き「それはいいアイディア」とにっこり。あらゆるアイディアが形になりそうな気がしてきます。
明治さんの説明によると、ホワイトカカオミルクは「メキシコホワイトカカオは豆の中身がミルクのように白く、苦味が少ないのでそれをいかしています。カカオは発酵すると茶色くなるので、これをコントロールして白さをキープ。ポリフェノールがとれるのが特徴です」とのこと。
健康を考える方へ、またエッジの効いた最新プラントベースミルクとして、多くの可能性があると思います。

メキシコホワイトカカオのチョコレートをガナッシュに

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▲カカオポッドの形のメキシコホワイトカカオのガナッシュ(5個入り)

メキシコホワイトカカオを使ったガナッシュも、新しく登場しています。
このガナッシュは、今年のサロン・デュ・ショコラ(東京)で限定販売され、話題になりましたね。私は「サロン・デュ・ショコラオフィシャルムック」向けに事前取材させていただきました。
あまり目立たないような感じですが、実際は、ものすごく画期的なチョコレートです。ポイントは「水」にあります。
通常、チョコレートとは水分が3%以下、です。生チョコレートとなると、生クリーム10%以上使用、水分10%以上となります。しかし、このガナッシュはカカオ香味をより感じられるために「水」を添加しているので、チョコレートでも生チョコレートでもないもの。まったく新しいガナッシュなのです。

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▲パッケージを手にしてその美しさにも感激していたホルヘさん

ホルヘさんは、ガナッシュを味わい、味のよさを讃えつつ、パッケージの美しさに感激されていました。
カカオに日々関わるホルヘさんにとって、カカオをデザインに取り入れたモダンなパッケージと、カカオポッドをモチーフにした形に、メキシコカカオへのリスペクトを感じたのでしょう。

Modern Mexican CABOSのメキシコ料理も美味

ところで、会場はメキシコ料理店でした。メキシコのカカオにちなんでいるわけですね。モダンなメキシコ料理店「Modern Mexican CABOS」(三田)。

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メキシコといえば、の、おいしいタコスです。
そして、下の写真は、サボテンの赤い実の部分のピューレを使ったソルベ。めずらしいですね。サボテンの赤い実を味わったのは初めてでした。酸味が少なく、やさしい甘みが口に広がります。

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ワカモレとチップスは定番ですね。ちなみに、私はワカモレが大好きなんです。チップスなしでも、これだけどんどん食べたいほど好き。そもそも、私はアボカド自体が大好きなのです。
それからセビーチェ。なんてモダンで美しいセビーチェなのでしょう、などと、みなさんで盛り上がりました。私はセビーチェを、ホルヘさん、ルーシーさんとシェアしていただきました。

メキシコのカカオへの愛

カカオの歴史を語るうえで、メキシコは欠かすことのできない大切な国です。私もかつてメキシコへ取材に行き、歴史や文化、プランテーション、農園を巡ってそれを体感しました。
この日集まった、メキシコのカカオプランテーションのオーナーであるホルヘさんご夫妻、メキシコ産カカオの魅力と可能性を見出し、情報交換を欠かさずチョコレート作りを続ける明治さん。そしてメキシコ大使館のみなさん。
こうして良い関係を築き、ともにカカオの未来を考えていることを同じ場にいて感じ、私はとても幸せになりました。

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▲ホルヘさんは、明治の宇都宮洋之さんを「彼はカカオの百科事典」と信頼。メキシコ大使館の方々もご一緒に

メキシコホワイトカカオを、チョコレートにするのはもちろん、ホワイトカカオミルクなどの、全く新しいものにしようと、日々明治のみなさんが、開発に取り組んでいることもわかりました。未来を見据えた動きに興味が尽きず、知るほどに驚かされることばかりです。
今回も勉強になり、カカオの未来を切り開くみなさんの技術と心意気に触れ、パワーをいただきました。今後の展開もレポートできたらと思います。
続編として、「そもそもなぜ、明治がメキシコでカカオを?」ということについて、明治の宇都宮洋之さんにお話を伺いましたので、次の記事にします。

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プロフィール

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市川歩美
チョコレートジャーナリスト ショコラコーディネーター

チョコレートを主なテーマとするジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地をはじめ各国を取材し、多数のメディアで情報を発信している。
チョコレートの魅力を広く伝える、ショコラコーディネーターとしても活動。