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1級フードアナリスト里井真由美さんがきくチョコレート検定上級合格者・猪股さんのチョコレートの楽しみ方

1級フードアナリスト里井真由美さんがきくチョコレート検定上級合格者・猪股さんのチョコレートの楽しみ方

株式会社 明治が2016年より実施している『チョコレート検定』。スペシャリスト(初級)、エキスパート(中級)、プロフェッショナル(上級)の3つの級に分かれており、最難関のプロフェッショナルは合格率17.8%(2022年度)の狭き門となっています。そんなレベルの高い試験に見事合格した"チョコレートプロフェッショナル"の方々に、1級フードアナリストの里井真由美さんがインタビュー。第6回となる今回は、チョコレートの香りを嗅げばカカオの産地が当てられるという猪股さんに、チョコレートの魅力について教えていただきました。

プロフィール

猪股凜太郎さん

大学院にて近代文学を学ぶ。ある小説に登場したお店に足を運んだことで、濃厚なチョコレートライフを歩むことに。最近、ハマっているのは「ホワイトチョコレートとカカオ95%のチョコレートを重ねる食べ方」。上下を入れ替えると、また違った味わいが楽しめるのだそう。

里井真由美さん

食・食文化の専門家として、テレビや雑誌、ラジオ、Webなどのメディアを中心に活動。世界各国のレストランに着物で足を運び、グルメ誌に連載するスタイルが話題に。グルメスイーツの年間食べ歩きは1000店以上で、平均7000種以上のスイーツを食している。
里井真由美 プロフィール

チョコレートの香りでカカオの産地がわかるってホント?

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里井さん
ウワサによると猪股さん、香りを嗅ぐ天才とうかがいました。

猪股さん
(笑)。確かにチョコレートの香りで当てられるんですが、それは『チョコレート検定』で勉強したものだけで。『meiji THE Chocolate』の4種類の産地と、検定の勉強用に届いたチョコレート2種類を嗅ぎ分けられるという感じです。

里井さん
十分、すごいです(笑)。その若さで上級に合格されているのもすごい。『チョコレート検定』を受けたのは、大学生のときですか?

猪股さん
はい、大学3年生ですね。受けようと思ったのは2年生のときだったんですが、2020年の上級はコロナ禍で中止になってしまったので。

里井さん
考え方によっては、もう1年、しっかり勉強できますね。

猪股さん
そうなんです。集められなかった参考文献も用意して、2021年の夏に中級・上級併願で受けました。

里井さん
『チョコレート検定』の情報は、どこで知ったんですか?

猪股さん
『サロン・デュ・ショコラ』の展示ですね。そのときは「検定があるんだ」と思ったくらいでしたが、ずっと覚えていて、コロナで学校に行かない時期でもあったので申し込みました。

里井さん
どのくらいの期間、勉強したんですか?

猪股さん
春と冬、断続的にしていました。特に冬はチョコレートが出回って、モチベーションも上がるので(笑)。トータルで半年くらいですね。

里井さん
1日のうち、勉強にあてた時間はどのくらい?

猪股さん
どこまでを勉強に入れるかで変わりますよね。チョコレートを食べるのも勉強に入りますか(笑)?

里井さん
確かに(笑)。

猪股さん
参考書まで含めて4〜5冊を、それぞれ2〜3周は読みました。『チョコレート検定公式テキスト』の問題集と参考書を交互に読んで、覚えるようにしていましたね。特に、参考書籍の『チョコレート カカオの知識と製造技術』はすごく専門的だったんで、ちょっと読むたびに問題集に戻って「この話を今、していたんだ」って感じで嬉々として読んでいました(笑)。

里井さん
そうやって、どんどん知識を深めていったんですね。苦手なジャンルとか、参考書を読んでいて飽きたりとかはありませんでした?

猪股さん
ないですね。これらの本は、基本的に結論がひとつなので、すっきりした気分になれますね。僕の専攻は近代文学なんですが、文学っていろいろな解釈ができるから、結論もひとつだけじゃないんです。だから、読んでいるとどんどんイヤになってきて(笑)。

初めてチョコレート専門店を訪れたのは、直木賞作家の作品がきっかけ

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里井さん
チョコレートにハマったのは、いつごろですか?

猪股さん
小さいころから食べる習慣はありましたが、目覚めたのは18歳〜19歳くらいのときですね。初めて行ったラ・メゾン・デュ・ショコラさんのチョコレートを食べて、「チョコってこんなにおいしいんだ!」と思って、どんどんハマりました。そもそもこちらのお店に行ったのは、直木賞作家の千早 茜さんの作品に出てきたのがきっかけなんです。といっても店名は出ていなくて、ただ「茶色いパッケージ」とだけ書いてあった。なんだか気になったので、ものすごく調べた結果、ラ・メゾン・デュ・ショコラさんのことだとわかったのでお店に行きました。

里井さん
それまでは、どんなチョコレートを召し上がっていたんでしょう?

猪股さん
母がチョコレート好きで、家にいつもストックしていたので、それを食べていました。板チョコをボリボリかじったり。何歳ごろから好きだったかは覚えていないんですが、小学生のときは確実にチョコレートが好きになっていました。

里井さん
今も毎日、チョコレートを?

猪股さん
チョコレート菓子も含めたら毎日ですね。たとえば『ブラックサンダー』は、とにかくカロリーが欲しいときにピッタリ。オレンジジュースと一緒に食べると合計300kcalくらい摂取できるから、2〜3時間はがんばれます(笑)。

里井さん
そうおっしゃいながら、スリムですよね。何か運動しています?

猪股さん
通っている大学は駅から徒歩20分で山の上にあるので、それが運動代わり。1日あたりの歩数も1万歩くらいになりますね。チョコレートはいつもリュックに入れて持ち歩いているので、途中で何を食べようかと考えるのも楽しいです。

里井さん
そのチョコレートは、ご自宅のお菓子ストックスペースからお持ちするんですか?

猪股さん
家からもありますが、コンビニで現地調達もします。

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明治のチョコレートメーカーでつくった夏向けのチョコレートドリンクを試飲

里井さん
さまざまなお菓子がある中で、猪股さんにとってチョコレートが特別になったのはなぜだと思いますか?

猪股さん
選択肢の多さでしょうか。カカオの%もいろいろ選べるし、『ブラックサンダー』みたいなものもあれば、チョコレート専門店のものもある。ここまで多彩なのは、他のお菓子にはない特徴だと思います。

里井さん
おっしゃる通り。それこそ10円単位で買えるものから、「えっ、これ何千円もするの!?」って驚くものまでありますもんね。検定の勉強をしたことで、何か変わったことはありますか?

猪股さん
検定の勉強でいろいろなことを知って以来、チョコレートのパッケージ裏側にある「原材料」の表示をすごく見るようになりました(笑)。まず、そのお菓子の分類がチョコレートなのか、準チョコレートなのか、チョコレート菓子なのかをチェックしています。ちなみに、コンビニによく置いてあるプライベートブランドのブロックチョコレートって、コンビニによってチョコレートか準チョコレートか違うんですよ。

里井さん
えっ、そうなの! 知らなかった。

猪股さん
チョコレートのパッケージや広告に書かれたコピーを読むのも好きですね。「こういう表現があるんだ」とわかっておもしろい。今はパッケージが変わっていますが、『meiji THE Chocolate』のベネズエラカカオ70のパッケージに、「ナッティ」って言葉が入っていたんです。チョコレートの勉強を始めるまで、知らなかった言葉。でも勉強するようになってから意味を知って、いい言葉だと思いましたね。

コンビニでは、新製品のパッケージを見てコピーをチェックすることもあります。先日、雨がひどかった日、バスを待つ間にスーパーのチョコレート売り場に行って、棚の端から端まで製品を見ていました。「こんなにあるんだ、すごい!」って思いながら。

里井さん
棚チェックが終わるより先に、雨がやんでいそう(笑)。

猪股さんの特技を磨いたのは、旅先で出会ったチョコレート!?

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里井さん
猪股さんがおすすめするチョコレートは? やっぱりラ・メゾン・デュ・ショコラさん?

猪股さん
ああ、一番好きですね。プレーンなタイプならダークガナッシュのキト。あと、シトロンとパッションフルーツのマカロンも気に入っていて、どちらにしようか悩んで結局、いつも両方買っちゃいます。柑橘系だと、石川県金沢市にあるサンニコラさんもおすすめ。日本の食材でマカロンをつくっているお店なんですが、その中の柚子のマカロンが好きなんですよね。金沢はまだ2〜3回しか旅をしていませんが、行くたびに柚子のマカロンを箱買いしています。

里井さん
旅先でチョコレートを探したくなるの、よくわかります! 他にも旅先で訪れたお店ってありますか?

猪股さん
京都に行ったとき、駅の目の前にあったDari Kさんとか。ここで初めてカカオドリンクを飲んでハマりました。

里井さん
ラ・メゾン・デュ・ショコラさんとDari Kさんって、ハマる方向が何となく違うような?

猪股さん
そうですね。Dari Kさんはカカオ豆の違いを初めて知ることができたお店。おかげで、豆からたどる楽しさにハマりましたね。一方のラ・メゾン・デュ・ショコラさんは、ボンボンショコラの完成度が高いお店だと思います。

里井さん
Dari Kさんを訪れたのって、ちょうど検定の勉強を始めたころですよね。同じタイミングだから、余計に印象が強いのかもしれないですね。だから猪股さんは、カカオの産地を嗅ぎ分けられるようになったのかも(笑)。

猪股さん
そうかもしれないです(笑)。

里井さん
他にハマっているチョコレートはありますか?

猪股さん
ガッツリ食べたいときはカカオの%が低い、甘いタイプを選ぶんですけど、その中で最近、ハマっているのはイケアで売っているヘーゼルナッツが入ったショクラード・ヌェート。一度に5枚くらい買うんですが、2回でなくなります。

里井さん
2回! 確かにおいしいけれども。

猪股さん
ミルキーでおいしくて、すぐに食べちゃうんですよね。妹にあげたりもするし。

里井さん
ああ、そういうやさしさも込みの「2回」なんですね。それにしても、本当にお詳しい。プレゼントにはどんなものがおすすめですか?

猪股さん
横浜のバニラビーンズさんのチョコレートをプレゼントしたことがあります。アーモンドにチョコレートがかかった、缶入りのアマンドショコラです。

里井さん
おお、それは喜ばれたでしょ?

猪股さん
はい、良かったです。

里井さんのオススメ

MARIEBELLEのシグネチャーアートガナッシュコレクション

FOOD・ART・BEAUTYを起点にチョコレートに「愛の言葉」を添えたい......そんなメッセージ性の強いアーティスティックなボンボン。京都とニューヨークに店舗があり、京都の店舗は華やかなアンティーク調の雰囲気が独特です。

祖国ホンデュラスなど世界各国から厳選したカカオ豆を使用して秘伝のレシピで滑らかに仕上げているそう。チョコレートに描かれたアートひとつひとつにメッセージ性があるので、イメージを膨らませながら味わうのも◎(お値段がやや高くてごめんなさい!)

ファンをもっと増やしたい! 猪股さんのチョコレートライフのこれから

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里井さん
今後、チョコレートとはどんな関係を築いていきたいと思いますか?

猪股さん
今、塾講師のアルバイトをしていて、生徒たちにチョコレートの話をよくするんです。ハマってくれる子がいればいいなと思って、最近出たおいしいチョコレートの話題とか。今の教える仕事はこれからもしばらく続けるので、ことあるごとにチョコレートの話もしていきたいですね(笑)。

里井さん
いいですね! チョコレートファンがどんどん増えていく。ちなみに、香りが嗅ぎ分けられる話も、生徒さんたちにはされたりするんですか?

猪股さん
ええ。毎年、最初の授業で自己紹介をするときに言っています。産地が当てられると聞いて、生徒たちは「何事!?」って反応ですね(笑)。

里井さん
(笑)。

猪股さん
今回のお話をいただいたとき、何かネタになるかもと思って文学とチョコレートについて調べていたんです。すると、自分が研究している作家の坂口安吾が1938年に発表した『吹雪物語』に、チョコレートのことが書かれていました。「女性と会話するときに、チョコレートの話題を出すといい」といった文脈で。今回は時間がなくてあまり調べられなかったんですが、こうした文化史からチョコレートへのアプローチは、やっている人がいないので挑戦したいですね。

里井さん
やりましょうよ! チョコレートが登場する文学、興味津々です。食べ物を好きになるきっかけって、文学やマンガ、アニメからという人も多いですよね。私も小さいころに読んだマンガにミルフィーユが出てきて、「ミルフィーユって何だろう?」と思ったことが今でもすごく印象に残っています。猪股さんは、ご自身で書くことには興味ないんですか? 小説やエッセイ、あとはSNSで発信したりとか。

猪股さん
SNSはやっていないので、口コミはもっぱら身近な人に言うだけですね。書けたらおもしろいかも。

里井さん
チョコレート俳句とか、いかがですか? アカデミックな勉強をされているから、独特の視点をお持ちだと思います。あの情報過多な『サロン・デュ・ショコラ』の会場で、『チョコレート検定』のポスターを見つけるキャッチ能力もすごいですし。それもきっとご縁なんですね。

猪股さん
高校のころ、家庭科がすごく好きで、教科書をよく読んでいたんです。成分表を見るのも大好きでしたし。そういったところから得た断片的な知識を、チョコレートで応用して体系化できたのは、『チョコレート検定』のおかげだと思っています。ホント、あの場で出会えて良かった。

全国で実施決定!『チョコレート検定 2023』申し込み受け付け中

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猪股さんが「出会えて良かった」と語る『チョコレート検定』が、今年も全国47都道府県のテストセンター(CBT方式)で開催されます。(※上級2次試験のみ、東京・大阪会場で実施)申し込み締切は、初級/中級/初級・中級併願が2023年9月7日(木)、上級/中級・上級併願が2023年8月22日(火)。あなたも"チョコレートプロフェッショナル"を目指してみませんか? 興味のある方は、こちらのページで詳細をチェック!

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