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絵本「ミライチョコレート」発刊!作者ザ・キャビンカンパニーが込める想いとは

絵本「ミライチョコレート」発刊!作者ザ・キャビンカンパニーが込める想いとは

カカオやチョコレートについて知ることができる絵本「ミライチョコレート」。大分県出身の二人組の絵本作家/美術家「ザ・キャビンカンパニー」の作品で、株式会社 白泉社より2024年1月19日から発売されました。 今回は、絵本「ミライチョコレート」のあらすじから、作者である「ザ・キャビンカンパニー」の本作品への想いや読者に伝えたいこと、2月に開催されたイベントの内容など、たっぷりとご紹介します!

絵本「ミライチョコレート」とは

「ミライチョコレート」とは、世の中からチョコレートがなくなった1000年後の世界を描いた作品です。
主人公の少女マヤは博物館で、チョコレートというおいしそうな食べ物を初めて見て魅せられます。「食べてみたい!」とチョコレートを探す旅に出たマヤ。待っていたのは、「チョコレートとは何か」を知る、感動の出会いでした。マヤの冒険を通じて、知っているようで知らないチョコレートのことを学べる絵本です。

「ザ・キャビンカンパニー」のお2人にインタビュー!

「ミライチョコレート」の生まれた経緯

今回は、特別に「ザ・キャビンカンパニー」のおふたりにインタビューをすることができました。そこで、作品の生まれた経緯について聞いてみました。

本作品を制作するにあたり、プロモーションとしての絵本となると、最初は作れるかな?という不安があったそう。
「出版社経由で明治の担当者と話をした際に、チョコレートがカカオから出来ているという普遍的な事実が制作テーマであるということがわかり、不安がなくなった」と、話します。ちょうどおふたりが感じていた”ふだん自分たちが口にしている食べ物が、どこからきているのかを考える”という課題意識と一致、チョコレートという題材は、読み手にとって身近で具体化しやすく、それなら制作できる!と思い、制作に至ったと語ってくれました。

作品作りを通して変化していった心境

表紙からインパクトのある「ミライチョコレート」。乗り物や建物など現代のそれと異なるものが描かれており、動物や自然物などの曲線的なものは吉岡さん、建物やロボットなどの人工的なものや直線的なものは阿部さんが担当されています。絵本の中に出てくる「フライごう」も共同で描かれており、羽の部分は吉岡さん、ロボットの部分や建物は阿部さんが担当。羽はアトリエに入ってきた実際のトンボがモデルになっているそうです。

「フライごう」に乗るマヤ

ザ・キャビンカンパニーのおふたりは作品作りを通して、ものの見え方が変わってくることも多いと話します。
「チョコレートという題材は調べていくと奥が深く、実際に本物のカカオを見たり、カカオの果肉を口にしたりと、新しい体験や発見とともに制作が進んだ」と言います。カカオの実がビビッドで様々な色合いのものがあることにも、驚いたそうです。
チョコレートの歴史についても、南米から広まり、飲み物として始まった経緯など、「新しい知識をたくさん知る機会になり、今では板チョコを見るだけでカカオ生産の背景やカカオの木などが思い浮かぶようになった、大切に食べようと思うようになった」と話してくれました。


「ミライチョコレート」に込めた想い、伝えたいこと

主人公の少女・マヤの生きる1000年後の世界では、今よりも効率化され便利な世の中になっているものの、マヤは日常生活の色々なことにひっかかりを感じ、自分で調べていこうという姿勢を持っています。本作品を通じて、「マヤのように時には立ち止まって、”これは、どこから届けられているのかな?”といった、目の前にあることだけではなく、その先のことにまで好奇心を持ってみて欲しい」と、語ってくれました。

また、チョコレートを題材とした絵本として「ただ”チョコレートは美味しい”という内容にはしたくなかった」との想いがありました。
子供たちには楽しい絵本として楽しんでもらいたいと思う一方で、カカオ生産における森林減少や児童労働などの様々な課題を知ったからこそ、一緒に読んでもらう大人には、チョコレートやカカオについて考えてもらえるような深みのある作品を作りたいと考えました。そのため、絵本の終え方についても、最後まで悩み、工夫をしたそうです。

トークショー&サイン会を開催

2024年2月10日、二子玉川の蔦屋家電2階EVENT SPACEで、トークショー&サイン会が開催されました。

ザ・キャビンカンパニーのおふたりは、カカオの皮で染めた「ミライチョコレート」の表紙が描かれたTシャツを着て登場。最初に、読み聞かせをしてくれました。
トークショー&サイン会は満席。参加した子どもたちへ、実物のカカオの実を手に「カカオはどこ(産地)でできているか」「1つのカカオからいくつのチョコレートができるか」といった質問を投げかけ、子どもたちは知らなかったチョコレートの成り立ちに興味津々。たくさんの読者と交流を行いました。

まとめ

大人になってもなお、知らないことは世の中にたくさんあります。何歳になっても色々なことに疑問や興味を持ち、学んでいく姿勢を忘れずにいたい、と改めて考えさせられました。人生の変化がそれぞれの作品にあらわれているというお話もすごく素敵で、今後のおふたりの作品にも期待しています。
「ミライチョコレート」は、各書店で購入できます。ぜひ読んでみてください。

著者名: ザ・キャビンカンパニー
ISBNコード:9784592763383
シリーズ名:MOEのえほん
定価:1650円(本体1500円+税10%)
発売日:2024.1.19

提供:ザ・キャビンカンパニー公式サイト


阿部健太朗(1989〜)と吉岡紗希(1988〜)による二人組の絵本作家/美術家。ともに大分県生まれ。
大分県由布市の廃校をアトリエにして、絵本・立体造形・アニメーションなど様々な作品を生み出し、国内外で発表。

デビュー作「だいおういかのいかたろう」(2014年・鈴木出版)で第20回日本絵本賞読者賞。「がっこうにまにあわない」(2022年・あかね書房)で第28回日本絵本賞を受賞。
そのほか、「ボンボとヤージュ」(2018年・学研プラス)、「ポケモンのしま」(2020年・小学館)、「きのこのこ」(2021年・福音館書店)など多くの作品を制作。